南尾聰 # ビジネスお化けハンター

組織で生まれる数多くの非効率。これらの事象に「お化け」のような分かりやすい名前をつけ、…

南尾聰 # ビジネスお化けハンター

組織で生まれる数多くの非効率。これらの事象に「お化け」のような分かりやすい名前をつけ、注意にむけた共通認識を作っています。 https://www.amazon.co.jp/s?i=stripbooks&rh=p_27%3A%E5%8D%97%E5%B0%BE+%E8%81%B0

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標準化は重要だけど、間違った方向に向かいがち。それはお化けのせい!

最初に言っておくけど、標準化や一元化は大事。 きちんと現状を把握している人が緻密に計画を練り上げて標準化を進めれば、素晴らしい改革ができる。それは、間違いない。 ただ、同じ「標準化」という看板を掲げながらも、現状を知らない人が聞きかじりの知識で安易な改革を進めてしまうと、組織全体に大迷惑をかけることになる。 これが、標準化お化けに憑りつかれた状態なんだ。 釣竿を標準化するべきなのか例えば、こんな話で考えてみよう。 魚釣りをする10人の人が、みんな自分好みの釣り竿を使ってい

    • 数値化の罠:人事評価こそ、悪い数値化の巣窟

      一時期、目標管理制度というスタイルが、企業内の人事評価手法として流行しました。時期的には、バブル崩壊からしばらく経った1990年代の後半くらいからでしょうか。その時代では年功序列制度の弊害がクローズアップされていて、若手であっても能力・実績のある人を評価しようという成果主義にシフトするという考え方がもてはやされていました。そして、社員の実績を定量的に管理する手法として目標管理制度が注目されました。 この仕組みのポイントは、会社が上から目標を押し付けるのではなく、社員自身が自

      • 数値化の罠:部下だって数値化を武器にして自分を守る

        数値化教信者は、ありとあらゆる場所にはびこっています。 そして、数値化されることが当たり前になった職場では、数値化教信者を納得させるために数値をいかに作り出すかということが目的となり、手段と目的が逆転していきます。そして、意味のない仕事が量産されてしまうのです。 今も多くの人が毎日の残業に追われ、忙しく過ごしています。しかし、その仕事の中には、本質的に無意味だけれども社内事情で発生してしるような仕事が数多くあります。社内向けに説明する「数値」を作り出すために、現場が不毛な作

        • 数値化の罠:知識不足の人ほど数値を求める

          ビジネスの現場では、数値化することが頻繁に求められます。神経質で理論重視な人ほど、数字にこだわり、様々な物事を定量化することに血眼になります。しかし、数字を追い求めるほど、その数字は事実から乖離するのです。 数値化の弊害を喝破する本から、そのエッセンスを紹介します。 会話例から、悪い点を考えてみる例えば、こんな風景を見たことがないでしょうか。 このケースの上司が、典型的な数値化教信者と言えるでしょう。 このような上司の下についてしまうと、部下は疲弊するばかりです。 ただ、

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        標準化は重要だけど、間違った方向に向かいがち。それはお化けのせい!

          名前をつける → 認知される →注意が進む

          もしかしたら、読者の方の中には、今まさにスタンダリアンが憑りついた人に困らされているという方もいるかもしれない。 私もお化けハンターとして、いくつかのプロジェクトでお化け退治をやってきたんだけど。 なぜだろう。今の社会には、どんどんとスタンダリアンが広がっているような気がする。 スタンダリアンのタチの悪いところは、自分が正しいと信じ込み、他人に対しても理知的で論理的に見える言葉を使ってもっともらしく説得するところなんだ。 スタンダリアンに憑りつかれている人は周りを不幸にし

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          費用対効果のはき違え

          それから、費用対効果についても部長は変なことを言っていた。論点を分かりやすくするために、例から説明しよう。 こんなマンションを買わされたら怒りますよね家を買うときのことを考えてみよう。今は賃貸で暮らしているが、マンションの良い部屋を見つけたので購入を検討しているというケースだ。 不動産屋さんは、さかんにマンションをお勧めしてくる。立地、環境、広さ、設備、全てが素晴らしいですよ。それに35年でローンを組めば、今の家賃よりも割安です。絶対にお得です。こんな感じで熱烈に営業を受

          ベストプラクティスは、本当にあなたにとってベストなのか

          巧妙な宣伝文句の成功例ベストプラクティスという言葉。 ベスプラと略されても通用するほど、世の中に浸透してしまった言葉だよね。 でも、このベストプラクティスという言葉は、企業の基幹システムのパッケージソフトを開発した会社が、そのソフトを拡販したいために考え出した巧妙な宣伝文句なんだと思う。 世界中の会社で使われているパッケージソフトには、世界中の会社で実践されたノウハウが凝縮して詰め込まれている。だから、そのパッケージソフトを使うことで世界中のノウハウを自社に取り込むことが

          ベストプラクティスは、本当にあなたにとってベストなのか