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今週のSaaSニュース! Vol.62(8/15週)

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今週の資金調達ハイライト

「南米版 Shopify Nuvemshop $500M調達

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Nuvemshopは、ブラジル・サンパウロ発のD2CスタートアップなどのSMB/ブランド企業向けに、EC構築を支援するSaaS、決済(Fintech)、フルフィルメントまで一気通貫で提供するスタートアップ。現在、ブラジル、アルゼンチン、メキシコの3か国で運営し、9万社で導入されている。南米は人口6.5億人を抱え、世界で最もEC化の拡大スピードが早い地域。Nuvemshopのユニークさは、独自開発の決済と共に、分散した配送業者を束ね、独自のフルフィルメントネットワークを構築している点だ。今後、ペルーなど他の南米地域への展開、Fintechの拡大、そして急配対応(受注後1-2日)を強化する。今回、$3.1Bのバリュエーションで、Tiger Globalなどから$500Mを調達した。

ノルウェー発 グローバルプリントEC SaaS Gelato $240M調達

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2007年にノルウェーで創業されたGelatoは、ポスターやTシャツのような印刷物を製造・販売するEC事業者やクリエーター向けに、世界のどこでも3日以内の短納期での現地生産、配送を支援するSaaSとマーケットプレイスを運営するスタートアップ。これを実現しているのが、世界33ヵ国の配送業者や印刷業者とのグローバルネットワーク。消費者の無料配送・短納期ニーズや環境意識の高まりの中で、今期第2四半期の売上は前年比+120%を達成している。今回、$1.05Bのバリュエーションで、Insight Partners、ソフトバンク、Goldman Sachs Asset Managementなどから$240Mを調達した。今回の調達資金で、北米・アジア展開と3Dプリンティングへの展開を加速させる。(Gelato公開ピッチデック | Gelato動画

モバイルアプリ開発者向けAdtech×SaaS MOLOCO $150M調達

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2013年 米国発のMOLOCOは、ゲームやFintech、ECなどのアプリ開発者向けに、モバイルでの広告効果を最大化させるDSP(MOLOCO Cloud)を提供するスタートアップ。特にEC向けで成長を加速しており、毎年コンスタントに2倍の売上成長を達成し、ARRはすでに$100Mを超えている。今回のシリーズCでは、$1.5Bのバリュエーションで、Tiger Globalなどから$150Mを調達。ユニコーンの仲間入りを果たした。(MOLOCO日本語動画

データの信頼性・リアルタイム可視化SaaS Monte Carlo $60M調達

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Monte Carloは、主にテクノロジー企業のデータチーム向けに、データのダウンタイムを無くし、データの信頼性を確保するためのSaaSを提供するスタートアップ。AffirmやVimeo、PagerDutyなどのFintech/SaaS企業や、メルカリやFOXのようなコンシューマテック企業で利用されている。ここ数年で急速に成長しており、直近の四半期ベースのARRは4回連続で2倍以上の成長を達成。今回のシリーズCでは、ICONIQ GrowthやSalesforce Venturesなどから$60Mを調達。TechCrunchによると、今回の調達での想定バリュエーションは$400-700Mに達すると見られている。

クラウドデータプラットフォーム Databricks $1.5B+調達見込み:先日発表された「2021 Cloud 100」で2位に選出された、Databricksが$38Bのバリュエーションで、$1.5B超の資金調達をクロージング中。

キャップテーブル管理SaaS Carta $500M調達:主に未上場企業向けに資本政策表(Cap table)の管理や専門家による支援サービスを提供するCartaが、$7.4Bのバリュエーションで、Silver Lakeなどから$500Mを調達した。

インド発 APIプラットフォーム Postman $225M調達:エンジニア向けにAPIの設計、実装、テストを行うSaaSを提供するPostmanが、シリーズDにてInsight Partnersなどから$225Mを調達。バリュエーションは、$5.6Bに到達。

セールスイネーブルメントSaaS Seismic $170M調達:HighSpotと並ぶセールスイネーブルメントSaaSユニコーンのSeismicが、$3Bのバリュエーションで、PermiraやLightspeed Venture Partnersなどから$170Mを調達した。

オープンソース型GraphQL SaaS Apollo $130M調達:Facebook発のアプリとクラウドをつなぐデータグラフレイヤーのオープンソースプロジェクトGraphQLを商業化しているApolloが、シリーズDにてInsight Partners、 Andreessen Horowitzなどから$130Mを調達した。バリュエーションは、$1.5Bに到達。

営業収益を最大化するリベート管理SaaS Enable $45M調達:販売代理店(パートナー)を活用する企業向けに、代理店へのリベート(販売に対する報奨金)の設計・管理を支援するSaaSを提供するEnableが、シリーズBにてNorwest Venture Partnersなどから$45Mを調達した。

今週の主なIPO/M&A

独SAPがタレントデータ統合・分析SaaS SwoopTalentを買収

法人カードSaaSユニコーンBrexがEC向けID認証・レンディングSaaS Weavを$50Mで買収

セールスイネーブルメントSaaSユニコーン Seismicが営業トレーニングSaaS Lessonlyを買収

マーケットトレンド

グローバルSaaS市場を虎視眈々と狙うインド発SaaSスタートアップ

グローバルでSaaS市場が急成長する中で、インド発のSaaSスタートアップも近年大きく躍進している。今回紹介したPostman(API実装・テストSaaS)やFreshworks(CRM SaaS)など、インド発のグローバルSaaSユニコーンは9社と、現在勢力を拡大している。本記事は、McKinsey&Co. ムンバイオフィス シニアパートナー Noshir Kaka氏らによる、インドでのSaaS産業の見通しに関する対談のまとめ。記事によると、インド発SaaSスタートアップの売上は、2030年までに20倍に拡大し、グローバルのSaaS市場の4-6%を占めると予想している。日本発のSaaSも、今後さらに世界に打って出るスタートアップが増えてくることを期待したいと思います。

ストラテジー

カスタマーサクセスの成熟度を測る7つのレベル

SaaSスタートアップでは当たり前の「カスタマーサクセス」。ただ現実には、「カスタマーサクセスをやっている」と言ってもスタートアップによって成熟度はさまざま。こちらの記事では、Gainsightなどの業界のリーダーの意見をベースにカスタマーサクセスの成熟度を7つのレベルで解説しています。基本的ですが、カスタマーサクセスの自己診断をする上では有効です。

カスタマーサクセスの7つのレベル
Lv 1. カスタマーサクセス≠カスタマーサポートが区別できている
Lv 2. オンボードを切り出せている
Lv 3. 顧客セグメントに合わせたCSが実行できている
Lv 4. CS KPIが計測できている
Lv 5. CSプロセスが定義され、プレイブックで運用されている
Lv 6. カスタマーサクセスでマネタイズできている
Lv 7. 経営陣がCSの状況を把握し、迅速な意思決定がなされている

単独利用ユーザーのチャーンを減らす8つのアイディア

Product-Led-Growth(PLG)や初期ステージのSaaSでは、1企業のユーザー数が1人だったり、零細企業や個人事業主が利用し、「単独利用ユーザー」のケースもよくあります。単独利用ユーザーはチャーンリスクの高い傾向があり、月次チャーンレートが3%に上るケースもあります。このSaaStrの記事は、「単独利用ユーザー」のチャーンを防ぐ8つのアイディアを紹介しています。内容はベーシックですが、「単独利用ユーザー」のチャーンに悩まれている起業家の方は、打ち手として検討の価値があると思います。

単独利用ユーザーのチャーンを減らす8つのアイディア
1. チームプランを提供する
2. プロダクトの価値を上げる
3. ダウングレードをしやすくする
4. 値上げする
5. 無料プランの提供機能を充実させる
6. カスタマーサポートを充実させる
7. ユーザーコミュニティを作る
8. 解約後に回帰を促す

プロダクト

SaaSの成長を加速させる、優れたPMMに共通する5つの特長

日本のSaaSスタートアップでも、PMM(Product Marketing Manager)というポジションは一般的になりつつあります。急成長するSaaSスタートアップには、優れたPMMの存在は欠かせません。こちらの記事では、PMMの役割や失敗パターン、優れたPMMが共通して持っている特長をまとめています。PMMの採用や組織カルチャー作りの参考にしてみるのも良いと思います。

優れたPMMに共通する5つの特長
1. 好奇心旺盛(原理主義で、常識や慣習にとらわれない)
2. 自分の意見をもっている(ただ頑固ではない)
3. 几帳面(気になって仕方が無い)
4. 多面的に物事をとらえるT型人材(どんな課題にも挑戦する)
5. 適応能力が高い(曖昧さの中でやっていける)

マネジメント

優れたチームを作るために大切な5つのポイント

スタートアップが成長する上で、優れたチームが作れていることは必須条件と言っても過言ではありません。優れたチームとは、ただの優れた個人の集まりではありません。偉大な目標を共有し、共にポジティブなエネルギーを注ぐことにコミットした集団です。この記事では、優れたチームを作る上でのフレームワークを紹介しています。

優れたチームを作るために大切な5つのポイント
1. 明確なビジョンを掲げる
2. 「2枚のピザルール」を遵守する
3. 信頼と尊敬を持って自由に意見を言えるガイドラインを作る
4. 望ましい行動を褒めあう/報酬で報いる
5. 必要なツールやリソースを提供する

ファイナンス

SaaSスタートアップ向け資金調達ハンドブック

こちらは、SaaSスタートアップ向けに、UiPathやHopinなどの投資家として有名なVC IVPによる資金調達に向けたハンドブック。ステップ・バイ・ステップかつ丁寧に書かれており、シリーズA/B以降のVCからの資金調達の際には非常に優れたまとめです。エクセルのテンプレート(こちら)も使えると思います。SaaSインサイトさんが、日本語訳noteにまとめてくれてますので、英語が苦手な方はこちらをご参照ください。

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