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偶然の幸運に出会う寄り道のデザイン

偶然や幸運に出会う能力

これらの能力を鍛えることができるという。

そして、そのヒントは寄り道にあるようだ。

セレンディピティを手繰り寄せる、その方法を紐解く。

はじめに

本書は、「武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第十一回(9/20)三木健さんの講義レポートである。

講師:三木 健(みき けん)
1955年神戸生まれ。1982年三木健デザイン事務所設立。ブランディング、アドバタイジング、パッケージ、エディトリアル、空間など様々なフィールドにおいて情報を建築的にとらえる発想で五感を刺激する物語性のあるデザインを展開。主な受賞にJAGDA新人賞、日本タイポグラフィ年鑑グランプリ、世界ポスタートリエンナーレ富山銀賞、N.Y.ADC奨励賞など受賞多数。
パーマネントコレクションにサントリ−ミュ−ジアム、富山県立近代美術館。大阪芸術大学教授。

道草、寄り道、遊び心で「拡散」させる

発想の飛躍、偶然の幸運に出会うセレンディピティのヒントは、道草、寄り道、遊び心の中にあるという。とにかく一見無駄とも思えるその行為を「拡散」と捉える。見逃してしまうような何気ない小さな点を注意深く拾い集め、それらの点が思いも寄らないタイミングで繋がると、発想という形で飛び出てくることがあるという。その、点と点の偶然の出会いと接続をセレンディピティと呼び、発想の飛び出しがクリエイティブジャンプと言われているのだと私は解釈した。人と対話の中での「話すこと」「聞くこと」すらデザインと定義し、どんどん拡散を広げていく。相手の頭の中を借りながらも拡散を広げていく、この発想をしながら価値を発見していく行為を「借脳」と意味付け、まさにブレインストーミングはこれに当たると思う。

本棚を整理してはいけないという観点が興味深い。直線的にゴールに向かうことを敢えてなくし、偶然の幸運に出会うために寄り道をデザインする。この寄り道の考え方は、この「先延ばし」が近いなと思ったので、リンクを貼っておく。

MeからWeの時代へ

これから、また真の豊かさとは何かという問いが加速するという。グローバルで環境問題から社会問題まで、多角的で厄介な問題に私たちは直面している。経済発展は私たち人類にとっての繁栄だったのかを疑い、グローバル資本主義に対しても答えを見出せなくなってきた。そんな時代において、物事を広い見地から見つめ、目の前にある小さなことから実践する「着眼対局・着手小局」の考え方、残さなければならないものと新しくする「不易流行」の考え方が重要になると、三木氏は言う。歴史や文化といった継続していくものと、時代に担い新しくしなければならないことを明確にし活動を行なっていくことで、地域社会に目を向けていくと言う。

企業が活動の存在意義を明確にして、「あったらいいなそんな暮らし」「あったら良いなそんな企業」と生活者に思ってもらうことが、パーパスブランディングであると言われていた。これから、このパーパスという考え方は標準装備になってくると思う。その中で、どのようなクリエイティブリーダーシップを発揮出来るかが、やはり鍵になってくるのではないだろうか。直線的に、効率的に答えを見つけにいくのではなく、点と点を拾い集めながら、本質を捉える姿勢を忘れずに持ち続けていたい。


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