見出し画像

【無料】基礎から分かる水産用語<9> 海面養殖とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

海面養殖とは

 海面を生かし、魚や貝などを育てること。陸上の施設で海水を利用して育てる場合も含む。日本での水産物養殖はほとんどが海面養殖だ。水産物の生産方法としては全体の約4分の1近くを占める。農林水産省によると、2020年の生産量は97万81トンとなった。種類別にみると、日本ではブリ類やマダイ、ホタテガイやカキなどが多い。

 世界の水産物生産量でみると、海面養殖は27%に当たる。国連食糧農業機関(FAO)が発表した世界の20年海面養殖量は前年比2%増の5739万トン。海藻類やサケ・マスなどの養殖が盛ん。2000年以降、生産量は一貫して増え続けており、20年間で約2・6倍になった。

 日本では農林水産省が20年に「養殖業成長産業化総合戦略」を策定。生産量と輸出額に目標を設けた。例えばブリ類は30年に24万トンを生産し、1600億円の輸出を目指す。それぞれ基準年とする18年比で生産量が1・7倍、輸出額が10倍になる水準を設定している。

 水産庁の神谷崇長官は22年年頭所感で「『養殖業事業性評価ガイドライン』などを周知しながら、養殖業者の経営力の強化を推進する」とコメント。同ガイドラインは養殖経営体の成長につながる融資の円滑化を図り、金融機関などによる養殖業の経営実態の評価を容易にするもの。同庁ホームページ上で公開している。

みなと新聞本紙2022年4月12日付の記事を掲載