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【第30回】『オザークへようこそ』エミー賞作品賞全8作まるわかりガイド①

【海外ドラマファンのためのマガジン第30回】

テレビドラマ界の祭典エミー賞授賞式が9月20日に開催されます。
エミー賞の花形部門である、ドラマ部門作品賞にノミネートされたのは8作品。
毎回、日本未公開のドラマがあったのですが、うれしいことに今回は、すべて鑑賞済み!
配信サイトの力が拡大してくれたおかげで、タイムラグなしですぐにチェックできるのが魅力ですね。おかげさまで、心置きなく語れますよ!

というわけで、1記事に8作品すべてを詰め込めないので、8回に分けて対象ドラマの魅力をお伝えしようと思います。エミー賞の予測も交えていきますが、本格的予測は9月に入ったら特集する予定ですのでお楽しみに!

まず、1回目は、2020年度エミー賞の最有力作だと思っているこちらのドラマから。

『オザークへようこそ』シーズン3 Netflix

【18ノミネート】IMDb: 8.4 Rotten tomatoes :81 %
シーズン3 2020年3月配信

麻薬組織VSファイナンシャルプランナー一家の物語

自分の命を守るため、麻薬組織の資金洗浄を初めたマーティ・バート(ジェイソン・ベイトマン)。妻、娘、息子を巻き込み、一家でウォーターリゾート地オザークへ引っ越し、ホテルを経営して資金洗浄をしていきます。

シーズン3では家族のゴタゴタが仕事に影響

シーズン3では、妻のウェンディ(ローラ・リニー)が、新たなカジノ経営に乗り出し、麻薬王ナバロに気に入ってもらおうとノリノリ状態に。
シーズン2でも少し見せていた冷酷な決断力が開花し、悪に染まる女性の魅力が全開です。
見た目は、普通の奥様と言う感じが怖いですね。

夫婦の立場が逆転して、夫のマーティが嫉妬なのかウェンディの邪魔をしようと画策したりするんです。
夫婦仲が仕事に影響するのもヤバイので、カウンセリングを受けて改善しようとするのですが、それが返って夫婦のライバル心を燃やしたりして、

命の危険があるのに何やってんだ

と、ちょっとだけコメディタッチになったのが面白かった。
田舎町のカウンセラーのおばちゃんがダメダメすぎて、賄賂をもらって夫に都合のいいことを言ったりするが笑えます。

アメリカのドラマではよくカウンセリングのシーンが登場しますが、こういうのってどのくらい役に立つんでしょうか?
実際に経験したことがある方がいたら、ぜひ教えてもらいたいです。

『オザークへようこそ』は、よく『ブレイキング・バッド』と似ているとか比較されるのですが、物語の根本にあるテーマは全く逆なんですよね。

『ブレイキング・バッド』の主人公ウォルター・ホワイトは、自分の余命が長くないと知り、家族にお金を残そうと麻薬組織と関わっているうちに、闇の世界の「大物」になっていくという物語。家族にも何をやって稼いでいるかは秘密です。

一方、『オザークへようこそ』は、組織に殺されないために資金洗浄を始めるので、けっこう最初の方で家族にはバレて、家族総出で延命するために、組織と関わるという物語。
普通の家族感まんさいのまま、組織に提案して闇事業を拡大していく。

概要は似ているのですが、「死を覚悟した一発勝負」「何が何でも延命するための勝負」という根本にあるテーマが違うのです。

死を覚悟しないでマフィアにぶつかっていく

という綱渡り状態が、ずーっと続いていくという状況です。知恵で役に立ち、組織のボスにとって重要な人物となって生き残ろうとしていくわけです。
やけっぱちじゃないだけに、ストレスハンパないと思うのですが、逃げ出さずに対抗しようとし続けるのが、負けず嫌いというか、度胸があるというか……。この資質が、実は物語の根幹にかかわって来るのでは?とシーズン3を最後まで見て思いました。

シーズン3では、マーティとウェンディ夫妻、二人分の知恵と、子供たちの機転が役に立ち、ボスと対面するまでに昇りつめました。 

シーズン4以降、この一家がどうなっちゃうのか楽しみです。

エミー賞のポイント

【ノミネート主要部門】
作品賞
主演男優賞 ジェイソン・ベイトマン
主演女優賞 ローラ・リニー
助演女優賞 ジュリア・ガーナー
監督賞
脚本賞


主演&プロデューサを務めるマーティ役ジェイソン・ベイトマンは今絶好調です。
昨年、本ドラマで監督賞も受賞していて、本年度も主演男優賞にノミネートされています。さらに、別のドラマ『アウトサイダー』でもゲスト男優賞にノミネートされていて、クリエイターとしても俳優としても評判の高さが伺えます。

昨年、助演女優賞を受賞したルース役ジュリア・ガーナーも相変わらず素晴らしい。この女優さん大好きです。エマ・ストーン主演の『マニアック』というドラマにも出演しているのでぜひご覧ください。

シーズン3では、ウェンディ役のローラ・リニーが圧倒的で、主演女優賞を獲得するのでは?と予測しています。

最終話での展開はかなりショッキングで、シーズン4への期待をかけるクリフハンガーとしては最高のものになっています。
監督賞でも二人、脚本賞では3人がノミネートされており、個人的には、エミー賞に一番近い最有力候補作品だと思ってます!

次回は、『オザークへようこそ』の対抗馬となり、同じくエミー賞最有力候補作でもある『サクセッション』を取り上げていくのでお楽しみに!

※本年度のエミー賞ノミネート作品は前回の記事で一覧にしているので参考にしてください。


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