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【無料】基礎から分かる水産用語<7> TACとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

TACとは

 水産資源維持のため国などが魚種ごとに定める一定期間に漁獲できる上限量。Total Allowable Catch(漁獲可能量または総漁獲可能量)の略で、タックと読む。生物学的に許容される漁獲量の生物学的許容漁獲量(ABC)をもとに設定する。2020年の新漁業法の施行以降、TACによる管理を行う資源は「特定水産資源」と定められている。漁獲できる数量を設定し乱獲を防ぐことで、資源の維持・回復と漁業経営の安定を目指す。

 日本政府は①漁獲量が多く国民生活上特に重要②資源状態が悪い③日本周辺で外国人が漁獲している-のいずれかを満たす魚種をTACの対象にしている。現在はクロマグロ、サンマ、スルメイカ、サバ類、アジ、マイワシ、スケソウダラ、ズワイガニの8種。水産庁資源管理部管理調整課は「対象魚種の拡大に向けたスケジュールに基づき、23年度までに漁獲量の8割がTAC対象魚種になることを目指している」と説明する。

 TACに基づく漁獲量の管理方法は、オリンピック、個別割当(IQ)、譲渡性個別割当(ITQ)の3方式がある。オリンピック方式は早獲り競争で、漁獲量の合計が上限に達した時点で終漁する。IQ方式は漁業者などに個別にTACを割り当てる。ITQ方式は個別に割り当てたTACを他の漁業者などに譲渡できる。

みなと新聞本紙2022年4月5日付の記事を掲載