西原理恵子家がしばらく見ないあいだにつらいことになっていた
西原理恵子さんの娘が飛び降りで自殺未遂。
命はとりとめたものの、精神病棟への入院も決まっているらしい。
20年ぐらい前から西原作品を読んでいて、気づいたら何年か離れていたけど、散々ネタにしていた高須クリニック院長と再婚した話は聞いていて、愛に満ちた平穏な暮らしに落ち着いたと勝手に想像していた。
「ぼくんち」の残酷ちびまる子ちゃんみたいな幼少時代をすごして、四国から都会に出て、水商売やらなんやらで苦労しながらイラスト描いて。そりゃ今の感覚で読めば下品だけど、必死でガツガツ仕事をとって、体当たりエッセイで産んで育てた子供たちの日々を描いた。
「毎日かあさん」
で、カニが大好きな西原理恵子に、子供たちがチラシのカニの写真を切り抜いたり、画用紙にカニの絵かいて「おかあさんカニだよ!」って喜んでもらいたくて見せに来る。
今そんなエピソード、山ほどSNSに投稿されているじゃないですか。子供の、ちょっとずれてるけどまっすぐな愛。
でも、思い出してみると、両親に「あんた子供のころ、こんな可愛いことがあったんだよ」って周囲に言われるのがすごくイヤだった記憶が・・・。
サイバラ家が、多少負けん気は強いけど活気のある楽しい家庭になってるもんだと勝手に解釈していたから、今回の事件はちょっとショックだったし、その前から親子仲は断絶していたようだ。
昔の高知のスラム街みたいなところから、あんなに頑張ったのに、結局最後にたどりついた場所はここなのか。
前の旦那さんがアルコール中毒でなくなって、憔悴している西原理恵子を、子供達がへんな顔をして笑わせようとした、不意に読んだら泣くようなエピソードがあるから、西原さんの子供って「あの泣けるほどいい子たち」のイメージを勝手に持ってるの。
娘さん側から見れば、エッセイなんか誇張してるし、自分たちの会話の中の心温まる部分だけをさらされて、プライバシーも考えずに全国の図書館で閲覧されて、金と名誉を得て、高須クリニックの院長と再婚して。
西原理恵子だって、とんでもない人たちの中で頑張って作品を生み出してあなたを育てたんじゃないか! って長年の読者はどうしても思ってしまうけど、それはジャニーズの元社長の善の側面を見て弁護してる人と変わらないのかもしれん。
そんなことを思った。
ほのぼのした幸福な終わり方をした家族を描いた作品も「どこで区切ったか」の問題で、すごく幸せな終わり方してても
「この10年後に子供さん、ああなるけどね・・・」
の可能性を秘めているということで、背筋が冷たくなる出来事でした。