見出し画像

今週のSaaSニュース! Vol.48(5/9週)

※SaaSニュースレター登録ご希望は、こちら

注目!資金調達ニュース

保険請求詐欺検知SaaS Shift $220M調達@$1B+

画像1

Lemonadeなどの新興スタートアップが保険業界を革新する中で、既存の保険会社もデジタル化を加速しています。保険業務の中でデジタル化が遅れている点が、保険の不正請求/架空請求詐欺(Fraud)への対応です。フランス発のShift Technologyは、保険の請求詐欺のパターンをAIで解析して、アラートを出す保険業界特化のSaaSを提供しています。現在、AXAや日本のMS&ADなど、世界25ヵ国、約100社に導入がされています。本シリーズDでは、$1B以上のバリュエーションで、Adventが新規リード投資家の他、既存投資家のAccelやBessemer Venture Partners、General Catalystなど、米国の有力VCから$220を調達した。

Shift Technologyプロダクトデモ(動画)

新卒採用マッチングSaaS Handshake $80M調達@$1.5B+

画像2

Handshakeは、大学生のインターン/正社員採用に特化した企業とのマッチング/採用を行うSaaSを提供するスタートアップ。現在、米国の1,200以上の教育機関、1,800万人以上の学生が登録されており、2018-2020年卒の大学生の49%はHandshake経由で内定を獲得しています。登録企業は、55万社にのぼり、Fortune 500企業の100%に利用されています。2020年の求人掲載数は、2019年対比で-52%と激減しましたが、2021年4月には求人掲載数は前年比+209%、2019年対比でも+49%と大幅に増加しました。今回のシリーズEは、$1.5B超のバリュエーションで、Lightspeed Venture Partners, Coatueなどから$80Mを調達した。

3分でわかるHandshake(動画)

請求書処理自動化SaaS Stampli $50M調達

画像3

Stampliは、企業の請求書の決裁/支払いを自動化するソリューションを提供するSaaSスタートアップ。請求書から必要なデータを抽出し、機械学習を用いて、費用科目の特定や決裁ワークフローを自動で認識/実行することができる。近年では、独自のフィンテックプロダクト「Direct Pay」もリリースし、既存ユーザー1,000社の20-25%が利用している。本シリーズCは、Insight Partnersがリードで、$50Mを調達した。

3分でわかるStampli(動画)

デスクレスワーカー作業支援AR SaaS SightCall $42M調達

画像4

コロナ禍のDXブームの中で、注目される1つの領域が世界の労働人口の8割とされるデスクレスワーカー向けのSaaSです。SightCallは、自動車修理や工場などのフィールドワーカー向けに動画とARを駆使して、現場での作業支援を行うSaaSを提供しています。またカスタマーサービス向けのSaaSである、Microsoft、Salesforce、Zendeskなどと連携しており、フィールドサービスの業務効率向上を支援しています。現在は、GEヘルスケアやクラフト-ハインツなどの200社以上の大企業に導入されており、2019年、2020年共に売上2倍以上の成長を達成している。本シリーズBは、InfraVia Capital Partnersなどから$42Mを調達した。

3分でわかるSightCall(動画)

建設特化ユニコーンProcore、INDUS.AI買収: 近々$8B近くのバリュエーションでIPO予定の建設業特化ユニコーンProcore(S-1はこちら)が、建設業向けAIソリューションを提供するINDUS.AIを買収。ProcoreプラットフォームのAIによる強化が狙い。

ローコード顧客接点DX SaaS Airkit $40M調達: スマホ/ウェブ上の顧客接点をテンプレートをベースにローコードで作成、改善するSaaS Airkitが、シリーズBdeEQT Venturesをリードに$40Mを調達した。既存投資家のAccel、 Emergence Capital、Salesforce Venturesなども追加投資を実行した。

"欧州版DocuSign" Contractbook $30M調達: DocuSignの欧州の最大の競合であるContractbookが、シリーズBでTiger Global、Bessemer Venture Partnersなどから$30Mを調達した。既に顧客数は15万社以上。

フリーランス向けバックオフィス管理SaaS Collective $20M調達: 米国で急成長しているクリエーターエコノミーにより、フリーランスも増加している。Collectiveは、フリーランス向けに財務会計、税務、給与計算などのERPをall-in-oneで提供するSaaSスタートアップ。今回シリーズAで、General Catalystなどから$20Mを調達した。

市場トレンド

100兆ドル B2Bコマース市場のデジタル化の市場機会

米有力VC Bessemer Venture Partnersパートナー Mike Droesch氏による世界100兆ドルの巨大市場であるB2Bコマースの市場機会についての記事。B2Bコマースは、サプライチェーンの最適化や顧客接点のデジタル化、デジタルインフラの構築など、数多くのデジタル化の機会が存在すると指摘している。直近でIPOした、中古車卸のマーケットプレイス ACV Auctionsなど、今後B2Bコマース分野での急成長スタートアップの出現は期待できる。製造業の強い日本でも、大きな期待ができる分野だと思います。

SaaS企業のプライシング革命:利用量課金シフト

IDCによると、2022年までにソフトウェアのサブスクリプション課金は全体の53%と、現在のソフトウェア市場の主流になっています。しかし一方で、近年のSnowflakeやTwilioなどの高成長SaaS企業のプライシングモデルは、サブスクリプション課金から使用量課金(Usage-based pricing)へ大きくシフトしている。そのトレンドの潮流とサブスクリプション課金の落とし穴に関するBusiness InsiderTechCrunchの記事。日本にも遅かれ早かれ来るトレンドなので、現在の米国でのトレンドを理解する上で役に立つと思います。使用量課金については、アルプ 伊藤CEOの記事もご参照ください。

成長戦略

初心者向け SaaS顧客セグメンテーションガイド

SaaSスタートアップのプロダクト開発、マーケティング/セールス、プライシングなどGTM全般に重要な起点となる顧客セグメンテーション。日本のSaaSスタートアップにおいても、非常に苦労し、PMFやMRR成長のボトルネックになっているケースは多く見られます。こちらのOpenview Venture Partnersの記事は、顧客セグメンテーションの3つのタイプとメリット、初心者向けに顧客セグメンテーションを実行する上での5つのステップを解説しています。記事では、顧客セグメンテーションによる主なメリットを以下の通り解説しています。

顧客セグメンテーションの主なメリット
・顧客に刺さるプロダクト改善ができる
・マーケティングメッセージがシャープになる
・セールスの商談の受注確度が上がる
・売上の"質"が高まる

SaaSの営業管理に必須な10フレームワーク

セールスフォースのSVP(上級幹部)を初め、数多くのSaaS企業でC-classを経験され、起業家/エンジェル投資家でもあるDave Kellogg氏による「SaaSスタートアップの営業管理を効率的に行う上で、必須の10のフレームワーク」に関する解説記事。若干レベル感がバラバラですが、SaaSの起業家の方は、自社の営業オペレーションを見直す上でも非常に参考になると思います。

SaaS営業管理の10フレームワーク
1. 週次営業管理シート(サンプル例)
2. パイプ管理ルール
3. 営業フォーキャストルール
4. 週次 営業フォーキャスト1on1(コール)
5. 四半期 パイプラインレビュー
6. 商談レビュー会議(2時間)
7. 営業の採用プロフィール
8. 営業オンボードプログラム
9. 4半期営業KPIレビュー
10. 営業トーク分析(Gong≓米国版MiiTel)

SaaS年間契約の落とし穴

SaaSの年間契約は、キャッシュフロー改善やチャーン防止の観点から、SaaSの重要なマネタイズモデルとして長く考えられてきました。しかし、近年の使用量課金へのシフトなど、サブスクリプションの年間契約が万能の剣ではないことは、最近多くの記事で語られています。こちらのSaaStrの記事は、「SaaSの年間契約」の良くある落とし穴を解説した記事。但し、記事でも語られている通り、「SaaSの年間契約」は上手く運用できれば、非常に強い武器であることは間違いないので、顧客やプロダクト特性に合わせた柔軟な検討が必要になると思います。

「SaaSの年間契約」の良くある落とし穴
・多額の請求回収がスタートアップには負荷が高い
・顧客への導入に、不必要な摩擦を作る
・年間契約は、法務や購買などの交渉プロセスが発生する
・うまく提案しないと、不必要な割引が必要になる
・(悪い意味で)チャーンが誤魔化される
・API連携や利用量課金サービスとの相性が悪い

マネジメント

アーリーステージのSaaS企業 CEOのための5つのtips

シリーズA以降のアーリーステージは、組織のスケールの中でCEOの役割の変化や権限移譲が目まぐるしく起こります。こちらのSaaStrの記事は、アーリーステージのSaaSスタートアップCEOが働きやすくするための5つのtipsを紹介しています。

SaaSスタートアップCEOの人生をラクにする5つのtips
1. 幹部人材採用に業務時間全体の20%以上を投資する
2. 優れたメンターを1人つける
3. 足を引っ張る人材を解雇する
4. 資金調達は計画の+30%増で行う
5. チームにもっと"感謝"する/間違いは謝る

自己成長の過程に潜む3タイプの"モンスター"

組織能力を上げる上で、個々人の成長は欠かせません。この自己成長の過程で陥りやすい3つのタイプを、その症状と対応策を解説した記事。特に1つ目の「完璧主義モンスター」の対応策にある、完璧主義ではなく、持続的な改善にフォーカスする点は、SaaSスタートアップが成長するマインドセットとして、とても重要だと思います。

自己成長の過程に潜む3タイプの"モンスター"
タイプ1. 完璧主義モンスター
タイプ2. 過保護/お節介モンスター
タイプ3. 八方美人モンスター

※その他ニュースはこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?