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ウクライナにチェルノブイリがあると体感した今、見ておきたいHBOドラマ『チェルノブイリ』

ロシアがウクライナに進行してすぐチェルノブイリ原子力発電所を制圧したというニュースを見たことで、初めて体感しました。
チェルノブイリ原子力発電所は、ウクライナにあったのだということを。

【海外ドラマファンのためのマガジン第143回】

1986年4月26日、ウクライナにあるチェルノブイリ原子力発電所で、稼働中の原子炉が爆発する事故が発生しました。
当時の一般の人々は、まだ原発や放射性物質に関する知識も少なく、融合炉が爆発するなんてことは想像もしていなかったのです。

HBO製作のドラマ『チェルノブイリ ーCHERNOBYLー』(2019)では、事故発生直後からの事故処理の様子を、緊迫感あふれる映像で描いています。
綿密な取材に基づき書かれた脚本には、私達が知らなかった事故発生直後のできごとが描かれています。
事故現場に対応した発電所の職員たち、消防士たち、ボランティアで助っ人にやってきた鉱山の労働者たちの行動には、文字通り命を賭して使命を全うしようとする人間の姿がそこにありました。

しかし、一方で、ソビエト連邦時代の体制ゆえに、事故の発生が隠蔽され、近隣の市民たちの避難が遅れたこと、病院で医師や看護師への被害が広がったこと、周辺諸国への報告が遅れたことなど、人の命に関 わる決断に、責任者の自己保身が関わってしまう体質が浮き彫りになっていきます。

本作は、取材に基づいたフィクションではありますが、ドキュメンタリーのような手法で原子力発電所の事故の恐ろしさ、そして、当時のソビエト連邦の体制の問題点を体感させるドラマになっています。

チェルノブイリ原発事故が発生したのは、1986年で、まだウクライナはソビエト連邦の一部でした。
ソビエト連邦が崩壊したのは1991年のことです。

このドラマで、忘れられないシーンがあります。
原発で事故が発生したことを、プリピャチ市の住民の代表者に伝える会合のシーンです。 
ある住民男性が、危険だから妻や子供たちを避難させるべきだと主張します。
ところが、原子力発電所の責任者は、「そこまで危険ではない。私の妻も避難していません。」と否定します。
さらには「原発は国の秘密事項だから事故の状況については口外してはいけない」とも。
プリピャチ市の住民が避難したのは事故から36時間後のことでした。

恥ずかしながら私は、最近のニュースでロシアがウクライナに進行し、チェルノブイリを確保したという報道を見て、初めてウクライナの場所を地図上で把握しました。
そしてチェルノブイリの位置も。

戦争が、本当に起こっていることとして身近に感じつつ、
かといってオロオロしているだけの自分に戸惑いながらこの1週間を過ごし、いつの間にかあの会合のシーンが登場する、『チェルノブイリ』第1話を見ている自分がいました。



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