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劇場屋根裏の鳩

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映画・演劇・歌舞伎など、見てきたものの感想など
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2024年9月の記事一覧

【映画鳩】関心領域【感想】

予告の時点から、絵作りはスタイリッシュなものの悪趣味だなあと思っており、その印象は覆ることはなかった。それ以上でも、それ以下でもない。悪趣味極まるけれども、それを突きつけられるように見る映画です。 (注:以下ネタバレあります) アウシュビッツ強制収容所の真隣に住んでいた、ドイツ人将校家族の視点で流れていく話です。ただずっと、その家族の生活が映し出されていくのみ。ほんとうに普段の生活、父は仕事に行き、母は家のことをやったり子どもたちを学校に送り出したり。父子連れ立って川に遊

【歌舞伎鳩:番外編】三人吉三(五月シネマ歌舞伎)【感想】

先にパロディのような演劇を見ていましたが、あれが結構忠実に話を進めていたことをようやく知った。確かにこの演目を見ると、どうにかこうにかハッピーエンドにしたいかもしれない。 以下引用はあらすじ。 三人の吉三にまつわるあらゆる巡り合わせを絡めて構成されている話で、もうこれがうまく作られているのがただただすごいなあと、そこばかりに目がいきますね。途中で和尚に全ての情報が集約されてしまうところ、ここで観客にも全ての因果を理解させるように作られているのが構成の妙。 三人の吉三が同等に

【歌舞伎鳩】福叶神恋噺ほか(歌舞伎町大歌舞伎 / THEATER MILANO-Za)【感想】

中村屋さんだ!ということで意気揚々とお切符をとっていたら、なんとその後もう一枚いただくという謎の事態が発生しましたため、2回見ました。どちらも1階G-H列5番あたり。花道(仮)が近く、役者さんがみなさん大変近くを通って行かれました……。 正札附根元草摺 ざっくりとしたあらすじ: 父親を討った仇である工藤祐経の屋敷に向かおうとする曽我五郎(中村虎之助)。それを引き止めようとする小林朝比奈の妹・舞鶴(中村鶴松)。 ただ引き止めるだけでは五郎は止められないと悟った舞鶴は、男女の