見出し画像

フランスのルイナールの試飲ツアーに行った話

シャンパンで有名なルイナール(Ruinart)。
2022年7月、パリディズニーランドへ行ったついでに少し足を伸ばしてフランスのランス、シャンパーニュ地方にあるルイナールの試飲ツアーに行ってきたので備忘録としてここに記す。

シャンパンの基礎

シャンパンとは

シャンパーニュ地方産であり、かつ特別な方法で瓶内熟成させたスパークリングワインのこと。品種をはじめ、熟成期間や炭酸の強さなどルールが厳しく定められている。
以前筆者が訪れたマルタのワイナリーでも、シャンパンと同じ瓶内熟成を使用していたが、シャンパーニュ産でないため「シャンパン」と名乗ることはできない。

シャンパンを作る3品種

シャンパンに使用できる品種は限られている。
産地や作り手によって味が変わるシャルドネ、赤果実味の強いピノ・ノワールとピノ・ムニエの3品種。
シャルドネ100%のシャンパンを「ブラン・ド・ブラン」、ピノ・ノワール100%のは「ブラン・ド・ノワール」とそれぞれ呼ぶ。
余談だが、ピノ・ムニエはドイツではシュヴァルツ・リースリング(schwarz riesling)と呼ばれている。
同じ品種でも国によって呼び方が異なる。

ルイナールの歴史

私が訪問したルイナールについて説明する。
ルイナールはシャンパンの先駆け的存在である。
1657−1709年、神学者でもあり歴史家でもあったドム・ティエリー・ルイナールがまだシャンパンと呼ばれていない泡のあるワインが貴族の間で流行っていたことを知り、目をつけたのがはじめ。ルイ14世の時代と同時代のことである。
1729年、シャンパーニュ地方のランスで、ドム・ティエリーの甥であるニコラ・ルイナールがメゾン・ルイナールを世界初のシャンパン会社として設立させた。
そして現在、かの有名なLVMHの傘下にある。


ルイナールの特徴

ルイナールの代表シャンパン、ブラン・ド・ブランは、25〜30種類のシャルドネを含んでおり様々なテロワールが反映されている。
ボトルを保管するためローマ時代にランスに掘られた地下のクレイエールは一定の温度と湿度を保つことができ、振動もないためワインの熟成にベストな環境を保つことができる。それを使用し始めたのがルイナールなのだ。ちなみにルイナールのクレイエールは2015年ユネスコ世界遺産に登録されている。


試飲ツアー

まず、受付を済ませると応接間のような部屋に通された。来ている客もそれなりの気品溢れる格好で今までと違ったツアーにびびった。スーツを来た若い男性からルイナールの歴史や特徴の話を聞き、カーブの方へ向かう。
カーブへ降りる前にアート作品が飾れており、ルイナールがアートにも造形の深いシャンパンメゾンだとわかる。


日本でも人気のミュシャによる広告




カーブへ降りていくと、その地下の深さに驚嘆した。今まで見たセラーとは規模がまるで違う。まるで美術館にいるような洗練された空間だ。



年代物シャンパン、大量の熟成中ワインを見ていき、突き当たった先でストップ。
何やら大きなオブジェが飾ってあり、光のパフォーマンスが始まった。
それが終わったら最初と同じ応接間へ戻ってお楽しみの試飲タイム。


試飲タイム

試飲できるシャンパンは4種類あり、1人2種類試飲できるシステムである。
私は夫と2人で来ていたため4種類全部飲むことができた。他の客もペアで来ており、交換しながら飲んでいた。


丁重にグラスに入れられるシャンパンはまるで宝石のようで、いつまでも泡の立ち上がりを見ていたくなるようだった。
この繊細なシャンパンが、日本ではキャバクラとかでポンポンあけられてシャンパンタワーにドバドバ注がれるなんて、バチが当たるではないかと本気で思った。作り手の気持ちを考えると・・・

と話は脱線してしまったが、日常でシャンパンを、しかも年代物のシャンパンまで含めて4種類も飲むことがないので、この体験はとても格別だった。
言うまでもなく全て美味しい。美味しいと簡単な言葉で片付けられるような味わいではなかったが、悔しながら私の語彙力では表現できない味わいだった。
機会があったら奮発してぜひツアーに参加してみてほしい。
「シャンパンってこうやって飲むんだよ、あんたにはまだ早いよ」、と諭されたようだった。

最後に

シャンパンがなぜ特別な位置づけにあるかいう事が納得できるような試飲ツアーだった。ボトルの佇まいから味わい、メゾンまで、全てが洗練されていて、他のスパークリングとは一線を画していた。「シャンパンなんて気取った人が飲むもの」と心の片隅で思っていたが、なるほど、シャンパンは気取ることもできない一般庶民の私が飲むものではない、特別な時に飲むべき飲み物だと心底感じた。
1杯でこんなにリッチにさせてくれる飲み物はないのだから。
シャンパンマジック恐るべし。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?