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スポットライトは点灯夫が灯してくれた

12月18日にTentofuさんにて、「余白のことば 〜詩のコラージュ〜」無事に開催いたしました!

当日まで予約はおふたりだったのですが、当日来てくださった方がたくさんいらっしゃり、合計7名の方に楽しんでいただけました。

詩人の豊原エスさんが、自身の詩集の詩をコピーし、その詩を好きなように切って使ってコラージュしてくださいと教えてくれる、なかなかぶっ飛んだWS。


マスキングテープやシールもたくさん
見本もあります

中には作者の詩を、本人を目の前にして切ってバラバラにしていいのか?と戸惑ったけど、ひとつひとつの言葉を丁寧につまみ上げていくのが楽しかったというご感想もいただきました。

例えば、私が作ったカードには


とても気に入ってます

「ちょっとコントみたいになっていることに 胸がいっぱいです」

という言葉を並べたのですが、本当の詩は

………
 
 悲し過ぎて 
 つら過ぎて
 ちょっと
 コントみたいになってきていることに 
 あなたも
 気付いてるくせに

………

という詩でした。私はその詩の中の

「ちょっと
 コントみたいになってきていることに」

を切り取り、

「胸がいっぱいです」

を並べた。

ちなみに胸がいっぱいですの詩は

………

許さなくていいです
許してくれなくていいです
忘れていいです
感謝しなくていいです
過ぎ去っていいです
何ひとつ
跡形もなく
憶えてなくていいです 

楽しかったね

あの時の
あの高揚

すべて失くしたとしても
胸がいっぱいです。

………

というのが本当の詩。私はそこから「胸がいっぱいです」だけを抜粋した。

同じ詩でも、どこから、どんな言葉をピックアップし、どうレイアウトするか? 

Tentofuにたどり着いた皆さんは本をたくさん読まれている方が多いからか、まずは言葉の選出に時間をかけ、じっくり吟味していた印象が強かった。言葉を大切に選んで使う方々なんだなぁと感じました。

ただ、ひとたび言葉の選出ができると、それぞれの遊び心いっぱいな作品になってゆきました。

同じ素材、同じ詩を使っていても、出来上がりはまるで違う。豊原エスさんの詩を用いたとしても、その人らしい余白と言葉の味わいのある素敵な作品になりました。

最初は悩んでなかなかできないとおっしゃっていた方も帰る頃には「すごい楽しいから! 楽しんで!」と、とびきりの笑顔で次の回の方に伝えて帰られてる姿を見て、本当にやってよかった!と思いました。

ここからはちょっと個人的なことを書きますが、私は昔ライターになりたいという夢がありました。それは「テレビや雑誌で取り上げられて居なくても、本当に素敵な活動や、素敵な作品を作っている人がいる。水面下のようなところでも志しを持って作っている人がいる。そんな人にスポットライトを当てるような文章を書きたい」という夢でした。

20代の頃、働いていた編集プロダクションでそんな夢を社長に話したら「お前みたいな、どこの誰だかわからない奴が勧めるものなんて誰が興味を持つんだよ! ああいうのは有名人が勧めるからみんな興味を持つんであって、どこの誰だかわからん、お前みたいな奴が勧めるものに価値なんてない。そんなくだらないこと言ってるん暇があるなら飲食店をひとつでも多く知ることだ」そう言われたことがあります。なかなかハードなパワハラの末、短期間で急性胃腸炎に2回なり退職することを伝えたら、ボロッカスに罵られた上に給料未払いにされた苦い思い出があります。

だけど今回、どこの誰だかわからない私が勧めるものを、衣笠さんという点灯夫が光を灯してくれて、たくさんの人が来てくれて、みんな喜んでくれた。

WSをしてくれた詩人の豊原エスさんも
Tentofuの衣笠さんも
来てくださった皆さんも
「第二弾やりましょう!」とさっそく言ってくださるほど喜んでくれた。

自分の甘さや至らなさは否めないけど20代の頃にボロボロになった私の夢が、違う形で叶えられた気がしました。

20代の頃に出会った豊原エスさんの詩

………

今はバラバラだけど
私たちが皆が持つ
この素晴らしい歯車が
カチッと合えば
カチッと合えば
すぐに動き出して
信じられないくらい
美しい音楽が聞こえてくる

………

その詩を悩んだ時にはいつも読んでいた。
苦しい時も、その言葉を羅針盤のように信じた。

そういうことが何だか軽やかに報われたような1日になりました。

豊原エスさん
Tentofuの衣笠さん
来てくださった皆さん

本当にありがとうございました!

ゆっくりのペースですが、第二弾も必ずやりますので楽しみにお待ちください。

2022.12.21 吉田峰子


Tentofuのショップカード

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