極貧詩 340 旅立ち㉕
卒業式終了、校庭に残っているのは担任の先生
ヤッちゃん、シゲちゃん、俺の貧乏三羽烏
俺達をわざわざ呼び戻して贈ってくれる激励の言葉
これから家族の要になって農業をしていくヤッちゃん
東京の工場での仕事に全力を傾けて臨むヤッちゃん
無理を覚悟の経済状況を押して公立高校進学が決まった俺
「最後に俺に言っておきたいこと」とは何だろうか
先生は瞬きもしないで俺の目をじっと見る
数十秒間の緊張感で落ち着かない沈黙が続く
おもむろに先生が口を開く
先生の言葉に自分の言葉を重ねていく