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ポツンと立てられたあの旗は、誰かの宣言かもしれない

「好きなことで、生きてますか?」

誰のものでもない一度きりの自分の人生を、好きなように生きられているのだろうか。

別に好きなことで生きていきたくはない、そう考える人は誰一人としていない。では、なぜ現実はそう生きるのが難しいのか、どうしたらそう生きていくことが出来るようになるのだろうか。

本書では、好きなことで生きるための一つのヒントとして、「イノベーションを起こせる人材であること」に焦点を当て、深ぼっていきたいと思う。

これまでの常識を過去にし、未来をつくる力。イノベーション力を紐解く。

はじめに

本書は、「武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第二回(5/25)  小川 悠さん」の講義レポートである。

講師:小川悠(おがわ ゆう)
一般社団法人i.club代表理事 / 東京大学 i.school アシスタント・ディレクター
1988年横浜生まれ。2013年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。東日本大震災をきっかけに、地域における若者の地域離れを実感。その解決のための新たな仕組みづくりを教育と産業創出の掛け合わせを通じて目指すi.clubを2012年(2015年に一般社団法人化)に立ち上げ、統括する。2014年からは自身も修了した東京大学 i.schoolに教職員として携わるなど、高等教育と大学教育の両方から若者へのイノベーション教育の普及に従事する。

イノベーション・クラブ活動 i.club(アイクラブ)は、「若者の地域離れ」と「地域産業の衰退」を解決するために、”これからの時代に必要な力”と定義されたイノベーション教育を高校生向けに展開する教育ベンチャーである。

地域の高校生が、地域資源を活用したアイデアを生み出す力と地域への愛着や誇りをもつこと。そして地域の大人が、地域資源を活用したアイデアを新たな価値につなげる一歩を踏み出すこと。この地域の未来を切り拓く鍵が、イノベーションにあるというのだ。

これからの時代に必要な力、イノベーションとは一体何なのだろうか。

イノベーションは行動・習慣・価値観を変化させる

イノベーションについて、小川さんはこう定義している。

イノベーションとは、人々の行動・習慣・価値観を変化させる新しいアイデアを生み出し、普及させ、新しい未来をつくること。

人類は技術革新を重ねて私たちを前進させてきた。18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命を皮切りに、テクノロジーの進化は止まることを知らない。しかし、イノベーションとはテクノロジーによる技術革新に限ることではなく、人々の行動・習慣・価値観を変化させる新しい未来をつくることだと、小川さんは定義されている。

一つの事例として、雪国にとって生活の一部といえる除雪の意味転換をした「ジョセササイズ」という活動がある。辛くてできればやりたくないものからエクササイズになる楽しいアクティビティーへと、除雪の意味を刷新した。東京からわざわざ除雪をするためにお金を払って参加しに来る、というのだから驚きだ。まさに新しいアイデアによって、人の価値観と行動や習慣が変わったと言える。

自分の人生を自分に手繰り寄せるために、イノベーションを知る必要がある

イノベーションなんて誰かがやることで自分には関係ない、そんな風に他人事と捉えてしまっている人もいるかもしれない。

しかしそんなことはない。イノベーションとは、学び体得するものであり、好きなことで生きていくために必要な力だ。自分の人生を、自分に手繰り寄せるために必要な力なのである。

好きなことで生きていく。それが成立するのは、自分の好きなことが社会に求められる時。つまり、自分の好きなことによって社会を未来に導くことが出来れば、好きなことで生きていくことが出来るようになる。

では、そもそも好きなことで生きていくために、どんな力が必要になるのだろうか?

自分だけの旗を、誰もいない場所に立てる

ずばり、好きなことで生きていくために必要な力は、「自分の旗を立てられる」こと。自分の好きを見つめ、自分だけの旗を手に取り磨いていく。そして宝石のようになった自分の旗で、人々を新しい価値観や行動や習慣の未来に導くのである。つまり、イノベーションを起こす力だ。


好きなことで生きていくために必要な力

1. 自分の旗を持つ力:自分の「好き」から生まれる問いをたてられること。
- 自分の好きを認知して、それを深める問いを自分にたてられること。

2. 誰も立てていない場所に旗を立てる力
   - 自分が「イノベーション」を創造できること。
   - みんなが気づいていない価値観、行っていない行動や習慣を考える。

自分の旗を持つためには、自分の好きを知ること、そのためにはまず挑戦してみること。自分の好きなこと知ろうとするのではなく、未来の価値創造に挑戦する中で他者を理解し、自己を客観的に理解することに繋がっていくというのだ。そうすることで、未来の自己変容に向けて、自分の旗を持つことが出来るようになるという。

私自身、価値創造の実現に向けて日々もがいている。しかし、果たしこれが好きなことなのか正直よく分からなくなる時もある。他者理解を通して自分の強みを使命に変換し、覚悟という旗を持って未来をつくる宣言なのかもしれない。

おわりに

イノベーションは未来をつくるアイデア。私にとってそれは"企画"だった。AからBへ、幸せへ向かうための"矢印"が企画であると捉えていた。このように、似たような言い方や手法は世の中に数多く存在する。イノベーションのスキルを身に付けるためには、作法を学ぶこと、やってみなはれ精神でやりながら覚えること、この2点が大切であると。確かに型破りは型を知らないと破れないし、守破離は重要であると強く実感している。それと同時に、手法に制限され、思考を止めることだけはしてはいけないとも思う。好きなことで、生きていくために。

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