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マインドフルネスと依存症支援 援助職を対象とした体験型ワークショップ開催報告

2020.9.12~13マインドフルネス心理臨床センターでは、援助職のための依存症とマインドフルネス 体験型ワークショップをオンラインzoomにて開催した。関係者13名が参加し、依存症支援について、マインドフルネスについての学びを深めた。講師は、岡山県精神科医療センターで長年にわたりマインドフルネスを依存症の患者さんに教えている佐藤嘉孝先生と、当センターの小林が担当した。

去年参加した、佐藤先生とUCSDのハースのりこ先生の依存症とマインドフルネスを参考にプログラムを作成した。


初日のプログラムメニュー(MBRPを中心に)

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初日は、MBRP(Mindfulness Based Relapse Prevention):依存症用のマインドフルネス8週プログラムの紹介と、なぜマインドフルネスが依存症支援に有効かについてエビデンスも交えながら話し合った。

当センターでは、MBRPを依存症施設や、オンラインで開催している。

(次回は、11月頃の開催を予定)

そのプログラムの詳しい内容や、可能性についてお話した。

依存症とは、マインドフルネスな状態とは真逆の「自動操縦状態」である。そのため、依存症の回復にマインドフルネスを体験することが効果的なのだ。

そして、実際MBRPで実施している瞑想(ボディスキャン、呼吸瞑想、ムーブメント瞑想、SOBER呼吸法)。冒頭の写真は、おせんべいとお茶で「食べる瞑想」をしている写真である。佐藤先生の食べる瞑想は、欧米ではレーズンで行われることが多いが、「日本人はせんべいとお茶でいかがでしょう」と教えてくださった。皆で、じっくり味わって食べるおせんべいは、普段の味わいと違って、5感を使って味わうことができた。サクっというおせんべいを噛むおと、感触、塩味、砂糖味、おせんべいそのものの味・・・お茶とのハーモニー・・等食べる瞑想は味わい深く、楽しみにしている。

二日目のプログラム(セルフ・コンパッションを中心に)

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二日目は主に佐藤先生に、セルフ・コンパッションについてのレクチャーとセルフコンパッションの瞑想やワークを体験した。セルフ・コンパッションとは、大好きな友達に対するような思いやりをもった態度で自分にも接することである。

具体的には、優しい呼吸の瞑想、自分に手紙を書く、セルフ・コンパッションブレイク、スージング&サポーティブタッチなどのマインドフル・セルフ・コンパッションのプログラムで使われるプログラムをいくつか体験していただいた。


二日目に入り、皆様も体験が深まるとともに、疲れもあったと推測されたが、それぞれの体験を大切にしておられる感じであった。

今回のプログラムの特によかった・・と感じた点は、シェアリング(わかちあい)である。

瞑想体験後は、「瞑想で何に気づいたか?」についてのシェアリングを必ず行うが、そこで皆さんが、自分についての気付きを正直に、安全な構造のなか話されたのがとても良かったように思う。

マインドフルネスの学びにつながる動画なども閲覧した。よくマインドフルネス紹介で使われる動画(moment)をここにあげておく。

参加者の皆様の感想

初日の感想での、満足度である。

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9名が回答し、参加してよかったと思うか?に「かなりそう思う」が100%であった。皆様にそういう時間をお届けできて、感謝である。

皆様の声

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自分が今、抱いている恐れや不安に気付き、立ち止まるきっかけになった。対処法が考えつかなくても今はよい、と思えた。

どうしようもないことへの関わり方は一つとか一回きりのものではないと実感しました。


SOBER呼吸法を何度も練習してみたくなった

眠くて、瞑想が最後までたどり着かないことをもったいないと思っている自分に気が付きました。

言葉で知った知識を、体験で確認した感じです。

「気づき」は常にあると分かった。自分の内面には無頓着、と思いました。
みっちりマインドフルネスに取り組めた濃ゆい時間だった。
人間らしく生きたいと思っていた初心に立ち戻るような気持ちです。

昨日の瞑想はひたすら寝て、夜通し寝続けていましたが、今日はクリアに瞑想出来ました。と書いて、ガイドを最後まで聞くことが正しいことだと判断している自分に気が付きました。

仕事で嫌なことがあり、気持ちがとげとげしていたが、穏やかな気持ちになった。

特段の変化はなし

呼吸がしやすくなり、身体の疲れを感じられるようになった。

マインドフルネス は1人で取り組むものと思っていたが、それだけではなく、取り組み分かち合うことで非常にはっきりとした体験になるんだ、ということが、参加した後で分かりました。1人の世界で完結するものではないんだ、ということを強く思うようになりました。

マインドフルネスの輪郭は少しつかめたような気がします。

皆様とマインドフルな時間を共有し、分かち合いができたことで、講師二人もありがたい気づきをいただきました。どうもありがとうございました。

まとめと今後に向けて

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オンラインで2日間と長丁場の開催だったため、休憩を多めにいれて、ストレッチやムーブメントも取り入れるなど、オンライン疲れとならないよう配慮しての開催となった。

 MBRPについて、コンパッションについて、勉強し、瞑想を体験し、シェアリングして学びを深めた。

 ここからは、自分の感想だが、初日にMBRP、二日目にコンパッションのマインドフルネスを体験したため、より参加者の皆様の体験が深まったようだった。佐藤先生の瞑想が特に安定感のある大きな船に乗っているような安心感があったのが印象深い。

瞑想をグループで体験するのも安心感があるが、その後のシェアリングでいろいろな気づきを聞いたり話たりできることがさらなる気づきにつながったように思う。

マインドフルネスを依存症支援において用いるには、やはりまず援助職自身が自分の課題を受け入れマインドフルな態度を培っていくことが大切と思われた。マインドフルネスを援助職がセルフケアに取り入れることは燃え尽き予防にもなると感じている。

今後、月1程度で、マインドフルネスと依存症支援に関心がある支援職の方を対象とした瞑想会の開催を10月ころより予定している。詳細は、整い次第下記のpeatixページから告知予定。今回のオンラインワークショップも年に2回くらい開催予定である。








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