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元プロ野球選手ではない私が、NPBで二軍マネージャーをする話 【vol.2】

湊谷です。

昨日の記事投稿後、早速「スキ」やシェア等のリアクションをしていただいた方、ありがとうございました。


前回の記事では、私が高校時代に「マネージャー」という存在に気づいたきっかけや、東京六大学への舞台へと進むまでを振り返りました。


ありがたいことに、「面白い!」というお声が多かったので、引き続き言える範囲のことを書いていこうと思います。

なかなか、選手以外の人間が、自分自身の言葉でこういうことを発信する機会は今まで無かったような気がします。

こういうプロ野球への関わり方もあるんだ!と知っていただいたり、マネージャーという仕事の魅力や面白さを知るきっかけになれば幸いです。


それでは、始めます。


挫折だらけの、入部当初


立教大学野球部への入部早々、同じ法学部で同級生の田中和基 選手(現・楽天)にメンタルを折られかけた私。

こういった出来事はしばらく続きます。

そもそも、私の同級生は粒揃いの代でした。


私のように野球の実力で入部出来たわけではない人間は、アスリート選抜入試(いわゆるスポーツ推薦に近いです)等で入ってきた部員よりも練習参加時期は遅くなります。

期待されて入る同級生は、早く戦力としてチームに溶け込む為、どんどん先に行きます。


したがって、同級生でありながら、先輩に自己紹介するような気持ちでスタートしたのを覚えています。


その中には大阪桐蔭で藤浪晋太郎 選手(現・アスレチックス)や森友哉 選手(現・オリックス)らと共に甲子園春夏連覇をした澤田圭佑 選手(現・千葉ロッテ)、報徳学園出身の甲子園で脚光を浴びた田村伊知郎 選手(現・埼玉西武)、同じ埼玉県で圧倒的な成績を残していた浦和学院の佐藤拓也 選手(現・JR東日本)らがいました。


先輩方の練習を覗いてみれば、これまた衝撃です。

1学年上には齋藤俊介さん(元・横浜DeNA→現・横浜DeNAチームスタッフ)大城滉二 選手(現・オリックス)松本直樹 選手(現・東京ヤクルト)、日大三高で吉永健太朗 選手(元・JR東日本)や高山俊 選手(現阪神)、横尾俊建 選手(現・東北楽天)らと共に高3夏で全国制覇をした鈴木貴弘 選手(現・JR東日本)らがいます。


ちなみに、松本さんとはこの6年後の2019年、再び同じチームのマネージャーと選手という立場で再会することになります。まさかそんなことになるとは、この段階ではお互いに知る由もありません。

2022年9月26日(月) 優勝セレモニーにて @神宮球場



その更に上の3,4年生たちも、私からするとバケモノだらけ。

「こりゃ、俺はとんでもない場所に来てしまったかな。果たして、何を武器にして生き残っていこうか?」という気持ちでした。


失意の中、1年生が行う雑用の数々をこなしていました。色々な係が当時はあったのですが、私が拝命したのは「ボール外周り」係。※

※練習前後に球場の周りをグルリと一周して、打撃練習等で球場を出たボールを拾う係。一球でも落ちているとフィニッシュするので入念にチェックします。ちなみに、「ボール内周り」係もあります。


この係は、同級生の二角(にかく) 勇大選手と一緒だったはずです。体格は小柄で、第一印象は温和な雰囲気の男でした。

遂に話が合いそうな人間が現れたかと思えましたが、、体力測定の時にその印象は一変。


彼はとんでもない脚力の持ち主で、守備範囲が広く、肩も強い外野手でした。それもそのはずで、彼は広島新庄高で主将を務めていた選手でした。一学年下には、田口麗斗 選手(現・東京ヤクルト)がいた強豪高出身者です。

(二角はその後、レギュラーとしても活躍しましたし、持ち前の走力で代走の切り札として立教に欠かせない選手となります。)

「二角、お前もか。。。。」

(2013年4月の湊谷の心の声)




マネージャー湊谷、誕生


見渡す限り、周りは実力者ばかり。18歳の私の心は既に、自分の4年後を冷静に分析していました。

自分の武器は、バッティング。ただ、フリーバッティングで特別に柵越えを連発できるタイプではなく、中弾道のライナーを打つ打者。速い直球を潰すのが得意で、ここ1番という場面で集中力を発揮する人間なので得点圏での打撃には自信がある。試合の流れを冷静に読む大局観もあると思う。ただ、守備にも足にも特徴は無い。左投げ左打ち、ポジションはファーストと外野手。となると敵の数は、あの人とあの人とあの人たち。頭の中のコンピュータを弾いた結果、次の考えになります。

まず、レギュラーは厳しい。私の選手としてのMAXは、良くても、【左の代打枠】だろうな、と見切りました。それすらも、何の保証もない。本気で取り組んだとしても、ベンチにも入れず、ずーっとスタンドでくすぶって、4年間を終える可能性だって十分に考えられる。それで、いいのか?俺はこの大学に、何をしに来たのか?



モヤモヤとする中、そこで私の脳裏に、高校時代に知った、「マネージャー」という存在が浮かび上がりました。




そして私の心は、次第にこう整理されていきました。

選手としては無理でも、マネージャーなら違う意味でチームの中心になれる。プレーをするわけではないので直接試合の勝利には貢献できないが、その環境を整えることはできる。裏方ではあるけどチームの顔として表に立つこともあり、勝敗にとても近い存在として、4年間過ごすことができる。高校時代の経験から、私はそれを知っていました。

プロでもアマチュアでも、いつかは誰しもプレーヤーとしての区切りをつけ、ユニホームを脱ぐ時が来る。

では、どこで辞めるのか?の問いは、全員に対して平等に訪れる。自分の場合は、それが「今」なのかもしれないな。


今考えても、驚くほど冷静な自分がいました。

まだ選手としてユニホームを着ていた18歳の頃
野球部のブレザーが届くまで、1年生はスーツで過ごします


そんな私のマネージャー転身への心が加速した出来事がもう一つあります。


先ほど話題に挙げたように、1年生の頃は練習の前後でやらなければならない仕事がたくさんあります。グラウンドの中に限らず、寮内のマネージャー室で行う電話当番など、様々な仕事があります。


それらの仕事をやる上で、私はいつしか中心的な存在になっていました。


みんなが嫌がる仕事をやったり、各部員が受講する大学講義の履修状況を見ながらシフトを組んだり、効率良いやり方を提案してみたり、、、。

高校時代は私もガッツリと選手をやっていたのですが、何故か自然とそういうことが出来ました。

(小学校からクラスではまとめ役で、中学校では学級委員長だったので、そういう経験が活きたのでしょうか...)

そんな私に、同級生はこんな目線を送るようになります。


「湊谷、事務的なこと出来るな。こいつがマネージャーやってくれたら、助かるな。」
「俺たちは、まだまだ野球を続けたいし...。」



同級生のみんな口には出しませんが、その空気感はバシバシと伝わってきました。


なぜ、そういうことが起きるのでしょうか?

通常、どこの大学でも、1年生の夏頃に学年ミーティングが行われて、その場でマネージャーになる人間を選出することになるのが一般的です。


これはあるあるなのですが、このミーティングは大体、例年どの大学でも荒れます。涙を流しながら話す部員も出てきます。


そこで選ばれてしまった人間は、チームの承認を得られた後はユニホームを脱ぐことになり、ジャージでマネージャーとして生活することになります。部員全員が夢見る、神宮球場でのプレーは絶対に叶わなくなるのです。何のために頑張って合格したんだ、と思うのが普通かもしれません。

その運命の学年ミーティングが行われる時期が近づいてきました。自分自身の心と、同期みんなの願いや期待を総合的に考えて、私は決心しました。

「よし、マネージャーやってみよう。」


それからというもの、みんな気を遣って直接は言いませんが、私からも、「大丈夫、俺がマネージャーやるよ」、という雰囲気を出し始めることになります。そうして、同級生たちとコミュニケーションを重ねて、学年ミーティングの前にはほぼ、話はついている段階となっていました。


迎えた学年ミーティング、一瞬の静寂が流れた後、私は迷いなく挙手して、


「俺がやる。俺で、いいかな?」


とみんなに伝えました。拍手が起きて、誰も涙を流すこともなく、おそらく史上最速で、このマネージャー決めミーティングは終了しました。



マネージャー、湊谷が誕生した瞬間でした。

↑私がマネージャーになった時、当時19歳で初めて書いたブログです。私の偽りない気持ちが綴られています。

ブログで使われた写真。左は同級生の山本(星稜高 出身)




次回予告(?)


さて、まずここまで読んでくださった皆さまにお詫びです。

先輩たちとのエピソード等、これでもだいぶ削っているのですが、前回の記事で書いた次回予告の内容には遠く及ばない段階で、私は平気でこの記事を締めようとしています。大変申し訳ございません。

ただ、今の私の原点である立教大学野球部マネージャーになるまでの一連の流れは、自分の言葉でしっかり書かせていただきたく、今回の文構成となりました。

マイペースですが、こんな感じで引き続き振り返っていこうと思います。

そして、お待たせしました、次回予告(?)です。
今回でお分かりかと思いますが、あまりアテにしないでください。笑

・マネージャーって、めちゃくちゃ面白い!マネージャー業務にハマった私

・どうする、就職活動


本日もご覧いただき、ありがとうございました。

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