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何処かの湖に暮らすペンギンの子へ。

 ダチョウやヤンバルクイナや雛鳥に、鴎や鷲は「空を飛べ」と強要するだろうか?

 仮にツバメの巣の中にペンギンの命が宿ってしまって、つつがなく生まれ育ったとして、その子はいつしか、ここに居ると自分だけが異端のようでつらいとか苦しいとか孤独だとか感じてしまうと思うのだが、大切なのはその子を仲間外れにするんじゃなくて、皆で導いて海に返してやることだと思うんだよね。

 仮にもツバメの子として生まれたというのに空も八の字に飛べないなんて!

 とか、決して言ってはだめだ。ペンギンに生まれたその子にも、ペンギンを生んだツバメの親鳥にも、その子を自分たちと違う! と感じるツバメたちにも罪は無い。

 私たちはペンギンの子どもなのだと思う。

 本当の親はそこにいないかもしれないけれど、仲間がたくさんいる帰るべき海は必ずあるし、君はそこで生きるのが正しいのだ。

 ひとり陸に生まれ孤独なペンギンの子どもの、帰るべき海を探すソナーみたいな鳴き声を、仲間たちはきっと聴いている。

 なぜなら同じ仲間だからね。

 おやすみ。

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