『太宰治は、二度死んだ』第三章・東京篇Ⅱ(第25話)
人間は哀しい。生きることは、つらい。
そうなのかもしれません。
人生がそういうものであるなら、人はなぜ、生きていかなければならないのでしょうか。
それでも、自分の過去を語った姐さんは、意外にさばさばした顔をしていました。
「なんだかお腹空いちゃったわ。こんな時でもお腹が減るんだから、不思議なものよね」
「姐さん、わたし、どこかで夜泣き蕎麦でも誂えてくるわ」
「うん。じゃあ、お願い」
姐さんは財布を取り出しました。
「いいわよ。それくらいわたしが出すから」
「だめよ、