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ビッグバン・ベイダーに会いに走ったあの夏の思い出


ビッグバン・ベイダーに会いに走ったあの夏の思い出



あれはたぶん恋だった。

夏の夜中にテレビで見ていたプロレス。

巨体の外国人が飛んでいた。


「なんだこの人、つえー!!」

ビッグバン・ベイダーというらしい。


人って、あんなにデカくても飛べるんだという衝撃で、私は食べていたポテチを落とした。


夜が明けるのを待ち、近所のジャスコ(今はイオン)にチャリを飛ばし、本屋の店員さんに
「プロレスの雑誌ってありますか」
と聞いた。いつもジャニーズの雑誌しか買っていなかったため、店員さんに非常に驚かれたのを覚えている。


居間で雑誌をペラペラとめくっていると、プロレスリング・ノアという団体にいることがわかった。全日本とは違うのか。(当時はそのへんの事情は知らなかった)
私がゲームとジャニーズにしか興味がなかったため、母が大変驚いていた。そりゃそうだろう。


……なんと。

青森県の、こんな田舎に。

プロレスリング・ノアが来るらしい。


ここで会わなかったら、一生会えない気がすると思い、生まれて始めてプロレスを見に行くことを決意する。


さて、プロレスというのは、どうやってチケットを買えばいいのか。


当時は問い合わせの電話番号が雑誌に載っていたので、たぶんそれに掛けたんだと思う。このへんは記憶が曖昧である。
20年前の話だ。さすがに忘れている。

電話で「プレイガイドで買ってね!」と思えてもらい、弘前市内でチケットを取り扱っていた店舗の電話番号まで教えてもらった。

そして、隣町の弘前市内までJR五能線で移動。

お店で(ちけっとぴあだったかも)


「プロレスのチケットありますか」
「どちらのですか?」
「この日のです」

と、日程を伝え、無事購入。

そして当日。

親に車で送ってもらい、会場へ。

2001年9月6日。

正直に言うと、日程はすっかり忘れていた。
ググッて思い出した感じです。

9/6 NOAH
DEPARTURE 2001
弘前・青森県武道館
観衆1700人


ビッグバン・ベイダーを見た。

初めてのことでどうしたらいいか、分からず、近くの人に
「リングの近くに行っていいの?」
と聞いたら、

「大丈夫だよー」と前を開けてくれた。


大きな会場ではこうはいかなかっただろう。たぶん。

ベイダーが入場してくる時、真横を通った。


その時、ぐっと頭を撫でてくれたんですよ!!!!!!!!!!!
厳密には押したっていうか!!

あの時の、彼の手の重みをまだ思い出せる。


感動して肝心の試合はぼんやりとしか思い出せないのだが、
あの時、会場に走らせたものは間違いなく恋だった。


残念ながら彼は2018年6月に他界している。
ビッグバン・ベイダー(本名:レオン・ホワイト)さん。

逢えてよかった。


いつか、また。



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本当に余談

この日の帰宅時に、当時夢中になっていた、コロコロコミックスの『機獣新世紀ゾイド』が、打ち切りになる、と友人からメールが来て、泣きながら帰った。

こんな最高の時間のあとに、

こんな悲しいことが起こるのかと。

人生の不条理を感じた一日でした。



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