日本の作曲家が中国で仕事をするために知っておくべきこと ゲーム劇伴①


おはようございます、かわはら社長です。

今回は中国から見た日本の音楽制作、ゲーム劇伴についてです。
前置きについては前回をご参照ください。

Appストアのセールスランキングのトップ100に常時10作品くらい仕事していますが、世の中には色々な作品があるのであくまで私見ですのでご了承ください。

まず日本でゲーム劇伴の制作する需要の有無についてですが、これについては確実に需要があります。

下記が中国から日本に限らず中国から海外に依頼する需要です。

・中国のコンテンツ量に対して優秀なクリエイターが足りていない
・都市部にある程度の規模の録音をできるスタジオが足りていない
・中国のトップクリエイターの金額が高額すぎる
外国人が手掛けたほうが効率のよい作品もある(例:K-POP風の歌楽曲〜など)

そして日本の場合は下記でしょうか。

①日本IP作品
②日本要素のある作品
③時差が1時間しかない(欧米だと10時間以上)

あまり嬉しくないかもしれませんが、ぶっちゃけた意見で言えば③がこの中で一番重要です。

(中国でもディズニーのゲームなど当たり前にリリースされているので、①と②は各国ごとに強みがあります)

[日本が需要のある分野について]

①日本IP作品

弊社が手掛けている作品で言えば「NARUTO」、「聖闘士星矢」など日本IPのゲームになります。

ざっくり分けると「日本のゲームがそのまま輸出されているケース」と「IPを使用して中国の会社がゲーム開発、日本が監修するケース」なのですが、特に需要があるのが後者の作品です。

前者の作品で日本で制作された音源がそのまま使用される場合、そもそも作品にマッチした楽曲があるわけですよね。わざわざ予算かけて新規で制作して版元に監修みたいな工程を経てまで制作する意味はないでしょうから(笑)

意外な作品だと「魂斗羅」なんかは中国でリメイクされてめちゃくちゃカッコいい最新のグラフィックになっています。

魂斗羅はMr.BigのPaul Gilbertも参加していましたね。

②日本要素のあるオリジナルの作品がある作品

“日本要素”と言ってもいくつか種類があるので分けてみたいと思います。

例えば下記でしょうか。

・和風要素のある作品陰陽師決戦!平安京、など)
・グラフィックが日本のアニメ風の作品ドールズフロントラインReVdol!など)
・ゲームジャンル自体が日本が先駆者の作品(恋愛ゲーム全般など)

※日本語サイトはありますが、どれも中国の会社の作品です。

特に和風要素は中国要素と言われると我々もハードルがあるように、世界中のクリエイターからハードルがあると思います。

実際に中国で大ヒットを記録したゲーム「陰陽師」もリリース時の音楽は梅林茂さんが担当しています。

そもそも梅林さんは滝田洋二郎監督の陰陽師を手掛けていますし、中国で誰もが知る映画作品の劇伴も制作しているので、Neteaseのような最大手がオファーするのは非常に自然なストーリーではあるのですけどね。

弊社も最近の陰陽師や決戦!平安京の音楽制作もしておりますが、やはり日本要素のある楽曲は日本に発注する需要があると思います。

③時差が1時間しかない

弊社にとってはこれが一番重要です。
毎日時差が1時間じゃないと仕事にならないくらいやりとりするからね(笑)

米国とは1日1回のデータやりとりが精一杯だったりすることも容易に想像できます。そもそも電話(We Chat)で可否を確認してスグに始めたい案件の場合は候補外ってことになりますから(笑)

そういう意味では日本はかなり優位な位置にいますよね。


これを読んで作曲家の皆さんも「需要あるじゃん、自分も仕事できそう」なんて思ったかもしれません。



残念ながら99%くらいの人は基本的には需要はないと思ってください。

次回はなぜ需要がないのか、逆に需要のあるクリエイターはどういう人なのかという話をしてみたいと思います。


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