見出し画像

今週のSaaSニュース! Vol.68(9/26週)

※SaaSニュースレター登録ご希望は、こちら

今週の資金調達ハイライト

リモートエンジニアチーム採用・構築支援SaaS Andela $200M調達

画像1

2014年にナイジェリア・ラゴスで創業したAndelaは、リモート×正規雇用のエンジニア採用・オンボード支援に特化した人材マッチングとSaaSを提供するスタートアップ。Goldman Sachsやクラフトのような大企業から、GitHubやSeismicのような急成長SaaSスタートアップも顧客。創業初期はアフリカ7か国だったが、現在では世界80ヵ国以上、50万人超のエンジニアの人材プールを抱える。今回のシリーズEでは、Softbank Vision Fund 2がリードし、$1.5Bのバリュエーションでユニコーン入りを果たした。(Andela動画)

建設業向けファイナンスSaaS Built Technologies $125M調達

画像2

アメリカ発のBuiltは、金融機関と連携して、建設プロジェクトへの融資に必要なコストや進捗状況などの情報を関連する事業者から収集、一元管理するためのSaaSを提供するスタートアップ。年間にBuilt上で取引される総額は$74Bに到達している。米国の建設に関わる総支出は、年間$1.6T(約176兆円)であり、巨大なマーケット。今回は、TCVがリードし、$1.5Bのバリュエーションで資金調達を実行した。(Built Technologies動画

「人材採用分野のセールスフォース」 Gem $100M調達

画像3

Gemは、企業の採用活動プロセスで、最適な候補者のターゲティングからエンゲージメント維持をCRMのように一気通貫で最適化できる、人材採用版のセールスフォース。Dropboxで5年弱で1,000人以上の採用を行った、元リクルーティングマネージャーのSteve Bartel氏と、彼のMITの同級生でFacebookのエンジニアチームをリードしていたNick Bushak氏の二人が、採用活動の課題意識から2017年に創業した。導入企業は800社以上に上り、うち100社はSiftやGustoのようなユニコーン企業が利用している。今後、欧州、アジアでのグローバル展開を予定している。今回のシリーズCは、ICONIQがリードし、バリュエーションは$1.2Bでユニコーンの仲間入りを果たした。(Gem動画

サイバーセキュリティSaaS+保険 Coalition $205M調達:Coalitionは、サイバー保険のリーディング企業。今回シリーズEでは、Durable Capital他2社の共同リードで資金調達。バリュエーションは、5カ月前のラウンドの2倍の$3.5Bを超えた。

トラック運送特化SaaS+マーケットプレイス Emerge $130M調達:Emergeは、トラック運送管理をコアに、昨年から運送キャリアへのRFP管理を提供するSaaSスタートアップ。今後、運送キャリアのマーケットプレイスへと展開予定。今回のシリーズBでは、Tiger Globalなどから資金調達を実施した。

契約書AIレビューSaaS ContractPodAI $115M調達:今回シリーズCにて、Softbank Vision Fund 2がリードし、資金調達を実施。バリュエーションは2年前の前回ラウンドの5倍。今後、Softbankのネットワークを活用して、アジアでの展開を加速させる予定。

銀行/Fintech企業特化 ID認証SaaS Alloy $100M調達:Alloyは、BrexやRampなどのFintech企業を中心に、不正検知を行うID認証SaaSを提供するスタートアップ。今回シリーズCにて、Lightspeed Venture Partnersがリードし、$1.35Bのバリュエーションで資金調達を実施した。

テクノロジー企業向け Banking as a Service Swan $18.7M調達:フランス発のSwanは、SaaSやマーケットプレイス、Fintech企業向けに銀行の機能を組み込むためのSaaSを提供するBaaSスタートアップ。シリーズAにて、Accelがリード投資家で、資金調達を実施した。

マーケットトレンド

米Bain&Co発 2021年テクノロジーレポート

世界3大戦略コンサルティングファーム Bain&Co.による、世界のテクノロジー産業のトレンドをまとめた、92ページのレポート。B2CにおけるGAFAの動向や、クラウド/SaaS、AI/MLの投資やトレンド、テクノロジー人材の求人動向や欧州、中国、米国などの主要地域での動向をまとめています。特にクラウド/SaaS、AI/MLのようなソフトウェア産業のマクロトレンドが、非常によくまとまっています。個人的に面白いトレンドとしては、バーティカル(業界特化型)ソフトウェアでは、AI/MLを活用したソフトウェアが、単なるクラウドソフトウェアより投資が増えている点は、示唆深かったです(下図)。

画像4

2021年 企業のSaaSOpsレポート by BetterCloud

SaaS管理のSaaSを提供するBetterCloud社による、年1回の企業のSaaSの利用状況やSaaS管理のオペレーションの課題を調査したレポート。2021年の1企業当たりのSaaS利用数は、前年対比+30 appの110 appと急激に増えている。一方で、SaaSの利用数が増えたことで、各SaaSの活用状況や何のデータがあるのか「不透明性」が高まっており、データに関するガバナンスリスクの意識も高まっていることがわかります。米国のデータですが、今後の日本でのSaaS普及による企業の課題を読み解く上でも、参考になるレポートです。

画像5

ストラテジー

「SaaSユニコーンの創り方」by Bessemer Venture Partners

画像6

米国top-tierのSaaSに強いVCである、Bessemer Venture Partnersによる、SaaSユニコーンになるためのインサイトのまとめ。SaaSユニコーン起業家の学び(Founder Lessons)は、SaaSスタートアップの経営者の方は、しっかり読んでみることをオススメします。スライドはこちら

起業家の学び(ざっくりまとめ)
「Scale wins」: トップクラスのSaaSは、プロダクトの革新に注力し、カテゴリーのシェア 50%以上を獲る。その過程で、「SaaSの2の矢」による非連続な成長を実現する。(例. Shopify, ServiceTitan, Toast)
「セールス&マーケティングの学習曲線」:S&Mの投資は、テスト→イタレーションを繰り返して、慎重に行う。失敗を早くする。特にニューノーマルでは、PLG、利用量課金、マーケットプレイスが新たな3大GTM戦略。
「ファネルではなく、Flywheel」:トップクラスのSaaSは、ファネルではなく、顧客を中心に置いたFlywheelモデルのGTM戦略を持っている。
「SaaSファイナンスの5+1C」:SaaS経営では、CARR、CAC Payback、CLTV、Churn、Cashflowの5Cに加え、Cash Conversion Score(CARR創出の資金効率)が重要な指標。

プロダクト開発

プロダクトロードマップ作成の5つの重要ポイント

画像7

プロダクトロードマップは、開発チームのみならず、営業やマーケ、CSなどの事業運営部門や投資家からの資金調達を行うCEO/CFOにとっても非常に重要です。VCも、スタートアップが掲げるビジョンをプロダクトでどのように実現するかのマイルストンを理解する上でも重要です。ここでは、このプロダクトロードマップを作成する際に、念頭に入れるべき重要な5つのポイントを解説しています。

プロダクトロードマップ作成の5大ポイント
1. ロードマップは、ビジョン実現の道筋を示すもの
2. ロードマップは、戦略を実行するプラン
3. ロードマップは、プロダクト戦略を具体化したもの
 (=バックログとは異なる)
4. ロードマップは、顧客に関する「なぜ?」に基づく
5. ロードマップは、固定ではなく「生き物」

マネジメント

VPクラス採用を間違った際に起こる症状

SaaSスタートアップで、誤ったVPクラスの人材採用により起こる症状を解説したSaaStrによる記事。この記事では、VP of Sales、VP of Marketing、VP of Customer Success、VP of Engineeringの4ポジション別で解説しているので、VP採用を行ったSaaSスタートアップの方は、ご参考にしてみて下さい。

※ その他記事はこちら




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?