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ティール組織とは②

 階層のない組織を構築する。皆が本来の特性を生かし、組織の成長の為貢献する為には、そもそも何故、組織に階層ができてしまったのか?ということを考えなければならない。

 ティール組織を提唱した著書、Reinventing Organizations 「ティール組織」フレデリック・ラルー著、鈴木立哉訳に記載されている。組織の体系をカラーに例えるなら、人類は、レッド(Red)→アンバー(Amber)→オレンジ(Orange)→グリーン(Green)という組織形成の過程を辿ってきた。

レッド(Red)衝突型
集団をまとめるために、暴力を行使し、恐怖で支配する。短期思考で、混乱には強い組織。この組織において、労働分担、指揮権限という概念が確立される。マフィア、ギャングの組織体系。

アンバー(Amber)順応型
ピラミッド型の組織階層。トップダウンによる指揮系統。何もかも上が決め、下は従うのみ。厳格な規律、プロセスが重視され、安定が重視される組織。プロセス、長期視点という概念が確立。軍隊、行政機関の組織体系。

オレンジ(Orange)達成型
競争に勝ち、利益を得、成長する組織。イノベーションを用い、上層部が組織を主導する。組織を統制するための説明責任、組織を発展させる為の実力主義という手法が開発される。人材は資源という概念強い。多国籍企業で用いられることが多い。

グリーン(Green)多次元型
ピラミッド型組織は維持しながら、文化と権限委譲を重視し、モチベーションを高めることで、生産性をあげる。組織はモチベーション重視し、権限委譲を進める。上位階層は、企業文化育成を発展させる役割となる。非営利団体や、一部の先進的営利企業でも実践されるている。

では、次の組織体系と言われているティール組織とは何か?著書「ティール組織」では実践している企業を例にいくつか定義している。

定義1ーセルフマネジメント
 組織構造としての階層を撤廃し、複数のチーム(1チーム最大で12名程度)でマネジメントを行う。経営層と従業員としての階層すらなくし、各チームが全責任を負って職務を全うする。権限もチームに委ね、自ら決定し、実行する。各メンバーには役職はなく、業務内容やプロジェクトによって流動的に役割分担を変えていく。
 人事、ITや財務といったいわゆる専門家として経営層を支えるもスタッフチームも存在しない。ただし、各チームマネジメントに対するアドバイザリーを行う少人数の専門家が各チームからの要請に従ってアドバイスを行う。
 意思決定においても、チーム内のリソースでは不足する部分は、専門家やあるいは、知識や経験のある他のメンバーにアドバイスを求め決定する。場合によっては、各チームで話し合い、チームの構成員の変更を行う(これは、多くの企業の専門のスタッフが密室で行う人事異動という業務とも言えるが、ティールではチームの誰もが参加できる話し合いの場で決定される)
 当然意思決定を行うには、経営状態の把握は必須である。よって、全ての経営数値は誰もが閲覧できるようになっている。また、個人の給与も例外ではなく、全て公開されている。しかも、ティール組織では、給与の決定権も他の業務と同様に自分で決定する。
 多少、脇道にそれ、主観も述べるが、この給与決定はかなり難しい。自分の価値を自分で定義しなければならない。一般的な企業だと、入社時の給与はこれくらい、そこから、成果を出せば(あるいは、出したように見せると)上司や人事が自分を評価し、自分の給与を設定してくれる。しかし、ティール組織では、自分の存在価値を給与として自分で設定し、その価値に見合う成果を指すことを自分自身に要求しなければならない。一般的な企業に長年属していると、この考えができず、組織に迎合し、自分の本当の価値について見て見ぬふりをしてしまう人間も少なからずいる。この価値の定義を常に行っているのは、フリーランスや経営者という仕事を選択した人間である。つまり、ティール組織では、全員がフリーランスであり、経営者ということになる。
 ティール組織では、自らに決定権はあるが、組織内では、単独で行えない業務やプロジェクトが多数ある、ほとんどと言っても過言ではない。一般的な企業では、それをまとめていたのが、上司であり、経営層であった。ティール組織では階層がないため、決定権は自分にあっても、他者の協力が必要な場合は、協力を要請しなればならない。命令はできない為、強制力はない。必然的になぜこの仕事にあなたの協力が必要なのかを明確に説明できなければならない。業務を遂行するには、高いコミュニケーション能力が要求される。
 では、給与を自分で決定するのであれば、評価はあるのだろうか?もちろん、ティール組織でも評価はある。チームメンバーは全てのメンバーを評価し、全てのメンバーに評価される。チームメンバー全員からフィードバックがあるため(このフィードバックが大事だが)自分の認識と他者からの認識を理解し、次なる課題が生まれる。また、チームメンバー全員の給与も知っているため、相対的に自分の給与価値も意識することができる。
 また、どんな組織にもあることだが、チーム内には、モチベーションを失っているチームメンバーもいる。高いモチベーションのメンバーからすると、思うように業務が進まないことに苛立ちを顕にすることもある。ティール組織を運営しているいくつかの組織は、紛争の解決方法も、明確にしている。当事者同士での話し合いである。双方が納得することを目的とし、お互いの理解を深め、尊重することを第一段階としている。当事者同士で解決しない場合は、双方が合意する第三者を交え解決に向けて話し合いを行う。紛争解決方法を事前にプロセス化することで、実際に紛争に至る前に、感情的にならず、相手に対し、冷静に向き合える環境を作っているとも言える。

次回は、ティール組織定義2、3について述べたい。

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