心が壊れたあの日から1年
人生おやすみ期間を始めてから約1年が過ぎた。
あっという間に過ぎたけど、思い返すとまだ1年しか過ぎてないのかぁという気持ち。
心が壊れて、働くことができないと判断して、会社を辞めることを決断したあと、仕事の下見で片瀬江ノ島の海を見に行った。
普段友達と遊ぶと都内から離れていて、不便な駅に住んでいるけれど、少し足を伸ばせば、海を見に行ける距離なところはいいところ。
波の音を聞いて、本を読んで、ボーッとして、いろんな人を眺めて、陽が落ちるまで過ごした。
自分はどん底にいる気持ちだったけど、海にはいろんな人がいて、だんだん心がほぐれていく。
若めのカップル、熟年夫婦、家族、一人でジョギングする人、わんこ連れの人。
本当にいろんな人がいて、みんな今は幸せそうだけど、実は悩んでたりするのかなぁとか、みんな何かを抱えながら必死に生きてるんだよなぁとか、当たり前のことを勝手に想像した。
海の近くに住む人たちは、歩くのがゆっくり。
心の余裕が違う気がする。
そんなに生き急がなくていいのかもって思えた。
波の音は心が落ち着かせる効果があることを知った。
私は海が好きなんだと気づいた。
自意識過剰にも程があるけど、太陽の光がまっすぐ私に向かっているように感じて、励ましてくれている気持ちになった。
この日、私はやっと深呼吸をできた、のだと思う。
目まぐるしく迫ってくる仕事の日々。毎日にひっしにくらいついていて、ずっと息が詰まってて、上手に呼吸ができていなかったことに気づいた。
やっと深呼吸ができて、全身に空気が行き渡って、もちろん心はそんな簡単に治らないけれど、一回仕切り直すかぁと、体と心の力がふっと抜けて楽になった。
一回ちゃんと休んで、もう一回起き上がるんだ。
しっかりそう心に決めることができた。
海の上をゆっくり沈んでいく夕陽を見ながら涙が出た。
あの日は忘れない。
そのあと何回か海を見にいくようになった。
あれから1年以上が経った。
最近は全然見に行ってなかったから、海を見てきた。
「私はなんとかやっていけてます。
あれからいい縁に恵まれて、だいぶ元気に生まれ変わりました。」
と報告ができた気がする。
これから息が詰まるほど、苦しい日があったら、また海を見に行こうと思える気がする。
もう何もできないと、生きることを諦める前に。
海を見にいけば、全てどうでもよくなって、また一歩踏み出せるのだと知ったから。
自分がちっぽけだと、ある意味諭されるような。絶望とは違う意味で、ちっぽけすぎるからなんとでもできるよ、と背中を押してもらえるような。そんなパワーを持っている。
海にすぐ行ける家に、これからも住みたいな。
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