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今週のSaaSニュース! Vol.63(8/22週)

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今週の資金調達ハイライト

投資分野の組込型金融SaaSリーダー DriveWealth $450M調達

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Robinhoodに代表されるように、近年、世界的に個人投資はブームになっている。ネオバンクなど、投資×Fintech外のプレーヤーも虎視眈々とこの大きな潮流を狙っている。DriveWealthは、API経由で投資プラットフォームを柔軟に組み込むことを可能にする、投資分野のEmbedded Financeのマーケットリーダー。英・大手チャレンジャーバンク Revolutなど、グローバルで100社に提供している。今回のシリーズDでは、$2.85Bのバリュエーションで、Insight PartnersやAccel、Softbank Vision Fundなどから$450Mを調達した。(DriveWealth In|Vest 2019デモ動画

クリエーター向けビジュアル編集SaaS Picsart $130M調達

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Picsartは、クリエーター向けにアーティスティックな画像や動画編集を可能にするSaaSとモバイルアプリを提供するスタートアップ。YouTuberやInstagrammerなどの個人のクリエーターに加え、Piscartは集団で働く、プロのクリエーターチームを狙っている。2021年初めにARR $50Mを超え、現在すでにARR $100M越えを達成している。今回、Softbank Vision Fund 2リードで、$130Mを調達。バリュエーションは$1Bを大きく超え、ユニコーン入りを果たした。(Picsart日本語字幕デモ動画

迅速な顧客対応のための社内ナレッジ活用SaaS Shelf.io $52.5M調達

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Shelf.ioは、CSや営業などの企業の顧客対応部門向けに、顧客の問合せに迅速に対応するためのナレッジデータベースSaaSを提供するスタートアップ。Shelf.ioでは、SalesforceやZendeskなどのデータを統合し、独自のAIモデルで学習、担当がリアルタイムで、ベストな回答をできることを支援している。GartnerやG2 Crowdなどの評価期間で、同分野ではNo.1の評価を受けている。直近1年間で、ARRは4倍、売上継続率(NRR)は130%、チャーンは0%と驚くべき実績を実現している。本シリーズBでは、Tiger GlobalやInsight Partnersから$52.5Mを調達。

コンタクトレス アルバイト採用支援SaaS Workstream $48M調達

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ロックダウンが長く続いた欧米では、飲食店などのサービス業でのアルバイト不足が喫緊の課題。Workstreamは、テキストでアルバイトの応募、やり取り、面談スケジューリングを一括して行うことができる、アルバイト特化型採用支援SaaS。昨年1年間のARRは10倍に成長。主なターゲットはエンタープライズ×飲食業。マクドナルドやサブウェイなど1,500社、1万店舗で導入されている。今回のシリーズBでは、たった9日間で12枚のタームシートをVCから受け取り、メリー・ミーカー率いるBONDとGoatueなどから総額$48Mを調達した。(Workstream導入事例動画

法人カード・支出管理SaaS Ramp $300M調達:Brexの競合のRampは、急成長する法人カードSaaSの1社。総決済金額(TPV)は1年で1,000%増。本シリーズCでは、前回4月の3倍の$3.9Bのバリュエーションで、$300MをFounders Fundなどから調達した。

オープンソース型分析・可視化SaaS Grafana Labs $220M調達:Grafanaは、データソースに接続することで、チャートやグラフ、アラートの機能を提供するオープンソース型SaaS。本シリーズCでは、$3Bのバリュエーションで、Sequoia Capital、Coatueなどから$220Mを調達した。

不動産物件の修繕・管理SaaS Plentific $100M調達:イギリス発のPlentificは、不動産オーナー向けに物件の修繕を依頼するマーケットプレイスと不動産物件の管理をするSaaSを提供するスタートアップ。本シリーズCでは、Highland Europeなどから$100Mを調達した。

ソフトウェアテスト自動化・RPA SaaS Leapwork $62M調達:デンマーク発のLeapworkは、ノーコードでソフトウェアテストを自動化するSaaSを提供するスタートアップ。ターゲットは、金融、保険などのエンタープライズ企業。本シリーズBでは、KKRやSalesforce Venturesなどから$62Mを調達した。

ヘッドレスEC SaaS Nacelle $50M調達:Nacelleは、EC事業者向けに、柔軟なECサイト改善を可能にする”ヘッドレスコマース"SaaSスタートアップ。本シリーズBでは、Tiger Globalから$60Mを調達した。

ノーコード ビジネスアプリ開発SaaS Stacker $20M調達:イギリス発のStackerは、ビジネス部門がノーコードでアプリ開発できるSaaSを提供。本シリーズAでは、Andreessen Horowitzなどから$20Mを調達した。

今週の主なIPO/M&A

Adobeがビデオ作成・編集SaaS Frame.ioを$1.28Bで買収
法人カードBrexがコマース向けAPI Weavを$50Mで買収
法人カードRampが”negotiation as a service" Buyerを買収

マーケットトレンド

Fintechレボリューション:最新のFintechトレンド

Squareの元バンキング部門責任者 Jackie Reses氏と、米top-tier投資家 Coatue ジェネラル・パートナー Michael Gilroy氏による、Fintechの現在までのトレンドと今後の予測をまとめた49ページにわたるレポート。BNPLや暗号通貨などB2C Fintechの話だけではなく、B2C Fintechを作るためのSaaSや、ShopifyやToastなどSaaSからのFintechへの進化の話も分かりやすくまとめているので、SaaSスタートアップの方の中長期の展望を考える上で示唆が多いので、非常におすすめです。

ストラテジー

テック大手にスタートアップが勝つには?

「GAFAMのようなテック大手と競合して勝てるのか?」このような質問を、投資家から受けたことがあるスタートアップ経営者の方もいると思います。こちらは、名著「Blitzscaling」著者とLinkedIn創業者 Reid Hoffmanが、このテーマについて対談した米VC Greylockのポッドキャスト。結論から言うと、スタートアップは十分に大手に勝てる可能性はあります。大手が参入しても、数多ある新規事業の1つで優先順位が低かったり、本業とのカニバリがあって、イノベーションのジレンマに陥ってることもあります。但し、スタートアップの強みである"集中"と"スピード"を意識し、特定のグループ(ニッチ)を狙ったプロダクトへの集中が必要不可欠。またスケールする上では、顧客のエンゲージメントを下げずに、ロックインの仕組みをいかに築くかが肝要と解説しています。

営業&マーケティング

アーリーステージSaaSに効果的なマーケティング戦術

PMFが見えてきたアーリーステージのSaaSがよく直面する課題の1つが、「顧客リードが足りない」=マーケティングにまつわる課題です。このSaaStrの記事では、アーリーステージのSaaSスタートアップが知っておくべき、10個のマーケティング戦術について解説しています。

アーリーステージSaaS向けマーケ戦術
1. まずは何でも試す。効果が出たら深掘る
2. 口コミを産む、既存顧客へのマーケ施策を打つ
3. "無料"はマーケティングではないと認識する
4. 競合より10倍得意なマーケ施策にフォーカスする
5. コンテンツマーケに向け、分野の専門家になる
6. 売りにつながる、良質かつ少ないメールを打つ
7. 1,000通のスパムメールよりカスタマイズされた100通のメール
8. 競合のいるチャネル・場所を敬遠せず、むしろ乗り込む
9. 質の高い、週次のウェビナーを開催し、リストを増やし続ける
10. 狙いがはっきりしない内は、代理店に無駄遣いしない

プロダクト

偉大な企業に必要な技術戦略(Technical Strategy)とは?

日本のスタートアップでは、プロダクト戦略についてはよく語られるが、その基盤となる技術戦略(Technical Strategy)について語られることは少ない。しかし、米国の偉大なテクノロジー企業では、優れた技術戦略を必ず持っている。代表例はZoomだ。Zoomはビデオ会議というレッドオーシャンの中で、高いビデオ品質と安定性をMoatに圧倒的なポジションを築いた。この記事では、プロダクト戦略と技術戦略の違い、プロダクト戦略を作ることのメリットを解説したReforce(大手テック企業の幹部出身者で構成された、起業家育成プログラム)による記事。

記事では、技術戦略が必要な理由を3つ挙げている。

1) 技術戦略は、プロダクト開発と組織のスピードを上げる
2) プロダクトのMoatは、技術戦略によって産まれる
3) 技術戦略の質が低いと、PMFの質も上がらない

以下は、Spotifyのプロダクト戦略と技術戦略の例を示している。

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マネジメント

高成長企業でチーム作りが難しい理由と対処法

高成長企業では、急速に人員を増やすことが不可欠だ。しかし、新しく入ったメンバーと元からいたメンバーを機械的に分けたり、混ぜたりするだけでは下図のように、チームのミッションが不明確でチームのスキルが不足し、求められた業務がこなせず、チームの定着が悪化する結果となる。この記事では、この問題に対処するために、2つの指針を提案している。1つ目は、戦略が成熟し、明確な場合は、確立されたチームを作り、そうでなければ、チームに柔軟性を持たせることが必要だ。2つ目は、カルチャーの浸透のために、"ロールモデル"、"システム(組織体制、業務プロセス/ポリシー)”、"シンボル(行動指針)"の3つを設計することが必要と説いている。

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