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好きnote 13 「荒木経惟 センチメンタルな旅 冬の旅」

若い世代の方はアラーキーを知らない人が多いようなんですが、私の中では言わずと知れたアラーキーの写真集です。

アラーキーの奥様の陽子さんとの新婚旅行と、子宮肉腫で入院してお亡くなりになるまでの写真たち。

正直、私はアラーキーは写真が上手いとは思っていない。技術的な部分はあるのか全くわからない。だけど、アラーキーが撮る写真の人間の表情や顔が好き。陽子さんに至っては、写真撮られ過ぎて慣れてるのか、人がカメラを向けられてるような顔をしてないものがたくさんある。

綺麗な顔ばかりじゃなくて、なんだこの表情は?というものもたくさんある。ファインダー越しにアラーキーが陽子さんを綺麗だと思う時も、嫌だと思っている時も写していたんだろうなと思うし、それがアラーキーなりの愛だったんじゃないだろうか。

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人によっては、新婚旅行や妻の死に際、死に顔まで写真集という作品にするのはどうかと思う方もいると思う。もし私が陽子さんの立場だったら嫌だったと思う。愛してるからといって何でもして良い訳はない。愛という言葉にハマりきらない写真家としてのエゴもあったと思う。だけど、それも許している陽子さんとアラーキーの間には、ふたりの関係性だから成り立つものがあったんだろうなぁ。

晩年のアラーキーは前立腺がんや右眼失明に加え、#me too運動で訴えられ、最近の活動は全くわからない。

訴えられた内容を知る限り、それはあかん!というものではあるけど、私はアラーキーのすべてを否定したくないし、この作品に対する私の思いは変わらない。

フェリシモの神戸学校にアラーキーが来た際、私はこんな質問をした。

「荒木さんの写真を見ると、普通に考えたらモデルにならないような太った中年女性の方もいて、顔も綺麗ではないのに、すごくいい表情をしている。なかなか見れないような表情。どうやって、その表情を引き出すのでしょうか?」

〜良い質問だねぇ。質問に文才を感じるよな! もっと早ければ直木賞とってるよ(笑)。

俺がどうやって、良い表情を引き出しているのかってことだけど、それは俺が天才だからだな!

天才になるには、自分が好きなことを見つけることだよ。本当に自分が夢中になれる好きなこと。俺にとっては、それがカメラだっただけで、本当はみんなあるんだよ、それが。それを見つけることだね!〜


そう言ったアラーキーを私はやっぱり好きでいます。

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