見出し画像

今週のSaaSニュース! Vol.74(11/7週)

※SaaSニュースレター登録ご希望は、こちら

今週の資金調達ハイライト

金融特化ID認証SaaS Socure $450M調達

画像1

Socureは、金融に特化したオンラインの個人ID認証と不正アクセス検知のSaaSソリューション。主な顧客は銀行、クレジットカード会社、Fintech企業や仮想通貨取引所。FintechやECでの電子決済の普及と共に成長。今回のシリーズEは、Accelがリード投資家。新規投資家としてBain Capital Ventures、Tiger Globalも参加。バリュエーションは$4.5B。(Socure動画)

欧州発データガバナンスSaaSユニコーン Collibra $250M調達

画像2

ベルギー発のCollibraは、企業内に分散しているクラウドデータから欲しいデータを発見、取得、分析するSaaSを提供する欧州を代表するユニコーン。エンタープライズ企業 500社以上が導入している。今回のシリーズGは、Sequoia Capital Global EquitiesとSofinaの共同リード案件。その他にTiger Globalが新規投資家として参加。バリュエーションは$5.25B。(Collibra動画)

エンタメ業界特化 給与計算SaaS Wrapbook $100M調達

画像3

Wrapbookは、映画やTVなどプロジェクトベースで制作が行われるエンタメ業界向けに勤怠管理、給与計算、保険などを一括して提供するSaaS。全米で月1,000本以上の制作で利用されている。本シリーズBはTiger Globalがリード投資家。既存投資家のAndreessen Horowitz等も参加。今回の資金調達でユニコーンの仲間入り。(Wrapbook動画)

B2B営業向けABMデータSaaS Lusha $205M調達:イスラエル発のLushaは、クラウドソーシングで最新の企業情報を収集し、最適な顧客コンタクトを探せるSaaS。本シリーズBは、PSGがリード。バリュエーションは$1.5B。
◆ オートメーションSaaS Workato $200M調達:Workatoは、エンタープライズ向けにワークフロー自動化を支援するSaaS。本シリーズEは、Battery Venturesがリード。バリュエーションは$5.7B。
◆ オフィス過密状態分析SaaS Density $125M調達:Densityは独自のAI内蔵センサーでオフィスの過密状態を把握・分析するSaaS。本ラウンドは、Kleiner Perkinsがリード。バリュエーションは$1.05B。
◆ コンバージョン改善SaaS OpenWeb $150M調達:OpenWebは、クッキーレスで広告からのコンバージョンを改善するSaaS。本シリーズEは、Insight PartnersとGeorgian Partnersが共同リード。バリュエーションは$1B越え。
◆ 従業員のデジタル体験改善SaaS ControlUp $100M調達:ControlUpは、リモート環境でも従業員が安定したPC作業環境の提供を支援するSaaS。本シリーズCは、K1 Investment ManagementとJVPが共同リード。
◆ プロダクト利用状況分析SaaS Pendo $110M調達:Pendoは、プロダクトマネージャー(PdM)などに顧客のプロダクト利用状況を分析するSaaS。本ラウンドは、PEファーム Thoma Bravoから資金調達。
◆ プロダクトデモ分析SaaS Reprise $62M調達:Repriseは、SaaSなどのソフトウェア企業がプロダクトデモ作成・分析を行うためのSaaS。本シリーズBは、ICONIQ Growthがリード。

今週の主なIPO/M&A

◆ 個人/SMB向け資金管理Fintech×SaaS NerdWallet上場
◆ セキュリティソフト企業 McAfeeが$14BでM&A
マーケットプレイス構築SaaS Miraklが請求書分析SaaS Octobat買収
世界最大の仮想通貨取引所CoinbaseがカスタマーサポートSaaS Agara買収

マーケットトレンド

◆ Web 3.0でのコミュニティの未来:DAOs

画像4

SaaSのようなB2B企業においても、コミュニティ活用による成長はホットトピックの1つ。こちらの米VC FirstMarkによる記事は、Web 3.0(DAOs)がWeb 2.0時代のコミュニティの課題(以下)をいかに解決するポテンシャルがあるか、を考察した記事。コミュニティ要素のあるSaaSスタートアップの経営者の方は、考えておいて良いトピックなので、オススメです。

DAOsが解決しうるWeb 2.0型コミュニティの課題
1) マネタイズ
2) メンバーシップの強さの把握
3) 熱量の高いコミュニティのスケール
4) コミュニティのエンゲージメント向上
5) データのサイロ化

ストラテジー

PMFジャーニーを乗り越えるための1枚の地図

画像5

米top-tier VC Bessemer Venture Partnersによる、PMF(Product-Market Fit)に関する考察記事。上図の通り、PMFは顧客エンゲージメントの深さ(X軸)とビジョンに対する顧客の説得力(Y軸)の双方が高い状態=PMFと定義している。MRRが成長していたり、初期プロダクトのNPSが高い状態だったりしても、本質的に片手落ちになってるケースは実際に多いと思います。スタートアップとして中長期的な継続性のあるPMFとは何か?を考えさせてくれる非常に優れた記事だと思います。また、PMFには全てのステークホルダーと連携したプロダクトマネジメント(PdM)志向が重要である指摘も、個人的にも賛同する点です。

Shopifyが20兆円プラットフォームを実現した3つの戦略

画像6

Shopifyは、SaaS=サブスク×営業主導の成長を大きく覆し、SaaSモデルを刷新した立役者とも言える企業。Shopifyがこれを実現できた背景には、創業から一貫したプロダクトビジョンと戦略を徹底している点にあると思います。この記事では、Shopifyが徹底してきた戦略(以下)を丁寧に解説しています。

Shopifyの成長を支える3つの戦略
1) 強敵Amazonに挑むパートナーエコシステムの育成
2) 顧客の商取引全てをカバーするOne-stop-shop
3) コアだけに集中し、ノンコアは全て外注

カスタマーサクセス

◆ 顧客100人に到達したらユーザーカンファレンスをやるべき理由

SaaStr CEO Jason Lemkin氏がご自身の体験から、どんなにプロダクトが未熟でも、顧客が100人を超えたら、(高価でも)オフラインでのユーザーカンファレンスをやるべき理由をまとめた記事。その理由は以下の通り。

1) コミュニティを作り、顧客のロイヤリティを高める
2) 既存顧客と見込み客を会わせることで既存顧客が売ってくれる
3) 対面のミーティングは、Zoomや電話の100倍関係作りができる
4) NRRやNPSが向上する
5) 優れたコンテンツを作る機会になる
6) 顧客の成功事例をシェアし、トレーニングの機会になる

プロダクト開発

プロダクトロードマップの作り方

画像7

現役PdMによるプロダクトロードマップの作成ステップ(上図)を丁寧に解説した記事。スタートアップの中には、上流のプロダクトビジョン/戦略を設定せず、この図で言うと4つ目-Discover opportunities(顧客の声から開発アイディア発掘)から始め、何かしらの軸で優先順位付けしているケースがあると思います。しかし、これでは一貫したプロダクトの体験や進化、ビジネス部門との高度な連携、競合に対する強いMoatを築き続けることは難しくなります。少し基本的な内容ですが、スタートアップの起業家、経営陣、プロダクト部門の方々にはオススメです。

※その他記事はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?