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今週のSaaSニュース! Vol.71(10/17週)

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今週の資金調達ハイライト

グローバル×リモート採用支援SaaS Deel $425M調達

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フルリモート前提のグローバル人材の給与計算、採用、オンボード、福利厚生を一括で提供するDeelは、コロナ禍で急成長を遂げた時代の寵児といえるHR系SaaSスタートアップ。2020年5月のシリーズAからほぼ半年おきにラウンドを重ねている。2020年9月に500社だった顧客数は、この1年で9倍超の4,500社まで急拡大している。顧客は、ShopifyやCoinbaseなどテック企業が中心。今回のシリーズDは、$5.5BのバリュエーションでCoatueがリード。(Deel動画)

統合型従業員オペレーション管理SaaS Reppling $250M調達

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Ripplingは、給与計算や勤怠などの従業員データに関わるHRソリューションと、従業員のデバイスやSaaSなどのIT周りのオンボードを一気通貫で提供するSaaSスタートアップ。創業者のParker Conradは、一世を風靡したHRtechユニコーン Zenefitsの創業者兼元CEOで、退任後の2016年にRipplingを創業した。プロダクトが広範囲に渡るため、800人いる従業員の40%はエンジニアというエンジニアヘビーな企業だ。この1年でARRは2.7倍に拡大している。今回のラウンドは、SmartHRの投資家としても知られるSequoia Capital Global Equitiesの他、Founders Fundなど著名投資家が参加。バリュエーションは、$6.5Bに達する。(Reppling動画)

SMB向け情報システム部門代替SaaS Electric $90M調達

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Electricは、SMB向けのHRソリューションを一括して提供するJustworksの情報システム部門版と言えるSaaSスタートアップ。ラクスル社の新事業として話題になった「ジョーシス」のように、デバイスやSaaSのオンボード/オフボード、ITヘルプデスクを一括で提供している。主なターゲットはスタートアップ。現在700社、4万人にサービス提供している。過去2年連続で、2倍超のARR成長を達成しており、ARRは$20M近くに達している。今回のシリーズDは、GGVがリードし、既存投資家のBessemer Venture Partnersなども参加。

法人カード×支出管理SaaS Brex $300M調達:日本のUPSIDERの株主としても知られるGreenoaksがリード投資家。バリュエーションは$12.3B。

統合型広告効果計測SaaS VideoAmp $275M調達:VideoAmpは、TV広告からデジタルアドまで企業の広告効果を一気通貫で測定し、データドリブンの広告購入を支援。過去5年連続で2倍超の売上成長。本シリーズFは、D1 CapitalやTiger Globalなどから$1.4Bのバリュエーションで資金調達。

企業向けP2PラーニングSaaS 360Learning $200M調達:360Learningは、エンタープライズ向けに従業員同士が協働して学習コンテンツ作成から実施まで行うLMS(Learning Management System)。 トヨタやLVMHが顧客。今回、SoftBank Vision Fund 2やSilver Lakeなどから資金調達。

ブラジル発バンキング・決済インフラSaaS Pismo $108M調達:Pismoは南米に特化したBanking as a Service。今回のシリーズBは、SoftbankとSaaS/Fintech系では珍しいAmazonの共同リード案件。

企業向け気候変動リスク予測ソフト Jupiter $54M調達:Jupiterは、世界のESGシフトの中で注目される環境分野のソフトウェア企業。本シリーズCは、Clearvision Venturesと日本のMPower Partnersが共同リード。

今週の主なIPO/M&A

個人&法人向け経費管理SaaS Expensify S-1提出
企業向けカスタマーエンゲージメントSaaS Braze S-1提出
New Relicがコラボレーション開発チャット CodeStream買収

マーケットトレンド

ジェフリー・ムーアが予想する「SaaSの未来」

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名著『キャズム』の著者で知られるテック業界の超重鎮ジェフリー・ムーアによる、SaaSの過去・現在・未来に関する論説記事。過去起こってきたSaaSモデルの席巻は、1)価格と可用性、2)マルチテナント方式、3)ソフトウェアのコンシューマ化、4)ベンダーから顧客へのパワーシフト、5)SaaSのプラットフォーム化により起こってきた。現在は、ホリゾンタルSaaSからバーティカルSaaSへの拡大で更なる広がりを見せている。

彼の予測するSaaSの未来とは?SaaS市場が成熟に向かうにつれ、機能競争から顧客への成果競争へ、カスタマーサクセス重視になると予測している。

パンデミックの終わりとクラウド企業への逆風?

世界はコロナによる制約が緩和され、コロナとの共生へと向かっている。その中でクラウド企業の成長には陰りが見え始めている。Zoom、Box、Docusignなどはウォールストリートの期待を裏切る業績のため、株価は大きく下落し、投資家の過剰な期待の高まりに苦しんでいる。一方のクラウドの巨人であるMicrosoft、AWS、Salesforceのような、マルチプロダクトのプラットフォーマーは、この2年でさらに市場での存在感を増している。その中で、Zoomなどの特定分野のトップ(Best of breed)SaaSは、新たな成長の方向性を打ち出すことが求められている。内製にせよ、M&Aにせよ、周辺分野のマルチプロダクト化の市場圧力が高まっていると指摘している。

カスタマーサクセス

顧客と強い関係を構築するための11アクション

既存顧客との強い関係の構築は、SaaS企業の成長には欠かせない。このSaaStrのYouTubeは、CEOや経営幹部がやるべき11個のアクションを解説。

顧客と強い関係を構築するアクション11
1. 重要顧客と30日、60日、90日後にレビューコール
2. 週6社以上の顧客とZoomコール
3. トップ顧客に年2回訪問
4. NPSなど顧客満足度の測定
5. 全ての顧客にCSMを設定
6. 毎週同じ時間にウェビナー開催
7. (非公開でも)透明性のある価格
8. 簡単にできるダウングレード
9. 既存顧客向けマーケティング
10. QBR(四半期の事業レビュー)
11. イベント開催

プロダクト開発

新人プロダクトマネージャー(PdM)向けPRD作成ガイド

PRD(Product Requirement Document, 製品仕様書)は、プロダクトマネージャーが他部門や社内全体とプロダクト開発の共通認識を持つために作成・更新し続ける重要なドキュメント。この記事では、一般的なPRDの資料構成や、特に新人PdMが注意すべき3つのポイント(以下)を解説している。PRDでの運用をやってない企業は、ぜひ検討することをオススメします。PRDテンプレート例は、こちらの記事を参照してみてください。

新人PdMがPRD作成で注意すべき3つのポイント
1. 不要なワードを排除し、簡潔かつ詳細に書く
2. ユーザーストーリーは最も基本的な機能からスタートする
3. 常に文書を更新し続け、更新したら必ずエンジニアに伝える

マネジメント

起業家向けセルフケアのススメ

GoogleやEtsyなど数多くのテック企業で、エグゼクティブコーチを20年以上務めているAlisa Cohenの新書『From Start-up to Grown-up(成熟したリーダーになる方法)』の要旨をまとめたOpenview Venture Partnersの記事。

この記事では、起業家が陥りやすい"インポスター症候群"(何かを達成し、周囲から高く評価されても、自分自身の能力や実績に疑心暗鬼になり、過小評価してしまう心理状態のこと)への対処法を中心に解説しています。Cohen氏曰く、「自分の中にあたかも"自分の上司"がいるかのように客観視し、自分が内面で抱えている恐怖や心配事が何かを明らかにして、1つ1つに対処法を冷静に考え、実行していくことが重要」と語っています。

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