💊虫よけ（忌避剤）【今のシーズン、必見！】

良い具合に暑くなってきたし、更にGWにもなり、アウトドアに行かれるお客様も増えると思う。

ってわけで、虫よけについての記事を書いてみたぜ。

はじめに…

ディートやイカリジンが配合された虫よけとハーブを使った虫よけをざっくり説明する。

●衛生害虫に効能があるものを、医薬部外品または医薬品と呼ぶ。どちらも、虫を寄せ付けない成分のディートまたはイカリジンが配合されている。

衛生害虫
：ヒトに対して直接的な被害を及ぼす虫のこと

ディートは、高濃度で使用する場合に長時間の効果があるが、皮膚刺激や健康への影響のリスクが高く、独特の匂いもある。プラスチックや合成繊維などの素材に対して腐食性があることも知られている。
一方、イカリジンは低濃度でも効果がある肌にやさしめの成分だ。更に、ディートに比べると匂いも少なく、繊維素材に対する影響も少ない。
一般的には、イカリジンがディートより肌にやさしく、リスクが低めの虫よけ成分とされている。

●虫を忌避するとされているハーブ（ラベンダー、シトロネラ、ペパーミントなど）を使った虫よけシールや虫よけリングは、雑貨に分類される。ちなみにハッカ油は食品添加物だよね。このタイプの商品はディートやイカリジンよりも効果が弱め。

ディートとイカリジンは化学反応によって人工的に作られた物質、いわゆる化学物質に対し、ハーブなど天然由来成分から作られるものは、天然成分である。
これらを分類し、それぞれの商品を細かく解説しよう。

化学物質

【ディート、イカリジンに共通するポイント】
イカリジンやディートの効果は、濃度が高くなると持続時間が長くなる傾向があるが、基本的に効果が強くなるわけではないです。

上記について、簡潔に解説すると効果の強さについては、成分の性質上、虫に対する効果にはある程度限界があるってことだ。
濃度が高いと当然、肌に対しての刺激やリスクも高くなる。よって適切な濃度の使用が重要だ。特に気軽にディート30%を使うべきじゃない。

ディート配合商品

ベトナム戦争時、アメリカ軍は蚊によるマラリアやデング熱などにより、苦しんでいた。何とかするために、アメリカの陸軍が蚊などの虫を撃退する虫よけ剤を開発した。それが、ディート。
その後、民間でも広く利用されるようになりましたってわけです。
ディートは5%～12％以下、30%のものが販売されている。

左から、ディート10％・ディート12％・ディート30％

●区分
：30％と12％は第２類医薬品（10％までは防除用医薬部外品）

●効果効能
：蚊、マダニ、ブユ（ブヨ）、アブ、ノミ、イエダニ、サシバエ、トコジラミ(ナンキンムシ)の忌避
※第2類医薬品(12%以上の濃度)からツツガムシも忌避できる
※12%は6時間程度、30%は8時間程度の持続時間
※ヤマビルはディートの効果が期待できない場合もあり、商品によってヤマビルの効能の有無がバラバラ。よって意図的に書いていない

●使用制限、年齢制限
：顔に使用することはオススメしない（１２歳未満は顔への使用はNG）
：6か月未満の乳児には使用しないこと
：6ヶ月以上2才以上は、1日1回
：2才以上満12才未満は、1日1～3回
：30％は12歳未満禁忌
：肌が弱い小児への使用は避ける
：漫然とした使用は避ける

使用者の年齢確認が大切。
パッケージに記載されている年齢制限もその都度、お客様と一緒に確認しよう。

イカリジン配合商品

ディートは強い匂いや刺激性があることから、1986年、ディートに代わるものとしてドイツのバイエル社が開発した虫よけ剤。それが、イカリジン。
5%〜15%のものが販売されている。

左から、イカリジン10％・イカリジン１5％

●区分
：防除用医薬部外品

●効果効能
：蚊成虫、ブユ、アブ、マダニの忌避

●使用制限、年齢制限
：基本的に顔に使用しても安全
：年齢制限なし（赤ちゃんから大人まで使用できる）

Q、『イカリジンよりもディートの方が効果が強い？』

A、イカリジンは低濃度でも同じ虫よけ成分であるディートと同等の効果がある。しかし、効果効能的には、ディートの方が対策できる虫が多いのが現状。よって、より詳しくいうならディートは効果が強いというよりも、対応できる虫の範囲が広いというべきかな。

ソースのリンクを張っておく。↓

薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録（2015年3月6日）

本剤は、新規有効成分として、イカリジンを原液100mL中に5.0ｇ含有するエアゾールの忌避剤です。
〜省略〜
(１)本邦の忌避剤における本成分の位置づけについてです。申請者の説明にあるとおり、本成分はディートと同等以上の有効性を示し、米国でも効果が認められております。
先ほども申しましたが、本邦での忌避剤はディートのみであり、機構では一部作用機序が不明な部分は残るものの、ディートと異なる機序を持つ可能性が示唆されており、本成分は、新たな忌避剤の選択肢となり得るものと判断いたしました。 　
(２)本剤の有効性についてです。本剤の申請時の適用害虫は、蚊成虫、ブユ(ブヨ)、アブ、サシバエ、イエダニ及びマダニでした。このうち蚊成虫、ブユ(ブヨ)に対しては、いずれも２施設の実地効力試験において、また、マダニに対しては２施設の人腕を用いた忌避効力試験において、塗布後６時間まで、10％ディート製剤と同様に、100％の忌避率が得られていることから、これら害虫に対する有効性が確認できたと判断しました。
一方で、サシバエ及びイエダニについては、本剤を用いた効力試験が実施されていないことから、これら害虫に対する有効性が明らかではないと判断しました。
また、アブの実地効力は、１施設のみによる評価でしたが、施設の実施可能性を踏まえ、塗布後６時間まで10％ディート製剤と同程度の忌避効果が認められていることから、有効性が確認できたと判断しました。

さっきの貼ったリンクの薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録より

簡潔にすると、効果的にはディート10％とイカリジン5%は同程度の強さということである。

さて、次は天然成分を解説しよう。

その前に…
天然成分配合の防除用医薬部外品の虫よけスプレーもたくさんあるよねって話。

防除用医薬部外品（ディート10％＋ユーカリオイル配合）

短いけど以上（笑）。

さて、本題。

天然成分（ハーブ系）

ディートやイカリジンと比べると効果が劣るといわれている。
※天然成分だから、必ずしも安全というわけではない。勿論、個人差もある

ハッカ油

虫はハッカ油の香りが苦手。この香りが蚊、ハエ、ハチ、アブなどの虫に対して効果を発揮する。虫除けスプレーとして使う場合は、水やエタノールで希釈して使うのが一般的。

【食品添加物】ハッカ油

ハッカ油スプレーの持続効果は約1～2時間といわれている。
ディートやイカリジンと比べると持続時間でも劣ってしまうが、少しの時間の外出だけなら使えるよね。 長時間の外出なら、こまめにハッカ油スプレーを吹きかけるようにしよう。

虫よけシール・虫よけリング

小児に対して虫除けスプレーを使用できない時の代替品として便利。

左から、虫よけシール・虫よけリング

●虫よけシール
：肌ではなく、帽子や服などに貼って使用することに注意
：5～6時間持続、8時間や12時間持続する商品などもある

●虫よけリング
：手や足につけるだけの便利アイテム
：使い捨てタイプの12時間持続するものと、繰り返しタイプの約1ヶ月間持続するものなどがある

選び方まとめ

●ツツガムシを寄せ付けたくない！
→ディート12％か、ディート30％の第2類医薬品を。（※ディートの医薬品にのみ、ツツガムシの効能がある）

●山などで野外活動をする予定です！、海外旅行に行きます！
→対応できる虫の種類が多いディート配合商品がオススメ（※使用者の年齢確認をしっかりとした上で）

●家族全員で使用したい！、小さな子どもが使う！
→ 赤ちゃんから使えるイカリジン配合商品がオススメ

●ディートの匂いが苦手！、匂いの少ないものが良い！
→ディートよりも匂いが少ないとされるイカリジン配合商品がオススメ

●ディートやイカリジンは心配！
→天然成分であるハーブを使ったハッカ油、シールやリングを提案（※効果が弱くなることも伝えながら）

　

以上。
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