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今週のSaaSニュース! Vol.54(6/20週)

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注目!資金調達ニュース

企業向け決済統合SaaS Mollie $800M調達@$6.5B

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Paypal、Apple Pay、Klarnaなど、顧客接点のデジタル化に伴い、デジタルの決済手段の多様化と共に成長は目覚しく現在ではFintechによる決済は15-20%を占めるまで成長を遂げました。そのため企業は、消費者の多様な決済ニーズに対応する必要が出てきました。オランダ発のMollieは、多様なFintechの決算手段を簡単にウェブサイトなどのサービスに統合することができるSaaSを提供するスタートアップ。現在、Mollieの総決済取扱高は約$24B(2.4兆円)に達し、昨年対比で2倍に増加。顧客には英フードデリバリー大手Deliverooやユニセフなどを抱え、12万社のマーチャントを抱える。今回、Blackstone Growthをリードに$800Mを調達した。

データ統合・分析SaaS Incorta $120M調達

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データ活用は、現代のビジネスで勝つための必須要件になった一方、企業が扱うデータの80-95%は「非構造データ」と推定されており、95%の企業が課題に感じている。Incortaは独自の「メタデータマップ」とクエリ・ルーティング技術により、オンプレでもSaaSでもスムーズなデータ統合と分析、機械学習を実行することができるSaaSを提供している。今回、Prysm Capital、GV、Kleiner Parkinsなどから$120Mを調達した。

Incorta Direct Data Platformとは(動画)

「顧客との関係を可視化するCRM自動化SaaS Introhive $100M調達

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カナダ発のIntrohiveは、エンタープライズ向けにCRMなどの複数のソフトウェアを独自のAIエンジンによりクリーニング、統合、リアルタイムの顧客との関係を可視化する「リレーション・グラフ」を生成し、営業活動を加速させるSaaSを提供するスタートアップ。標準の案件サイズは、PwCのように1万~10万IDの大手に限定されており、過去数年連続で2倍成長を実現している。顧客の継続率は95%。今回、PSGやカナダ開発銀行(BDC)などから$100Mを調達した。

Introhiveサービス紹介動画

ゼロトラスト・セキュリティSaaS Illumio $225M調達@$2.75B: 従来の企業のセキュリティ対策は、信頼できる「内側」と信頼できない「外側」にネ分けて、その境界線に対策をしています。一方、"ゼロトラスト"セキュリティは、内側/外側も「信用しない」という前提で構築されたセキュリティ対策で、Illumioは同分野をリードするSaaSユニコーン企業。今回シリーズFで、大手PE Thoma Bravoから、$2.75Bのバリュエーションで$225Mを調達した。

ウェブデザイン作成SaaS Figma $200M調達@$10B: 日本でもプロトタイピングツールとして有名なFigmaが、$10Bのバリュエーションで、Durable Capital PartnersやMorgan Stanleyなどから$200Mを調達した。

クラウドデータウェアハウスSaaS Firebolt $127M調達: SnowflakeやDatabricksが牽引してクラウドデータウェアハウス市場は急拡大を遂げている。イスラエル発のFireboltは、同分野を牽引するSaaSスタートアップの1社。現在、市場の急成長に合わせて業績が好調なため、前回のシリーズAからわずか6ヶ月で、Bessemer Venture Partners、Dawn CapitalなどからシリーズBで$127Mを調達した。

自然言語処理SaaS Primer $100M調達: Primerは、企業の膨大な文書データを処理し、データの山から最も重要と思われる情報を要約し、トピックやイベントなどのカテゴリー別に絞り込み、自動生成されたヘッドライン以上の情報を得ることができるSaaSを提供するスタートアップ。今回、米諜報機関CIAの投資部門In-Q-TelやData Collectiveなどから$100Mを調達した。

EC特化データ統合・分析SaaS CommerceIQ $60M調達: CommeceIQは、機械学習や自動化技術を駆使して、ブランド企業のECのセールス、マーケティング、SCMのオペレーションの最適化を支援するSaaSを提供している。今回シリーズCで、Insight Partnersなどから$60Mを調達した。

マーケットトレンド

Law as Code: ソフトウェアが変えるリーガルシステム

米国のリーガルシステムの歴史とソフトウェアでの革新の可能性について論説した、a16zの新メディア「Future」の記事。訴訟大国アメリカでは、リーガルコストは、経済全体の2.3%を占め、どの国よりもお金を払っている。法律は”人間社会のOS"であり、プログラムのように平等であるべきだが、実際には高い弁護士費用を払える金持ちが勝ち、移民のような社会的弱者が負ける不平等が横行している。本記事では、この是正にソフトウェアがいかに貢献できるかについて、低所得者向けに"ロボット弁護士"を提供するDoNotPay.com創業者が解説しています。

ストラテジー

プライシング見直しをどう進めたらよいのか?

SaaSスタートアップの経営者であれば、誰しもプライシングの見直しをどう進めたらよいか、悩むと思います。本記事は、プライシングの見直しのプロセスと各プロセスでのTo Doを解説したプライシング初心者向けの記事です。SaaSスタートアップが持続的な成長をする上で、プライシングは避けては通れないので、SaaS経営者の方々にはおすすめです。

マネジメント

スタートアップの取締役会を効率的に運営するコツ

日本の起業家の多くは、1回目の起業家のため、ボードミーティング(取締役会)をどう効率的に運営するか、悩まれる方も多いと思います。こちらは少し米国文脈の記事(4半期ベースが基本)ですが、取締役会を効率的に利用するコツをいくつかまとめています。取締役会設置会社に移行するアーリーフェーズ以降のスタートアップ経営者の方には参考になると思います。

取締役会を効率的に運営する6つのコツ
1) ボードメンバーに頻度高く、最新情報をメールする
2) 必要な時は遠慮なく、取締役会を臨時で開催する
3) 次の資金調達に達成すべきゴールを議論する
4) 事業の全体を振り返るためにも、取締役会の資料を準備する
5) オンライン開催では、ゆっくり進め、質問を頻繁に受け付ける
6) 取締役会の終了後に、その内容を従業員に共有する

ファイナンス

SaaSスタートアップの新成長基準「T3D3」

日本のSaaSスタートアップでもよく知られる、アーリーステージでの売上成長率の基準として知られる「T2D3」。Battery Venturesが6年前に提唱したこの概念は、SaaS全盛の現代では、より高い成長基準である「T3D3=Triple×3回、Double×3」が、ユニコーン級を支援する投資家の新基準になっているという、SaaStrの記事。先日上場したMonday.comは、このT3D3を達成している。SaaSの未上場のマルチプルは高止まりしているが、投資家もSaaSだから高いマルチプルを許容しているのではなく、その代わりに、高い成長率を達成していることが要件になっている。

米国SaaS企業の2021年Q1振り返り
米国SaaS上場企業のトレンドを、全体感を持って定量的に毎週解説してくれているAltimeter Capital Jamin Ball氏によるSaaS各社のQ1決算後の総括をした記事。今Qは、UiPath、Olo、DigitalOceanの3社が加わった。EV/Revenueマルチプルは、米国債10年の利回りが年初に1%→1.7%に上げられた影響で、一時より落ち着きを取り戻しているが、コロナ前と比較すると未だに+50%高い状態をキープしている。SaaS各社の業績を見てみると、Zoom、Shopify、Datadogの3社の好業績が際立っています。

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