見出し画像

今週のSaaSニュース!🚀-Vol.10(7/19週)

今週は、コールセンターSaaSのTalkdesk、ノーコード×デザイン作成SaaSのCerosの$100M超の資金調達がありました。その他に、金融/保険向け不正検知SaaSのQuantexa、EC向けチェックアウトSaaSのBolt、食品向けデータSaaSのCrisp、国内でも建設特化SaaSのANDPAD などインダストリーSaaSの調達も目立ちました。またMicrosoftの決算発表に加え、日本でも注目が集まる「No/Low code」、OpenAIのGPT-3の発表、SlackによるMicrosoftの提訴など、注目ニュースも数多くありました。

★SaaSニュースレター登録ご希望は、こちら

今週の注目SaaS資金調達ニュース

◆[コールセンターSaaS]Talkdesk シリーズC $143M調達(LINK)

Talkdeskは、顧客体験(CX)の最大化、コールセンターの業務効率アップさせるall-in-one型SaaSを提供。SalesforceやG-Suite、Slackなど、多くのSaaSツールとの連携も魅力。世界75ヵ国に1,800社以上の顧客(IBM、Trivago、Pelotonなど)を持つ。コロナ禍のリモート環境下では、顧客エンゲージメント向上は企業にとって重要度が増しており、追い風を受けるSaaSの1つ。本ラウンドは、 Franklin Templetonなどの新規投資家の他、既存投資家から、評価額$3B超にて、$143M調達。

◆[デザインSaaS]Ceros シリーズD $100M調達(LINK)

ロンドン発のCerosは、ウェブサイト向けグラフィックなどをノーコードでできるデザイン作成・コラボレーションツールを提供。IBMやMcKinsey、NBCのような伝統企業から、Snap、Pinterestなどの新興IT大手が顧客。本ラウンドは、Sumeru Equity Partnersがリード投資家。

◆[金融/保険向け不正検知SaaS]Quantexa シリーズC $65M調達(LINK)

ロンドン発のQuantexaは、主に金融/保険業向けにビッグデータを解析し、アクセスの不正検知を行うなどのセキュリティSaaSを提供。コロナ禍以降、Fintechなどのオンライン取引が急増する中、企業での不正検知の精度、スピードの向上が喫緊の課題になっている。本ラウンドは、サイバーセキュリティ特化VCであるEvolution Equity Partnersがリード投資家として、評価額$250M超で$65M調達

◆[Eコマース向けSaaS]Bolt シリーズC $50M調達(LINK)

Boltは、リテール向けに運営するECサイトのチェックアウト最適化SaaSを提供。EC取引はコロナ禍で急増し、特にモバイル経由が増加。一方、モバイルでのEC取引は、カート廃棄率(Abandonment rate)がウェブ70%に対し、85%まで悪化する。従って、チェックアウト体験向上によるカート廃棄率改善は、EC運営事業者にとって重要な課題の1つ。本ラウンドは、WestCapがリード。

◆[建設特化SaaS]ANDPAD 約40億円調達(LINK)

ANDPADは、建設業向けにプロジェクト管理を行うSaaSを提供する、日本を代表するインダストリーSaaS企業。現場仕事が多い建設業は、コロナ禍を契機にテレワーク化が進行などデジタル化への動きが加速、また建設業就業者の高齢化などの社会背景により、今後さらなるDXが求められている。本ラウンドは既存投資家のGlobis Capital Partnersがリードし、DNX Ventures、Salesforce Ventures、BEENEXTなどSaaS領域に強い既存投資家も参加。

◆[人材採用SaaS]Gem シリーズB $37M調達(LINK)

Gemは、採用候補者の体験を重視した、タレントプール作成、ナーチャリング、採用に関する分析を行うall-in-one型SaaSを提供。同社によると、候補者視点で採用プロセスの約80%は、実際に候補者が応募する前に完了しているため、応募前の候補者との関係構築が採用には重要とのこと。Slack, DoorDash, Pelotonなどの大手テック企業を中心に、バイラルで既に300社以上に導入が進んでおり、2019年はYoYで売上が4x成長、NRRは120%越え。本ラウンドは、Greylockがリードの他、既存投資家のAccelも参加。

◆[オフィスセキュリティSaaS]Openpath シリーズC $36M調達(LINK)

Openpathは、オフィス向けにキーレスエントリー、個人認証、セキュリティなどのプロパティ管理を一括で行うSaaS+ハードウェアを提供。コロナ禍のオフィス管理に向けても、非接触の解錠、熱感知、オフィス利用状況のリアルタイムの可視化などのソリューションも提供。本ラウンドはGreycroftがリードの他、ID管理SaaSのOkta Venturesも戦略的投資家として参加。

◆[リモートコラボSaaS]iObeya シリーズA $17M調達(LINK)

フランス発のiObeyaは、リモートで働くチームが連携して働きやすくするためのコラボレーションツールを提供。テキストベースのNotionなどと異なり、ガントチャートなどのビジュアルベースのテンプレを多く提供しているのが特徴。本ラウンドは、Red River Westがリード投資家。

◆[食品業界特化SaaS]Crisp シリーズA $12M調達(LINK)

Crispは、食品メーカー・卸向けに販売・製造データの統合、外部データ活用による需要予測により、販売機会の最大化や廃棄の最小化をするデータ分析のSaaSを提供。本ラウンドは、FirstMark Capitalがリード投資家。

※その他 今週のSaaS資金調達ニュースは、こちら

今週の主要SaaS上場企業決算

◆(米)Microsoft FY2020 Q4決算ハイライト(Link)
・売上高 $38B(YoY +13%)
・粗利率 68%(前年同期比 ▼2%)
・営業利益 $13.4B(YoY +8%) 
・営業利益率 35%(前年同期比▼2%)

・Productivity and Business Processes部門(まとめ)
 - 売上高 $11.8B(YoY +6%)
 - Office Commercial事業 +5%成長←成長鈍化
 - Dynamics事業 +13%成長←成長鈍化
 - LinkedIn事業 +10%成長←成長鈍化

・Intelligent Cloud部門(まとめ)
 - 売上高 $13.4B(YoY +17%)
 - Azure事業 +47%成長←成長鈍化

画像1

今週のSaaSおすすめ記事

★The User x Use Case Framework for No-Code and Low-Code (LINK)

日本でも少しずつバズワード化してきた「Low/No code」に関するScale Venture Partnerの記事。Low/No codeが広がってきた背景や、カテゴリが分かりやすくまとまってます。DXの加速によるアプリ開発の増加やクラウドを前提とした働き方への変化の中、顧客自らカスタマイズするニーズが増加など、コロナが日本でも火付け役になったように感じます。他にも今週は関連記事もリリースされており、注目の高さが伺えます。

[関連記事]
● Tracking the growth of low-code, no-code startups (LINK)
● Airtable and the Low-Code/No-Code Future of Software (LINK)

★ 未来への一歩を踏み出したオープンAI「GPT-3」の衝撃、熱狂に警鐘も (LINK)

米国を中心にスタートアップ業界を騒がせた今週一番の話題は、OpenAIが開発した言語生成モデル GPT-3ではないでしょうか。Open AIはAI技術開発の非営利団体ですが、Y-Combinator創業者 Sam AltmanとElon Muskが共同チェアマンの他、Peter ThielやReid Hoffmanなど、米国 テック業界のスーパースターが支援しています。このGPT-3の凄さと熱狂、そしてその欠点について、非エンジニアの方にも分かりやすくまとめてくれてます。こちらも関連記事が数多く出ています。

[関連記事]
OpenAI API (OpenAIのGPT-3発表原文) (LINK)
● GPT-3の衝撃 (LINK)
● Why everyone is talking about the A.I. text generator released  (LINK)
● Will The Latest AI Kill Coding? (LINK)

How to Analyse a Competitive Landscape (LINK)

テックスタートアップの3つの市場タイプ、Winner-takes-all(WTA)、Winner-takes-most(WTM)、Fragmented(分散)に関する事例と市場特性、勝つ要因についてまとめた解説記事。SaaSの多くは、WTMかFragmentedに属しますが、基本的な競争優位を何で築くかを考える上では役に立つと思います。但し、求められるTAMの大きさや一部の勝つ要因(先行者優位など)については、必ずしも日本市場において当てはまらないポイントもあります。

The Adjacent User Theory (LINK)

テックスタートアップが、線形(Linear)の成長から非線形(Exponential)の成長-いわゆる急成長-をするために注視すべき、熱狂的ユーザーになり得る潜在ユーザー(adjacent user)の特定法と成長につなげるための手法について解説した記事。記事は、Instagram、Instacartの元VP Growth Bangaly Kaba氏の理論を、a16zのGeneral Partner Andrew Chen氏、元SlackのFareed Mosavat氏などが、大手テック企業での実例で解説をしています。特にグロース期以降のSaaS企業の方にはおすすめです。

★ 9 Tricks to Experiment with your Pricing Strategy (LINK)

SaaSの価格最適化を探るために有効な9つの手法(価格差別、シグナリング、センターステージ効果、IKEA効果など)について欧州有数のSaaS VC Point Nine Capitalが解説した記事。SaaSの価格最適化を行う上で、日本でも参考になる考え方が端的かつ詳細にまとまってるので、おすすめです。

All B2B startups are in the payments business (LINK)

世界で$146T(146兆米ドル)ある決済市場は、まだ8%未満したオンライン化されていません。その中で、SaaSをはじめとしたB2Bスタートアップが、この決済領域に最終的に染み出すことで、TAMとマネタイズを拡大させることを事例で解説した記事。記事ではその例として、Shopify、Wix.com、ToastなどのSaaS企業を挙げています。

Slack、MicrosoftをEUに提訴 (LINK)

Microsoftの「TeamsのOffice 365バンドルは独禁法違反」として、Slackが欧州委員会に提訴したと発表。コロナ以降に注目がさらに集まる、コラボレーションツール2社の戦いが過熱しているので、本件の今後の動向にも注目が集まります。

※その他 今週のSaaS/スタートアップ関連記事は、こちら

------

SaaSに関する事業の壁打ち、資金調達をお考えの方は、気軽にFacebook、Twitterでご連絡お待ちしております。
Facebook
Twitter

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?