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今週のSaaSニュース! Vol.29(12/6週)

Masayuki Minato | 湊 雅之

注目!資金調達ニュース

暗号資産調査・解析SaaS Chainalysis $100M調達@$1B
ここ最近ビットコインの価格は、約3年ぶりに$20K弱まで高騰しており、暗号通貨への注目が高まってきています。一方で、大規模なビットコイン消失で経営破綻をしたMt.Goxの事件など、暗号資産にまつわる犯罪のリスクは存在する。Chainalysisは、ブロックチェーン上の悪意のあるアドレスを検知し、暗号通貨の不正検知やマネーロンダリングなどの犯罪を調査できるソフトウェアをSaaS型で提供している。金融機関や取引所、規制当局や政府機関など、350以上の企業や機関が顧客。Forbesの推定では、2018年の売上$8M、直近では約2倍の成長で、昨年Q3からの1年で顧客数も65%増と順調に成長している。本シリーズCは、Tiger Global出身者が組成した新VC Additionがリード投資家、その他にAccelとBenchmarkも参加。

Chainalysis CEOプレゼン動画@CB Insights

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理髪店向けall-in-one SaaS Squire $59M調達@$250M
Squireは、理髪店向けに予約管理、顧客向けのロイヤリティプログラム、キャッシュレス決済を提供するSaaSスタートアップ。今年の3月は、ロックダウンにより売上ゼロだったが、10ヶ月で$20M弱まで急激に成長している。今回シリーズCでは、前回から評価額3倍で資金調達し、調達資金は理髪店向けに融資などの金融サービス開発に投資する予定。本ラウンドは、Iconiq Capitalがリード投資家。

Squire 創業者プレゼン動画@SaaStr

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機械学習版"App Store" SaaS Tecton ai. $35M調達
Tecton. aiは、Uberのエンジニアだった3人が共同創業した「機械学習の民主化」を目指すスタートアップ。Tectonは、機械学習の"機能"をストア型で提供し、機械学習を活用したい企業が自社で簡単に欲しい機械学習ソフトを機能の組み合わせで開発、実装、管理までend-to-endで行うことができる。AWSもSagemaker Feature Storeという類似サービスを提供予定であり、今後市場が形成されていくと見られている。本シリーズBは、Andreessen HorowitzとSquoia Capitalが共同でリード。

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オープンソース型Fintech機能実装SaaS Moov $27M調達
全ての企業は、今後Fintech企業になる」と言われるように、金融機関のみならず、最近では多くのバーティカルSaaS企業(ShopifyやToast、今回紹介したSquireなど)が融資やファクタリング、決済などのFintech提供が一般化している。Moovは、送金、貯金、決済などのFintech機能を、エンジニア視点で簡単に自社アプリに実装できる、オープンソース型SaaSを提供。先日、StripeがBanking as a Service APIの提供することを発表したように、欧米を中心に注目の分野。本シリーズAは、Andreessen Horowitzがリード投資家。

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SMB営業向けall-in-one SaaS GetAccept $20M調達
コロナ以降、営業活動はリアルからオンラインに大きくしました。一方で、顧客とのコミュニケーションチャネルもツールも分散しており、営業効率の最大化の観点では最適化しにくいという課題があります。GetAcceptは、ビデオ、チャット、提案書作成、資料の閲覧状況のトラッキング、電子サインまで、SMB企業の営業に必要な機能がすべてそろったall-in-one型のSaaSを提供。特にGetAcceptが強い機能は、ビデオなどを埋め込んだユニークな提案書の作成から、送付後の顧客の閲覧状況の可視化のような「セールス・イネーブルメント」だ。この分野は、HighSpotやPandaDocなどの競合が存在する。本シリーズBは、Bessemer Venture Partnersがリード投資家。

GetAccept紹介動画

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オール・イン・ワン型契約管理SaaS Contractbook $9.4M調達
電子署名や契約書作成などのLegaltech分野は、コロナにより一気に普及が進んだ分野の1つだ。しかしながら、DropboxやDocusignなど機能毎に特化したツールも多く、契約書の作成、管理、締結、保管などの一連のサイクルは複数のツールに分断させている。Contractbookは、主にSMB向けに契約にまつわる一連の機能を全て兼ね備えた「オール・イン・ワン」型の契約管理SaaSを提供。今年の売上は、インバウンドが全体の80%を占め、昨年の4倍。SMB向けながら、売上継続率(NRR)110%と高い。 本シリーズAは、Bessemer Venture Partnersがリード投資家。

Contractbook紹介動画

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元MS幹部創業 クラウドセキュリティSaaS Wiz $100M調達:Wizは、マイクロソフトのAzure事業で、Cloud Security Groupを率いたAssaf Rappaport氏と、イスラエル軍のエリート情報部隊 Unit 8200出身者が創業した、エンタープライズ向けサイバーセキュリティに特化したスタートアップ。Wizのプロダクトのスゴさは、圧倒的なオンボードの早さ。エンタープライズでも15分で、企業内全てのクラウドネットワークの安全性を可視化できる。既にエンタープライズ企業30社超が導入。本シリーズAは、Sequoia Capital, Index Ventures, Insight Partnersが参加。

銀行のデジタル化SaaS Amount.com $81M調達:Amount.comは、金融機関のDXの戦略立案支援から、モバイル・ファーストでの実装まで一気通貫で行うスタートアップ。HSBCやRegions Bank、TD Bankなどの伝統的な大手金融機関が顧客。本シリーズCは、Goldman Sachsがリード投資家。

次世代データ・ウェアハウスSaaS Firebolt $37M調達:Snowflakeの驚異的な成長に見られるように、データウェアハウスのクラウド化は急成長市場。Fireboltは、GoogleやAmazon、Snowflakeのような大手と異なるアプローチにより、アナリティクスのスピードは182倍と超高速を実現。本シリーズAは、Bessemer Venture PartnersやZeev Venturesなどが参加。

Kubernetesクラウド管理SaaS Weaveworks $36M調達:世界中のトップ企業は、DXの波の中で、Kubernetes活用が拡大しているが、実装・運用面の課題は大きい。Weaveworksは、GitOpsと呼ばれる独自のアプローチにより、Kubernetesベースのアプリケーションの実装、運用、管理を一括して行えるSaaSを提供する注目スタートアップ。本シリーズCは、AWS(Amazon Web Service)がリード投資家の他、新規投資家として(独)ドイツ・テレコムや(仏)オレンジなどの大手通信会社、既存投資家のAccelやGVも追加投資。

エンジニアスキル評価・採用SaaS Code Signal $25M調達:企業のエンジニア需要の高まりと、リモート化から、企業は世界中からエンジニアを採用するようになった。しかし、直接会えない中で、いかにエンジニアの能力を測るかは難しい課題だ。Code Signalは、エンジニアのスキルを自動でスコアリングし、採用を効率化するSaaSを提供。売上は昨年対比で3.5倍顧客数も1.5年で2倍の200社に到達した。顧客は、ZoomやInstacartなどのテック企業がメイン。本シリーズBは、Menlo Venturesがリード投資家。

マーケットトレンド

2021年の米国SaaSスタートアップの成長の見通し
米国Scale Venture Partners投資先が、直近の事業状況を踏まえて、2021年のARR全体/新規ARR(NNARR)の計画値がどう変わるか?をサーベイで調査した結果から見る成長の見通しに関するレポート記事。足下のQ3はSaaSスタートアップは好業績だったことを背景に、2021年は特に新規ARR獲得で2019、2020より大幅に成長加速が見込まれるとのこと。

また記事では、一般的な月額固定型SaaSと、使用料ベースの従量課金型SaaSとの差も比較。結果、使用料ベースの従量課金型SaaSの方がより高成長の見通しと結論付けている。

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2021年のFintechの5大トレンド
バーティカルSaaSのFintech化」でも語られる通り、FintechはSaaS成長の第二の矢として注目を集めるようになっています。こちらのForbesの記事では、2021年に欧米で起こると予想されるFintechのトレンドを2020年に起こった大きな出来事(例. AmazonとGoldman Sachsの提携)と紐づけて解説しています。バーティカルSaaSのみならず、ペイロール(給与計算)などホリゾンタルSaaSからの展開も今後注目されているので、SaaS企業経営者にとってFintechの動向も注視すべきトレンドだと思います。

2021 Fintech5大トレンド
1. スモールビジネス向けFintechの競争激化
2. ペイロール×Fintechへの注目の高まり
3. 消費者のフィナンシャル・ヘルス評価への注目と政府介入
4. Fintech as a Serviceプラットフォームの出現
5. 金融機関のレガシーコアシステムをベースとしたFintech化

SNSの逆襲:次世代SNS「ソーシャル+」のトレンド
ソーシャル+音楽のTiktok、ソーシャル+ゲームのMinecraftなど、次世代のSNSは従来のSNSとは異なり、特定カテゴリにソーシャル要素を加えたサービスに発展していくことを解説したAndreessen Horowitzの記事。B2B SaaSとは一見関係ないように思えるかもしれませんが、マーケティング・オートメーションのように、CRM系SaaSを中心に消費者のテクノロジー動向はB2B SaaSにおいての地殻変動の契機になるので、今後のトレンドを読み解く上で、理解しておくことをお勧めします。(日本語訳記事

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成長戦略

SaaSにとって、個人とチームどちらが良い顧客なのか?
PaypalやYammerなど、SaaSスタートアップの起業/経営経験豊富な投資家、David Sachs氏の「ボトムアップ型SaaSは個人 or チームをターゲットにすべきか?」の考察記事。彼の結論としては、1)ディールサイズ、2)r継続率、3)アップセルの観点から"チーム"がSaaS企業にとって良い顧客だと結論付けています。

アーリーステージSaaSのマーケティング組織
SaaSでマーケティングというと、日本では「The Model」で語られるようなリード/MQL獲得に焦点が当てられがちですが、SaaS企業におけるマーケティングは下図にあるような、1)グロース・マーケティング、2)プロダクト・マーケティング、3)コーポレート・マーケティングに分けられます。

SaaS企業におけるこれらのチームにどのような人材が必要なのか?特に初期のマーケティング人材採用では、2つの役割を果たせるマーケター(ここではπ型マーケターと呼称)が必要であることを解説しています。

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次世代EmailユニコーンFrontの成長ストーリー
Sequoia Capitalが出資するSaaSユニコーンで、シェアード・Email SaaSを提供するFront。現在の評価額$1.3Bに達し、注目されるSaaSスタートアップの1社です。このFrontのプロダクトや目指す世界、競合との差別化などについて解説した記事。特にPLG型、ないしはメッセージAppやコラボレーション系SaaSの方にはおすすめの記事です。

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