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今週のSaaSニュース! Vol.51(5/30週)

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注目!資金調達ニュース

プロセスマイニングSaaSの雄 Celonis $1B調達@$11B

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エンタープライズ企業の単純なプロセスの自動化は、RPAにより進んできました。しかし、より複雑なプロセス、ないしは進化のスピードが速いプロセスの場合、前処理として、最適なプロセスを発掘するプロセス・マイニングが自動化の前に必要になります。ドイツ発のCelonisは、同領域の有力スタートアップの1つ。現在、UberやDellなど1,000社以上のエンタープライズで利用されている。Celonisの可能性に目をつけたIBMは、1万人のコンサルタントにCelonisのトレーニングを実施すると発表した。今回のシリーズDは、2年前の前回ラウンドから4倍超の$11Bのバリュエーションで、$1Bを調達した。本ラウンドは、Durable Capital PartnersとT.Rowe Priceが共同でリードした。

2分でわかるCelonis(動画)

音声解析CRM Gong $250M調達@$7.25B

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Gongは、音声解析を活用した次世代CRMと期待されているSaaSスタートアップ。営業の電話、メール、オンライン商談、SNS、チャットの顧客との対話内容と成約率の関係を明らかにし、成約率向上・セールスサイクル短縮のために最適なベストプラクティスを発掘し、営業戦略に反映させることができる。2021/Q1のARRは前年比2.3倍、Q2は3倍と力強い成長をしている。ARRの成長を反映し、今回のシリーズEは、前回の3倍超の$7.25Bのバリュエーションで、Franklin Templeton、Sequoia Capital、Salesforce Venturesなどから総額$250Mを調達した。

2分でわかるGong.io(動画)

サプライチェーン最適化API project44 $202M調達@$1.2B

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project44は、キャリア(運送事業者)とシッパー(荷主)の間のサプライチェーン情報を管理するシステムを接続し、リアルタイムで見える化するAPIプラットフォームを提供している。今月6月のARRは前年比2倍の$50Mを超え、Amazon、ウォルマートなどの世界のトップ企業を中心に600社以上で利用されている。今回のシリーズEは、$1.2BのポストバリュエーションでGoldman Sachs Asset Management とEmergence Capitalから$202Mを調達した。

2分でわかるproject44(動画)

従業員教育SaaS Guild Education $150M@$3.75B

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Guild Educationは、Walmartなどで働く、就学機会に恵まれず、低スキルな仕事に従事するワーカー向けに、大学などと連携して、彼らのスキル向上のための教育コンテンツ、習熟度管理を行うSaaS-enabled Marketplaceを提供するスタートアップ。Guild Educationへ支払う費用は、雇用者である企業が100%負担する。同社CEO Rachel Carlson氏(写真左)曰く、「アメリカでは、300万人のレジ係、250万人の女性が教育機会に恵まれず、スキル不足のため、引退まで勤めることができず仕事を失う。アメリカのこの大きな課題を解決したい。」とのこと。現在約400万人がGuildを通して、働きながら学んでいる。今回のシリーズEは、$3.75Bのバリュエーションで、Bessemer Venture Partners、Salesforce Venturesなどから$150Mを調達した。

30秒でわかるGuild Education(動画)

■ Splinkr, Confluence, SentinentalOne 上場(S-1)申請: 今週はエンタープライズ向けSaaS 3社が上場申請を行った。業績で見ると、売上が大きいが低成長・低バーンのSplinkrと、売上は劣るが高成長・高バーンのConfluence、SentinentalOneと言った様相。詳細は以下の通り。

・Splinkr(S-1 | 解説記事): SNSデータを統合分析し、デジタル上での顧客体験を最適化するSaaS。直近の年間売上は$387M(YoY +19%)、NRR 114%+、営業利益率は-10%と黒字化は近い。

・Confluence(S-1 | 解説記事): エンタープライズ向けのデータ分析インフラ系SaaS。直近の年間売上は$263M(YoY +53%)、NRR 117%、営業利益率は-93%とかなりバーンレート高め。

・SentinentalOne(S-1 | 解説記事): エンドポイント端末のサイバーセキュリティSaaS。直近の年間売上は$113M(YoY +101%)、NRR 124%、営業利益率は-134%とバーンレート高め。

セールスエンゲージメントSaaS Outreach $200M調達@$4.4B+: セールスエンゲージメントSaaSのリーティング企業の1社 Outreachが、Premji Invest、Tiger Global、Sequoia Capitalなどから$200Mを調達。直近Q1のARRは前年比 2倍に成長。

グローバルスタートアップ向けBrex Jeeves $131M調達: Jeevesは世界に分散したチームで運営しているスタートアップ向けに現地の通貨での決済・支出管理を行える法人カードを提供。今回シリーズAで、Andreessen Horowitzリードで$26M調達(+シード $5M)に加えて、デッドで$100Mを調達した。

EC事業者向け物流最適化SaaS Shippo $50M調達@$1B: Shippoは、EC事業者向けにAmazon Primeのような素早い物流を支えるSaaSを提供。現在10万社に導入されている。今回バリュエーション$1Bで、Bessemer Venture Partnersなどから$50Mを調達した。

市場トレンド

クラウドコストの圧力による課題「クラウド・パラドックス

クラウドが世界的に普及する中で、パブリッククラウドの支出は世界で$100B(約10兆円)を超え、ビジネスの効率性と経済性を改善してきました。しかし企業の規模が大きくなり、成長が鈍化すると、クラウドにかかる過剰なコストが収益性の低下を招き、時価総額に大きく影響する現象が起こります。上場SaaS企業50社での仮説的な分析では、クラウドコスト最適化により推定$4Bの粗利増効果があり、時価総額で言うと、$100B(約10兆円)の追加効果があるとのことです。SaaS企業の規模拡大の際に、クラウドコストをKPIでトラックして、改善に向けた取り組みの重要性を示唆しています。

ストラテジー

Product-Led-Growth(PLG)モデルの3つの壁

米国では、Snowflake、ZoomなどPLGモデルで急成長するSaaS企業が上場マーケットを席巻し、SaaSの成長モデルとして注目を集めている。ここ5年でPLGを採用するSaaS企業の時価総額合計は、$21B(2016)→$687B(2020)と30倍以上に急増している。こちらのBessemer Venture Partnersの記事は、PLG型SaaS(Twilio, PagerDutyなど)投資先でのPLGモデルでの成長を実現する上で、必ず直面する3つの壁(下図)とその対処法について解説してます。PLG志向のSaaS起業家の方にはおすすめです。

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マネジメント

成功するSaaS企業と圧倒的に成功するSaaS企業の差

売上成長率 +369%のZoom。EV/Revenueマルチプル 82xのSnowflake。圧倒的に成功するSaaS企業は、一般的な成功するSaaS企業とは何かが違う。本記事は、グローバルトップのSaaS企業を数多みてきた、SaaStr Jason Lemkin氏による要件の解説記事。必ずしもアーリーステージですでに要件を満たしている訳でない点はご注意下さい。

○ 一般的な成功するSaaS企業の要件 
 ➊ CEO/共同創業者のコミット
 ➋ PMFの実現
 ➌ 市場/顧客への情熱と信念
 ➍ 忍耐力

○ 圧倒的に成功するSaaS企業の要件

 ➊ 偉大なCEO: 突出した頭脳+狂気的ドライブ力
 ➋ 未来への緻密な解像度
 ➌ なりふり構わずやり切る執念
 ➍ 今は小さいが、将来巨大になる市場

ファイナンス

ハイバリュエーションのメリット・デメリット

資金調達において、起業家、投資家双方に重要なバリュエーション交渉。ここ数年は、世界的なカネ余りを背景に、年々ハイバリュエーションでの調達は増えています。本記事は、このハイバリュエーションによる資金調達のメリット・デメリットをまとめたSaaStrの記事。起業家の方は、チャンスにもリスクにもなることなので、考える上での参考にしてみてはいかがでしょうか。要約は以下の通り。

メリット
➊ 希薄化が抑えられる
➋ 同じ希薄化で資金調達額を増やせる
➌ 次の調達までのランウェイが伸ばせる
➍ セカンダリーによる魅力度が上がる
➎ 分野の勝者として認知される

デメリット
➊ 投資家からのプレッシャーが上がる
➋ 次のラウンドの難易度が上がる
➌ M&AでのExitの機会が減る
➍ バーンレートが上がりやすい
➎ M&A時の投資家/従業員のリターンが出にくい

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