PTSD、新たな犯罪捜査、映画『羊たちの沈黙』の1年後を描くドラマ『クラリス』
「クラリス」ていい名前ですよね。カッコイイ響きだし、それでいて乙女っぽいというか。「ナウシカ」という名前を初めて聞いたときにも、同じような感覚を覚えました。
こんなに素敵な名前を持つ人物は、きっと、人並み外れた運命を背負う特別の女の子に違いないと。
【海外ドラマファンのためのマガジン第145回】
今回ご紹介する『クラリス』という名前を持つ女性は、映画『羊たちの沈黙』（1991）に登場するクラリス・スタリーングFBI捜査官のことです。
ドラマ『クラリス』は、『羊たちの沈黙』でバッファロー・ビルの事件を解決してから約1年後、FBIに復帰したクラリスの姿を描くクライム・サスペンス。
アメリカでは、2021年2月からCBSで全13話放送されていました。日本では、現在ＷＯＷＯＷで放送中です。
今の所、第8話まで鑑賞していますが、このドラマ、かなりハマってます。
映画『羊たちの沈黙』のスピンオフで、映画では新人捜査捜査官だったクラリスが、事件のPTSDを患いながらも本格的に捜査に復帰し、あらたなチームで凶悪事件を解決していきます。
『羊たちの沈黙』といえば、アンソニー・ホプキンスが演じたドクターレクターの悪の魅力に心を惹かれる映画です。
レクター博士を主人公にした続編映画や、マッツ・ミケルセン主演のドラマ『HANNIBAL/ハンニバル』も製作されています。
ですが、ジョディ・フォスターが演じたクラリスというキャラクターもまた魅力的で、今回彼女が主人公のドラマということで楽しみにしていました。
ドラマ『クラリス』は、殺人鬼レクター博士に「気に入られた女」であるクラリスの魅力を堪能できる仕上がりになっています。
彼女は、無謀さ、勇敢さ、正義感などFBI捜査官になる気質を兼ね備えているのですが、もう一方で、「犯罪者の心理に同調できる」という気質も持ち合わせています。
「闇の部分を覗いてみたい」という好奇心は誰でもある程度は持っているものですが、クラリスは、父親が警察官でしかも殉職しているという超絶な正義の側に立っていますが、凶悪な殺人鬼レクター博士にも惹かれてしまう部分があるという矛盾の魅力がある女性です。
けれども、決して悪の側に落ちることはない。理性でとどまることができる胆力もある人物なんですよね。
彼女のキャラクターは、映画版のジョディ・フォスターが作り上げたものなので、「ちょっと印象が違うな」と思う人もいると思いますが、このドラマ版のクラリスは、映画版のキャラクターをうまく引き継いでいます。
クラリスを演じるレベッカ・ブリーズは、ジョディよりは少し線が細いものの、守ってあげたいと思わせるほどは弱くはなく、でも「こんなにかわいらしい女性が凶悪犯と戦うのか」と思わせた映画版のクラリスを彷彿とさせる初々しさのようなものも表現していて、わたしは違和感なくドラマを鑑賞できました。
このドラマのもう一つの魅力は、映画の続きとしてストーリーを楽しめるところです。
映画に登場したマーティン上院議員が、現在は司法長官に就任していてクラリスの大上司になっています。そして、バッファロー・ビルに誘拐されていたマーティン議員の娘キャサリンもPTSDに苦しみ、「自分の気持をわかってくれるのはクラリスだけ」と彼女に助けを求めてきます。
ビルの飼い犬だったプレシャスも登場します。プレシャスの現在の飼い主に は衝撃を受けました！
ドラマ上では、新たな犯罪捜査に打ち込むクラリスのストーリーと並行して、マーティン母娘とクラリスの関係性も描かれていきます。
海外ドラマファンにはおなじみの俳優たちが脇を固めているキャスティングも魅力的で、わたしは毎週鑑賞するたびに、喜びが隠せません。
『ウォーキング・デッド』でエイブラハムを演じていたマイケル・カドリッツがクラリスの上司役、FBIの同僚には、『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の所長役だったニック・サンドウ、『サバイバー宿命の大統領』のセス・ライト役だったカル・ペンという個人的に大好きだったキャラクターを演じていた俳優が勢揃いなのです。
さらに、クラリスと深いかかわりを持つことになる司法長官役には、『クリミナル・マインド』のシュトラウス役だったジェイン・アトキンソンが配役されていて、終了してしまったドラマに登場していた印象的な俳優さんたちを再び見ることができる「私のためにチョイスされたのでは？」と思ってしまうほど、ポイントを突くキャスティングでした。
『羊たちの沈黙』ファンにもおすすめします。
『羊たちの沈黙』シリーズ
ドラマ版『HANNIBAL/ハンニバル』
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ドクター・レクター初の映像化作
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