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【著作権01】アカデミアにまつわる著作権、そろそろ知っておいたほうがいい

職業柄(なのか?)、とにかくよく著作権の相談を受けます。アカデミア(特に少し上の世代)には、「教育目的なら画像や動画をどのように使っても怒られない」という神話がまことしやかに浸透していて(本当はけしてそんなことはないんですが)、これまで著作権に関するモラルが非常に薄かった世界です。最近は、意識をもって対応している方も少しずつ増えてきていて、そんな人々が投げかけてくれる質問に、こちらもできる限り答えています。

インターネット黎明期から、段々と、著作物をデータで入手拡散することが容易になり、それまでも著作権法とか、ベルヌ条約(著作権に関する国際条約です)とか、あったのだけど、解釈とシステムが追いつかないまま、現代になってきました。

だけどここのところ、世の中はちゃんと、権利を守る方に動いていて、有料会員しか見れないコンテンツゾーンができたり、データを購入して見るシステムが整ってきたり、著作物の購入ライセンスに細かく使用条件が盛り込まれていたり、ようやく「人の創作するものは誰かに著作権があり、使わせてもらいたければ基本的にはお金を払うべき対象なのだ」という、著作者の権利を守るための基本的な考え方を実現するシステムが、あちこちで普及しつつあります。

これは、アカデミアの人たちも、けして無視できないことです。著作権者側の権利を守る意識は、どんどん高まっています。これまで泣き寝入りしていた著作者が、自分の権利を正当に主張できる世の中になってきています。権利関係を確認しないまま流れで使って、知らなかった、では済まされなくなります。「うっかり」で訴訟を起こされないように、自分を守るために、自分たちが使うデータ、持っているデータの権利を、理解し、適切に扱っていくことが大事です。

例えば、ベルヌ条約に加盟していて無方式主義をとっている日本では、研究室の学生が研究に関する画像を作成すれば、その時点でその学生に創作者としての権利が発生します。その著作者情報は、研究室で画像とともにきちんと管理されているでしょうか。

外部業者に頼んで作ってもらった画像や、購入した画像=クレジット表示不要、ではありません。クレジットの記載や使用可能な範囲について、きちんと確認できているでしょうか。

著作権者がわからなくなっていった画像は、権者に許諾を得たり、意図・意思を確認することが困難になっていくので、どんどん、使いたくても使えない画像になっていきます。今後、その画像を使う術を失わないためにも、画像や動画のデータとともに、権利情報を管理しておくことは大事です。

著作権のことは、今後、ケーススタディも交えながら、少しずつ書いていきたいと思います。とりあえずは、序章まで。


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