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「伊集院光とらじおと」が終わり、「パンサー向井の#ふらっと」初回を聞く

「伊集院光とらじおと」終わった。

終わった理由がはっきり説明なしなので、TBSラジオの上層部が圧力をかけたんだろうとか、伊集院の価値を分かってないとか、批判をたくさん見たけど、素人がプロの世界を憶測で語ったり、小出しになった情報をつなげて陰謀論にするのはそれこそ伊集院光の本当に嫌がっていたことなので、ラジオ局批判をする人に加勢はしない。
ともかく、終わった。

珍曲名曲を紹介するコーナーの、コレクターたちのとっておきのクオリティ。アナウンサー安田美香の号泣して爆笑するまでの速さ。

ゲストトークの緊張感もすごかった。合う人合わない人、偉い人、謎な人、
自分とは考えの違う相手でも尊重しつつ切り込む。語尾とか言い方とか、言葉のチョイスを絶妙に選んで相手の気分を害さない寸前のところまで詰める。

ホリプロの社名の由来になった堀社長が、終戦後に空腹が限界にきて、決死の思いで、毒が入っていると教育されていた米軍のレーションを食べた話。

ぼくがリクエストを書いた海外の納豆研究家の高野秀行さんとも話がはずみ、本も面白いと絶賛してくれて嬉しかった。
(もう一人リクエストしたのはバーチャルユーチューバーの月ノ美兎。実現せず)

偉大なラジオの先輩である久米宏さんがラジオを終えるのに、言葉につまりながら「ずるい」と言ったのも、どきどきした。
まだ久米さんが言う「衰え」は感じないし、年上の人がラジオやってるのがどれだけ支えになったか。永六輔さんは聞き取れなくなるまで現役だったのに、先に降りるなんて、と。

久米宏が「あなたは古典出身だから」と返した。
老いていくほど独特の味が出て、良しとされている落語の世界と、言葉がすぐ出てこない老兵は去るべし、のニュースキャスターの世界は違う。ということかな。深くはわからない。

元、「占い大嫌い」伊集院とゲッターズ飯田のゲスト回

最終回の少し前に、構成作家で占い師のゲッターズ飯田がゲスト。元々は占いなんて当たらないだろうと思っていたころから(占い師や宗教勧誘はよく、「私も絶対ウソだと思ってたんだけど~」と、否定派と同じ位置にいたことから話す)話のタネに占ってもらい、やがて関西のテレビのノリで「赤影」をモデルにした仮面をつけてテレビに出るようになるまで。

占いはぴたりと当てるもんじゃなくて、ラッキーアイテムが腕時計と出たら、腕時計は外で使うものだから、「気分を変えて外に出てみませんか?」という意味。そういう読み取りあい、「粋」の世界でもある、と説明した。落語出身の伊集院に「粋」という言葉を使って占いとの距離感の話をする。

最後に飯田の本を見た伊集院は、
「少し体調が悪いのを感じていたら、風邪に注意って書いてる。当たってるかも!と思ったら先週の結果だった」
という感じで、軽く笑って終わったんだけど、
肝心のその日と翌日の運勢は何と書いていたか、言ってない気がする・・・。
気づいたらかわされていた。そして次の日に、伊集院光「陽性」で自宅待機が発表されたのだ。

3月28日から同じ時間を担当するのはお笑いトリオ、パンサーの向井。

初回のパートナーは滝沢カレン。
番組名に#を入れた時点で、ハガキもそうだけどSNSといっしょに進めていくんだろうか。
みんなのツイートを見ると、今までの時間帯から行き場を失った人や、向井さんの優しい語り口のラジオが好きで、新しく朝のリスナーになる人もいる。

滝沢カレンのインスタで、リスナーのことを「ラジオ聞き」と妖怪みたいな言い方していたのがウケて、みんなで「ラジオきき」を使い始める。

「お年寄りはこういう番組が好きで、主婦はこういうのが好きに違いない」
と思い込むと、たぶん違う。
どんな企画も、導入や言葉づかいひとつでみんなに受け入れられる。
運動してハイになった伊集院に若手芸人がギャグを言う企画を、深夜も朝もDVDでも味付けを変えてやったように。

言語学者の金田一秀穂先生と、気になる言葉を調べるコーナーが渋い 


・芸能人に対する「一般人」という言葉。
・嫁、妻、奥さん。どれが適切か。
・ハーフタレントの「ハーフ」を今後も使うのか。

ハーフに代わるミックス、ダブルという言葉もしっくりこないと、滝沢カレンに相談するのが面白いし、(全然こだわってないし、ハーフで気にしたことがないのも、らしい。)

この言葉は不適切だからこう直せ!というスタンスではなく、あくまでも向井が引っかかった言葉を選んで、「男らしい」とか、教師や医師に「女」をつけるとか、メディアでは使わないけど死語になっている言葉の前で「立ち止まり」、言い換え方を楽しんだり、軽い言葉のクイズを入れたりしながら考える。

同じ企画を十代だけでやっても、年配やインテリを揃えても嫌な感じに聞こえそう。向井、カレン、金田一の三者のバランスが絶妙。
パンサーというトリオを僕はよく知らない。こういう言葉で立ち止まらなさそうな(偏見)モラハラ系発言で非難された尾形と人といっしょにいるバランスは面白い。

後半はロバート秋山が架空の職業を極めた人になる一人語りコント!
深夜番組向けな気がするけど、いろんな企画を試しながら徐々に番組のスタイルをしぼって、番組もパーソナリティも成長していく。

読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。