見出し画像

マインドフルリーダーシップシンポジウム2018

※過去記事をnoteへ引っ越ししました

MiLI=一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュートが日本でマインドフルネスを組織・リーダーに届けて5年になる。
それと共に導入企業の取り組みも進化し続け、実践者の数も増えている。
マインドフルネスを会社で導入し、個人としても実践を深めているマインドフルリーダーの方々に、自分のきっかけ、マインドフルネスの活動内容、そしてその結果どうなったかを、リアルに語っていただいた。


オープニング:ビジネスにおけるマインドフルネスの今

MiLIでは、2013年より日本で100社近くにマインドフルネスメソッドを提供させていただきました。その中でずっと心がけてきたのは、以下の3点です。

画像20

1. ワールドクラスのコンテンツ・メソッドの提供

世界最高水準のメソッドを日本で展開。メンバーもつねに最先端の理論を学び続けています。

SIY:世界で認められたGoogleが開発した、リーダーシップ・パフォーマンス向上プログラム

MBCC:マインドフルネスを基盤とした国際コーチ連名(ICF)承認コーチングプログラム

AWARE:ジョアン・ハリファックス博士創立のマインドフルネスとコンパッションのリーダーシッププログラム


2. Change Leaders, Change Management, Change The World.

マインドフルネスとリーダー開発メソッドを提供し、リーダーや組織の変容を促進することは、世界をより良く変えていく力になると信じて活動を続けています。

3. コミュニティの構築

参加していただいた方との対話を深める機会も積極的に設けています。マインドフルネスをやっている人=こころざしある善き人。こころざしある仲間を増やし、日本、さらには世界を変えていきたい。

1~3をふまえ、さらなるコミュニティづくりをここから始めます。


第1部:SIYは社員と組織にどんなインパクトを与えたのか

画像1

SIY導入のきっかけ

荻野:
Sansan株式会社では、2017年にマネジャー55名全員の方に2日間のSIYを導入されました。 いかがでしたか。


我妻氏(以下敬称略):
社内に導入後、メンバーとのコミュニケーションの改善、チームワークの向上が感じられたので、2018年には、全社員約400名に半日間の短縮プログラムを導入しました。

荻野:
ありがとうございます。CEOの寺田様が起業前にシリコンバレーで勤務していたことも関係があるのでしょうか。

我妻:
そうですね。以前から瞑想の実践者でマインドフルネスの効果を実感していたようです。

荻野:
RELATIONS社では2017年に、全社員約60名の方に2日間のSIY研修を導入されました。どういった経緯だったのでしょうか。

長谷川氏(以下敬称略):
2017年に私が個人としてSIYに2度参加し、効果を実感したことから社内への導入を提案しました。全社員が通常業務を離れて研修を行うのですから、企業にとってはかなり大きな投資ですが、「やるんだ」という決意をもって進めました。


画像2


メタ認知と良好な人間関係が高い成果を生み出す

荻 野:
原動力となったのはご自身の体験ということですね。

長谷川:
はい。コンサルティング業務を中心に取り組んでいるRELATIONS社では、「ええ会社をつくる」という理念を掲げています。ええ会社とは、人が幸せに働く会社です。そこでまずは自社のメンバーが幸せに働いてもらおうと考えました。自分自身の体験から、そのゴールにつなげられるのが、SIYだと感じました。

荻 野:
SIYを通じて、社員の方が幸せに働くことができるようになると。

長谷川:
ハーバード大の調査で、幸せと相関性が高いのは人間関係という結果が出ています。カギとなるのは、人と人とのつながりです。Googleの調査では、心理的安全性の高いチーム、つまり互いを信頼しあっているチームは働きやすく、生産性が高いことがわかっています。関係性の質を高めるためには、まずは自分自身を知ることが大切です。

画像3

荻 野:
自分を知ることが、なぜ関係性の質につながるのでしょうか。

長谷川:
SIYで、自分が感じていることや考えていることを客
観的にとらえられるようになりました。これを「メタ認知」と言います。これまでは極めて限定された感情や思考をもとに判断したり、評価したりしていたので、周りの人のことも表面的な理解にとどまっていたのです。それでは、いい関係を築けないし、自社の成長も難しい。

高橋氏(以下敬称略):
私も、長谷川さんがSIYを受けて変わったという実感がありました。「ええ会社をつくる」という理念もSIY後に長谷川さんから出てきた言葉なんです。

長谷川:
本質的に考える習慣が身について、自分は本当に何がしたいのかに気づきました。


社内で実践グループが自発的に生まれる

荻野:
導入後は、社内にどんな反応がありましたか?

我妻:
マネジャー研修では全員が、先ほど長谷川さんがおっしゃっていた「メタ認知」や、人は不快な刺激を与えられたり、不安な状況に置かれた時に瞬間的な感情ハイジャックが起きて冷静な判断ができなくなることなどを学び、共有できたことは大きかったです。何かがあっても一呼吸置けるようになり、より俯瞰して人の話を聴けるようになりました。人事部ではすぐに結果が見えるものではないと認識していましたが、予想以上の成果です。

画像4

荻野:現在の取り組みを教えてください。

我妻:営業系メンバーは、自発的に「聴くランチ」を始めました。「聴くランチ」とは、相手の意見や歴史を聴くための時間です。これまでは相手を説き伏せようというコミュニケーションも見受けられたのですが、研修が内省するきっかけになり、相手の話をしっかり聴いてフラットに受け止めるようになり、関係性もより良くなりました。

人事部では「マインドフルナイト」を始めています。有志が集まり、一人が瞑想ガイドをして、そのあと自分の感情を書き出すジャーナリングを行うというもので、ハーブティやお茶菓子も用意するんです。少しずつ口コミで広がり、毎回違う顔ぶれが集まっています。
人事部としては、マインドフルネスやSIYを取り入れていなくてもいいから、知っている状態、つまり共通言語化したいと考えていました。それができたため、積極的にやっているメンバーがやりやすいようになっています。


SIYをきっかけにチームごとの文化が融合し「ええ会社」になってきた

荻 野:
RELATIONS社では、多くの異なる事業を展開しており、それを統括する難しさもあるのではないでしょうか。

長谷川:
社員数は少ないのですが、事業内容が細分化しており、各チーム追っているゴールが違うため会話が生まれづらいんです。個別最適化は進んでも「自分のチームだけ良ければいい」という雰囲気になりがちですが、SIYで違うチームの人たちと話すことで「こんなことを考えていたんだ」とわかるようになり、2日目には「ええ会社感」がでてきました。まさに狙い通りです。

高 橋:
社員が1人1時間たっぷり自分のバックグラウンドを話す社内制度「Life is beautiful」があるのですが、SIYで自分自身の価値観を掘り下げるワークを体験し、これまでよりも自分を掘り下げて語るようになっています。それで自分のやりたいことに気づいたメンバーが、副業ですし職人の修行を始めました。月2回くらい週末にやっているそうです。「SIY部」を作って、朝に30分間の瞑想を行っている人たちもいます。また全社会議の時に、最初に鐘を鳴らして瞑想から始めるんです。

画像5

谷川:
全社会議の瞑想はとてもいいですね。

荻 野:
SIYには「バディシステム」と言って研修終了後も28日間2人ペアでサポートしあう仕組みがあるのですが、28日終わった後でもペアで相談しあっている人もいるようですね。

荻 野:
両社とも業務に忙しい環境だと思いますが、マインドフルネスが社内で着実に深まりと広がりを見せているようですね。ありがとうございました。


第2部:自身の取り組みを社内に広げるには? そして組織はどう変わったか?

始めは個人で始めたマインドフルネス実践から、社内に広めることに成功した3名の方による事例発表。社内に広めるための工夫や苦労、その結果をデータ化しエビデンスとするなど、取り組みの進化ぶりを紹介する。

リーダーが変われば組織も変わる 物流会社代表取締役社長

画像6

みなさんこんにちは。私は、従業員数が単体で約300名、グループで約600名の物流企業の社長です。私が社長に就任したのは、2013年のことです。社長たるもの24時間稼働していなければならないと思い、情報を持つものが世界を制するという考えのもと、常にスマホやPCをチェックし続け、休暇中も通知機能をオンにし、未読メッセージを見つけては即時に対応していました。
自宅に帰っても、仕事のことがぐるぐる頭を回り、ソファーでTVを見てもまったく休まらず眠れません。夜のメールは、つい感情的になってしまうのに、やめられませんでした。
当時の私は「自分が正しい」「相手が悪い」「自分だけが仕事をしていて、人はなぜついてきてくれないのか」と考えてはイライラしていました。

そのころ私は、方向性を示す一方、細々としたことにもいちいち指示を出していました。口ではみなさんどうですか?と聞くけれど、自分がやりたいことが決まっていると部下もわかっているので私の顔色ばかり見るようになっていました。これでは新しい発想は生まれて来ません。自分の発想が100としたら、それを部下が受け入れてやろうとしても70くらいにしかならないのです。私のイライラは募る一方で、組織は思ったほどには伸びていかない悪循環でした。
私の心の中には、過去のこと、未来のことが詰まっていました。今日あの人があんなことを言った、その人の言っていることは自分の価値観とは違う、だから明日はこうしてやろう、こう言ってやろう、という具合です。おそらく過緊張になっていたのでしょう、夜の寝つきも悪く、一回寝ても夜中に何回も起きてしまう、そんな毎日を過ごしていました。こんなことでは、ウツになるか、早死にするかだ、と気づいたのは社長就任から3年くらい経ったころでしょうか。
そこで生活全般を見直しました。睡眠7時間を確保するため、寝る1時間前には、風呂やシャワーで体を温め、寝る前にはTVやスマホは見ず本を読むようにしました。スマホの通知機能はもちろんオフにしておきます。さらに食事に気を使い、運動を心がけることで、次第に気持ちが穏やかになっていくのを感じました。

画像7

そんな時に参加したのが、MiLIのMBCC(マインドフルネス・ベースド・コーチ・キャンプ)です。ここでマインドフルネスと、コーチングの仕方を体系的に学び、「今ここに心を集中させる」ことを心がけるようになりました。始業5分前の集中瞑想に始まり、レジ待ちや信号待ちなどの機会をとらえては瞑想をして、歩く時も食べる時も、シャワーを浴びる時もマインドフルに過ごすようにしたんです。すると、感情をコントロールができるようになり、自然と好奇心ややる気が湧いてくるようになりました。コーチングを学んだ結果、仕事で大きく変わったのは、傾聴ができるようになったことです。また聴くことだけに集中することが、これまではできていませんでした。人の話を聞いていても「それは違うだろう」「もっと別のやり方はないのか」などと絶えず、評価や判断を加えていたのです。でも傾聴するようになると、相手にもそれが伝わるのか自分が理解されたと感じるようで、人間関係が大きく変わりました。今日何度も出てきましたが「メタ認知」についても理解し、怒っていても自分を客観視できるようになって、なんでこんなに怒っているのかと考えるようになったんです。すると、自分の「べき」に外れているからだな、と気づきます。自分とは異なる他人の価値観を受け入れられるようになり、対人関係でのイライラが圧倒的に減りました。
当然、社内にも変化が生まれました。リーダーである私が傾聴できるようになったことで、活発な意見が出るようになり、組織に相乗効果が生まれるようになりました。これまでは私の意見を100としたら、自分の意見を部下に押し付けた結果、パフォーマンスは70くらい。ところが今は組織に相乗効果によって200にも300にもなっています。

今、私はリーダーが変わると、確実に組織は変革することを実感しています。当社では、職場にもマインドフルネスを取り入れるようになりました。それによってさらなる相乗効果が期待できると思います。企業や組織がよくなれば、そこにいる人間も周囲の人間も幸福になれます。それがやがて世界平和へと繋がっていくのではないでしょうか。

画像8


粘り強い交渉で全社に マインドフルネスが浸透 パナソニック液晶ディスプレイ株式会社

画像9

吉田:
村社さんは、技術者として開発に携わった製品がグッドデザイン賞を受賞する一方で、マインドフルネスのエバンジェリストとして活動を続けています。これまでの経過をお話しいただけますか。

村社氏(以下敬称略):
私のマインドフルネス歴を、自身の変化、組織が変わる、実践が日常という3つの側面に分けてお伝えしようと思います。


自身の変化 瞑想の習慣化からGood Design賞へ

村社:
小学生の二人の子どもとともに取り組んだところ、明らかに集中力の高まりを実感し、私自身も会社で朝の瞑想実践をするようになりました。2017年には、私がデザイナーとともに開発に携わった開発品が2017年Good Design特別賞「未来づくり」に選ばれました。創造性と、コミュニケーションの高まりの結果だと思います。

画像10


組織の変化 1344回、累計157時間の実績へ

社内部署を説得、2016年後半に、自部署の開発者全員にセミナー受講を実現、以来瞑想5分、ジャーナリング3分の朝のトレーニング(朝トレ)を開始。追って昼トレとして、瞑想20分も開始しました。しだいに実践する仲間が増え、実践が日常となりました。

これまで社内でトレーニングした回数は1344回、累計157時間。
(2018年11月現在1548回、累計170時間を越える)
特別なスペースではなく、会議室にざぶとんを置いたり、休憩室にスペースを作ったりしました。

次のようなエビデンスも集め、さらなる展開に活用していきます。

画像11

 毎日職場でマインドフルネスを実践したその成果は、「自分が変わる」、「仲間が変わる」、「組織が変わる」、この3つの変化です。これからも、日常として、仲間とともに実践し、さらに展開していきたいです。


1人から始まった活動が、延べ800人(社員の12%)に広がる ヤフー株式会社

画像12

画像13

これは、紀尾井町にあるヤフー本社での一場面です。社内は、フリーアドレスで部署ごとに区画を区切って席が決まっているわけではありません。そんなオフィスの一角にある芝生のようなオープンスペースで瞑想会を実施しています。普通に仕事をしている人の中で、瞑想をするので、初めは奇異に見られたが、今ではそういう視線はなく、逆に影響を与えている面もあります。

私の肩書きにある「マインドフルネス・メッセンジャーズ」というのは、現在社内にある7名のチームで、私もその一員です。最初は1人で始めたのですが、仲間が増えました。メッセンジャーズにしたのは、自分たちがよいと思って実践しているものを純粋におすそ分けしたいという想いからです。
ヤフーでは、体験会(0回目)と、希望者に7週間のメタ認知プログラムを提供しています。内容は、図をご覧ください。

画像14

週1回1時間でステップを踏みながら進めていきます。瞑想だけではなく、いろんなワークを体験できるよう構成しています。
2015年にMiLIとマインドフルコーチングを開発し、その後、MiLI主催のMBCCプログラムになりました。ヤフーではコーチングとは違うアプローチとして、7週間のメタ認知プログラムとして実施、これまで9期に渡り200名が参加。体験会を含めるとのべ800名(全社員の12%)が参加しています。

現在は、希望者が個人で参加する形式になっていますが、今後は特定の部門に集中展開したいと考えています。また、社内の広い範囲にアプローチすると同時に、習慣的に続ける深いチームも作っていきたいです。


アンケートで浮き彫りになる実践者の生産性・チームへの影響

メタ認知トレーニング10期目を迎えるにあたり、過去2年間のアンケートを実施しました。回答してくれたのは、141名。内訳は、7週間プログラム受講者77%、体験会参加のみ23%です。

主な結果を報告します。

1.日常的にやっていますか?
週1回以上43%、(週3回以上11%、週1〜2回32%)

画像15

その頻度になっている理由は、必要性を感じ、生活リズムに組み込むなど仕組を活用しているため。

画像16

2.どんなワークを継続実践していますか?
マインドフル瞑想がダントツ。ほかにボディ・スキャン、ラベリング、ウォーキング、リスニング、ジャーナリングなど。
具体的なシチュエーションは、起床時や通勤電車、バスの中などのほか、プレゼン前や業務中に感情の起伏を感じた時、集中力が足りないと感じる時など、まさに必要な時になされていました。

3.プレゼンティーズムについての質問
プレゼンティーズムという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
アブセンティーズムと対になる言葉で、アブセンティーズムは、健康問題によって社員が欠勤することでかかる損失コストですが、プレゼンティーズムは、出勤しているが、業務効率が落ちている=生産性が低下していることでかかる損失コストです。
計測しづらいのですが、日本の企業では、健康関連コストの内訳のうちプレゼンティーズムが約8割を占めるという調査結果もあります(WHO-HPQという指標を用いて測定)。アブセンティーズムは約5%ですから、いかに大きい問題かがわかります。
ヤフーでも、マインドフルネス経験者、実践者、未経験者にHPQの指標を用いて、自身の仕事のパフォーマンスについてアンケートを行いました。

画像17

絶対的プレゼンティーズムは、自分のパフォーマンスをどう評価しているか、相対的プレゼンティーズムは、自分のパフォーマンスを周りの人と比較してどう評価するかです。
相対的プレゼンティーズムでは、マインドフルネス経験者は、未経験者に比べ2ポイント近く高いことがわかります。さらに実践者(週3回以上)と未経験者とを比べると4ポイントと近く高い数値を示しています。

4.マインドフルネスは、自分の仕事に影響がありますか?
週3回以上の実践者は、94%が「影響あり」

画像18

5.マインドフルネスは、チームやプロジェクトへの影響ありますか?
週3回以上の実践者は、94%が「影響あり」

画像19

実践していない人でも、48%が「影響あり」と答えていることから、チームやプロジェクトへの影響が高いと認識していることがわかります。

6.さらに多くの社員が参加すると、会社はどのようになっていくと思いますか?
目先にとらわれない仕事の仕方ができる
意思決定にも影響が出る
怒りや恐れにとらわれず仕事ができると、才能と情熱を解き放つことになる
など、会社のありたい姿に満ちあふれた回答が多数寄せられました。アンケートでは、身の回りに経験者が多い人の方が、実行頻度が高いこともわかっています。社内により広めていくことが実行頻度の上昇にもつながりますから、今後の展開にも力を注いでいきたいと思います。


第3部:マインドフルネスで組織を変えるために必要なことは?

ワールドカフェ形式で、出席者同士の対話、登壇者とのQ&Aを実施した。

Q
私の会社でもマインドフルネスのプログラムは実施されていますが、数人が決められた時間帯にやっている状態が続いています。今後どのように広げていけばいいでしょうか。
A
環境づくりが大切だと思います。「続けてもいいよ」という社内の雰囲気を上手に作っていくのと同時に、専門家に来てもらって新たな学びを取り入れてバージョンアップさせることを考えて見ては?(村社氏)
当社でも3年前からプログラム導入しているが、体験者は8%強くらい。しかしYahoo社ほど粘り強く広めるに至っていない。環境を整え、経営に近い人たちに対するストーリーを作るうえで今日はたくさんのヒントをたくさんいただきました(参加者の一人)


Q
「マインドフルネス」というと怪しいと思われることがあります。なぜそう思われてしまうのか。
A
「マインドコントロール」などという言葉もあることから、宗教めいて聞こえることもあるようです。(牛山氏) 「瞑想」という単語自体がNGな企業もあります。メディテーションと言い換えたり。組織によって言葉は選ぶ必要があるでしょう(村社氏)


Q
マインドフルネスが必要とわかっていても、なかなか会社単位での取り組みにするのは難しいと感じています。
A
RELATIONS社では、トップダウンで始まったが、その後「SIY部」というボトムアップ組織が発生しています。全員が興味をもつわけではないので、トップダウンかボトムアップか、どちらかのアプローチで進めるのがいいと思います。(高橋氏)
Sansan 社では、人事部は社員の働き方、生産性を向上させることをミッションとしていることから、人事部が導入を進めました。(我妻氏)


Q
ボトムアップで自然発生した場合、関心のない人たちとの分断は起きないのでしょうか?
A
分断にしないようにするために、全員にオファーする態度は必要かもしれません。(我妻氏)。
いずれにせよ、興味のない人、乗っかってこない人は必ずいます。(高橋氏)


Q
組織のステージによって、マインドフルネスの需要が異なるという印象をもっています。利益の構造が安定しており、さらにエンゲージメント・生産性を高めたい、という組織にはあうが、目先の目標、利益に切羽詰まっている会社には受け入れられないのでは?
A
その場合もリーダーがボトルネックになって変わらないという適応課題が起こっていることが多い。リーダー自身の価値観を変えていかないと、利益や売上だけ見ているうちは、変化は難しい。自分自身はトップが参加することが、組織の飛躍的な成長につながると感じています。
もちろん、なぜマインドフルネス以外の方策を含めて検討したうえで選ぶことは必要です。(長谷川氏)


Q
そもそもマインドフルネスは、どんな課題について適正でしょうか。
A
たとえば当社では、対立する相手と会議をする前に5分くらい瞑想をした事があります。すると相手の立場を理解し、それから自分のことを理解してもらうというやり方ができるようになりました。(牛山氏)
人の流動性が少ない日本においては、企業が成長するためには、人が成長することが必要です。一人ひとりの成長を促す意味でもマインドフルネスは有効と考えています。(長谷川氏)


クロージング:マインドフルネスの未来

4時間半という長時間にわたってたくさんの人たちの声を聞くことができました。


今回のシンポジウムでは、数多くの実例を通して、マインドフルネスを企業にどうやって導入し、根付かせていくかのヒントが得られました。リーダーが変わることで組織はどう生まれ変わるのか、マインドフルネスを導入することで、どんな効果が得られるのかもわかっていただけたかと思います。
リーダーを変え、働く人たちを変えていくこと、それは、やがて社会の変革につながるということを確信する会となりました。
登壇者の皆様、参加者の皆様にはあつく感謝申し上げます。

やがてマインドフルネスが水や空気のように、組織や学校で取り入れられるようになるでしょう。私たちは今そこへ向かっています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?