見出し画像

今週のSaaSニュース! Vol.60(8/1週)

※SaaSニュースレター登録ご希望は、こちら

今週の資金調達ハイライト

英国発 All-in-one オンラインイベントSaaS Hopin $450M調達

画像1

いま最もホットなSaaSスタートアップと言えば、必ず名前のあがるオンラインイベント特化SaaS Hopin。Hopinは、コロナ直前の2019年に、オーストラリア生まれのJohnny Boufarhat氏が、27歳の時に英国で創業した。コロナ後の世界的なリモートの波を掴み、現在では、世界10万社以上が導入、毎月数百万人が利用するSaaSに急成長している。Boufarhat氏は、英国史上、独力でビリオネアになった人物としては、歴代最年少。今回のシリーズDラウンドは、Arina HoldingsとAltimeter Capitalの共同リードで、Andreessen Horowitzなど多数の著名VCが参加。$7.75Bのバリュエーションで、$450Mを調達した。(Hopin動画)

英国発 ローカル決済 Fintech as a Service Rapyd $300M調達

画像2

Rapydは、2016年にイスラエル出身の3人が、英・ロンドンで創業した企業向けに、世界各地でFintechや決済機能を実装するためのFintech as a Serviceを提供するユニコーン企業。米Stripeがライバル。顧客は、SMBのEC事業者などに加え、IKEAやUberなどのグローバル企業まで幅広い。グローバル展開のみならず、ハイリスクだが急成長している、暗号通貨やオンラインゲームへの決済提供などにより、昨年10月から売上は3倍に成長。 本シリーズEは、Target Globalリードで、Hopinにも投資しているAltimeter Capital、BlackRockなどが参加。$5Bのバリュエーションで、$300Mを調達した。(Rapyd動画)

Eメール生産性向上SaaS Superhuman $75M調達

画像3

招待制による消費者心理(FOMO)の活用や、テックタッチでのユーザーオンボーディングなど、Product-Led-Growth(PLG) SaaSの好事例としてよく扱われる、EメールSaaS Superhuman。ウェイトリスト者数は45万人にも達し、1ユーザー当たりの招待者数は3.4人とバイラル性が非常に高い。ゆえに、企業ユーザーのNRR(売上継続率)は、130-180%と高い数値を記録している。今回のシリーズCは、$825Mのバリュエーションで、IVP、Tiger Globalなどから$75Mを調達した。(Superhuman動画)

元Facebook幹部がつくる 高速ABテストSaaS Statig $10.4M調達

画像4

Statsigは、Facebookでエンタメ事業トップだったVijaye Raji氏が今年2月に創業した、Facebookの高速A/Bテストのノウハウを詰め込んだSaaSを提供するスタートアップ。Sequoia Capital曰く、創業者のVijaye Raji氏は「Facebook社のトップ1%のエンジニア」で高い技術力を持つ人物。Statsigは、前払いのサブスク課金形式をとらず、フリミアム×利用量課金でユーザーを増やしている。本シリーズAは、Sequoia Capitalなどから$10.4Mを調達した。(Statig動画)

グローバルで評価されるデータ分析SaaS Dataiku $400M調達:Dataikuは、データサイエンス・機械学習初心者から上級者まで、全工程を1つのUIで実行できるSaaS。本シリーズEは、Tiger GlobalやSnowflake Venturesなどから、$4.6Bのバリュエーションで$400Mを調達した。

オープンソース型 all-in-one ERP SaaS Odoo $215M調達:Odooは、「オープンソース版freee」とも言えるような、SMB向けのクラウドERP SaaS。世界9万人のコミュニティメンバー、約4千社のパートナー企業が強み。今回、Summit Partnersから$215Mを調達した。

ECパーソナライズ化支援SaaS Bluecore $125M調達:Bluecoreは、ECマーケティングを皮切りに、ユーザーの嗜好性に合わせたECサイトのパーソナライズ化を支援するSaaS。本シリーズEは、$1Bのバリュエーションで、Georgianなどから$125Mを調達。ユニコーンリスト入り。

プロダクトUX分析SaaS FullStory $103M調達:FullStoryは、ウェブ/アプリ上のユーザー動態やエンゲージメントを測定するSaaS。$1.8Bのバリュエーションで、欧州PE Permiraのグロースファンドなどから$103Mを調達。

次世代ID認証SaaS SentiLink $70M調達:SentiLinkは、米国100行以上の金融機関に、不正アクセス検知やID認証のSaaSを提供するスタートアップ。今回シリーズBで、Andreessen HorowitzやCraft Venturesなどから$70Mを調達。

顧客インサイト抽出SaaS Retain.ai $23M調達:Retain.aiは顧客のエンゲージメントデータを統合、インサイト抽出を行うSaaS。本シリーズAは、ZoomやSalesforce.comの初期投資家であるEmergence Capitalから$23Mを調達。

今週の主なIPO/M&A

セールスフォースが独RPAスタートアップ Servicetraceと買収交渉

Squareがオーストラリア BNPL上場企業 Afterpayを$29Bで買収

Workivaが創業4年 iPaaSスタートアップ OneCloudを買収

マーケットトレンド

スマートキャンプ SaaS業界レポート2021速報版

画像5

毎年恒例のスマートキャンプ社がリリースする、SaaS業界レポートの2021年度(速報版)。SaaSの基礎から、2021年でのBOXILでのSaaS資料請求動向など、最新の国内SaaSトレンドを知れるレアなコンテンツが掲載されています。本レポートの完全版は、2021年冬頃リリース予定なので、こちらも楽しみです。

ストラテジー

SaaS企業がMoatを築く10の方法

ネットワーク効果や規模の経済など、テック企業のMoat(=競合に対する障壁)に関する論説は多くあります。この記事は、SaaStr CEO Jason Lemkins氏によるSaaS企業にみられる10個のMoatのパターンをまとめた良記事。一言にSaaSと言っても、Moatの築き方はさまざまあるので、中長期での持続的な成長を維持するために参考にされてみてはいかがでしょうか。

SaaS企業の10個のMoat
1) ブランド力(≓第1想起)
2) ユニークなデータ
3) 構造化されたデータ
4) 販売パートナー網+エコシステム
5) 他SaaS連携バラエティの豊富さ
6) インプリ+活用支援パートナー網
7) 長期契約
8) 豊富な資金/資金調達力
9) エンタープライズ向けの信頼性・認証
10) (競合の長期契約に対する)契約無し

米上場SaaS100社にみるハイパフォーマーの4つの戦略的特徴 By McKinsey

画像6

McKinsey&Coによる、米上場SaaS 100社のRule of 40分析と、ハイパフォーマーの戦略的特徴の考察に関する記事。ハイパフォーマー(上位25%)のEV/Revenueマルチプルは、ローパフォーマー(下位25%)の3倍違うという結果。故に、ハイパフォーマーが戦略として何に重点を置いているかは、企業価値を上げる上で参考になると思います。

米SaaSハイパフォーマーの4つの戦略的特徴
1) TAMに合わせた現実的な成長目標を設定する
2) NRR(NDR)を優先させる
3) 成長速度を意識してGTMへの投資を最適化する
4) 新規事業を迅速に立上げる/独自の評価基準を持つ

プロダクト

自社のSaaSを規定する「独自のカテゴリー」が必要か?

名著『カテゴリーキング』で言われる通り、GoogleやSalesforce.comのような、優れたテクノロジー企業は独自の「カテゴリー」を創り上げ、市場で支配的な地位を確立します。しかし、どのテクノロジー企業でも、独自のカテゴリーが必要なわけではありません。こちらは、Pager DutyやZendeskなどでProduct MarketingをリードしてきたAstha Malik氏による、独自の「カテゴリー」が必要なタイミングや要件、進め方を解説したPodcast/記事。

彼女曰く、独自のカテゴリーを創ることを考えるトリガーとして、お客様(または証券アナリスト)が、自社のプロダクトをどう定義したら良いか「混乱」している状況がトリガーと説いています。また、カテゴリーを創出するための要件として、外部から見て「ユニークで、Moatが明確なポジショニング」が必要不可欠とのことです。

マネジメント

アーリーステージで優れた取締役会を作るには?

起業が初めてのスタートアップの場合、取締役会(ボード)がなぜ必要なのか?わからない方も少なからずいると思います。この記事は、ZoomやVeevaなど、数多くのSaaS企業で社外取締役を派遣してきたEmergence Capitalによる、取締役会のイロハと、重要な4つのポイントについて解説しています。

アーリーステージの取締役会の3つのポイント
1) 取締役会を、負債ではなく、アセット(資産)として捉える
2) 取締役会メンバーには、信頼と透明性を持って接する
3) 取締役会メンバーとは今後10年の長期的な関係と認識する
4) 独立系社外取は、多様性とスキルギャップを埋めるために入れる

※ その他ニュースはこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?