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新語・流行語大賞を並べると、日本の一年ごとの記念写真を見ているみたい。

ここ数年、誰も知らねーよと言われ続けている新語・流行語大賞ですが、見ていくとやっぱり時代を現わしていておもしろい。

美味しんぼが「究極」で獲ってたり「セクハラ」と「オバタリアン」が同年だったり、今は古い体育会系のイメージがある清原が「新人類」だったり。

「忖度」「想定内」とか、その年を境に、その語句で日本人は思考するようになったってことがおもしろい。

ことばがひとつ脳内にファイリングされると、思考や行動も変わる。

SNSで「ケータイがない時代の皆さんは何かを共有したいとき、どうやってたんですか?」
って質問があったけど、「共有」「シェア」って言葉が無かった。
バースデーケーキの前で集合したとき以外に、メシを写真に撮るってすごく下品な行為だったけど、インスタ映え(2017年)という概念で、恥ずべきことじゃなくなった。

どうしても広めたかったら、クラスの友達に「あそこのラーメン屋うまかったからいこうぜ」って言うのがシェアだった。

福本伸行が漫画化した「塀の中の懲りない面々」は、80年代の流行語だったんだ。
「コギャル」「ルーズソックス」「チョベリバ」そろい踏みの年も強い。この3つのワードが出た1年。

新語・流行語を並べるのは、日本の一年ごとの記念写真を撮っているみたい。

2013年の「じぇじぇじぇ、おもてなし、倍返し」の三つはしっかり流行った感があるし楽しい。
てかもう「倍返し」10年前? じぇじぇじぇは10年前どころか紀元前て感じがするけど同年か。

ほかにも、かつては新語だった「インターネット」で流行った言葉がそのままノミネートされている。「8番出口」とかある。
過去にゲーム関連ワードで出てきたのが「ファミコン」「ポケモンGO」「妖怪ウォッチ」クラスなので、インディーゲームがそこまで知名度を上げたのは凄い。

過去に「~なう」が受賞しているけど、去年から今年は「インプレゾンビ」が流行ってXが終わった。
「エックスかっこツイッター」って言い方も聞いたなあ。Twitterが震災の安否確認と、漢字で文字数が少ない日本人の特性で広まったのに、ひとりの富裕層の気分しだいで振り回されて終わりになった。

「生成AI」は来年以降も使いそう。
いままで、意識を持ったロボットと仲良くなる話をたくさん見ていたのに、こんなに厄介なヤツらに出てこられるとは思わなかった。

プレイステーション4の「デトロイト」で、アンドロイドたちが目覚めて人間にこき使われてて、みんな助けるゲームプレイをしたがった。
彼らは絵を描いてみなさいと言われても、それだけはできなかった。

まさか、絵だけパクるように進化するとは思わなかった。

映画で「一瞬、撮影方法を考える時間」ないですか?
レゴや人形がうごく映画があると、あれはCGかな、コマ撮りかな、やっぱCGか、って一瞬考える。
小説でも音楽でも、「これ生成AIかな」って一瞬、作り手のことを考える時間が入ってしまうとしたら、健全じゃないなあ。
まあ、おもしろいものが作られなくなることはないだろうが。

エンタメ関連でいえば「伏線」もある時期から使い始めたな。

お笑い賞レースとオリンピックは流行ワードを生む。
M-1グランプリのミルクボーイの漫才で聞いた、
「ほな〇〇ちゃうかー」
「こんなん、なんぼあってもええですからね」が時間差で流行ってるような?

2024年は、よく聞いた「闇バイト」「生成AI」が大賞だと思ったけど、じつはこのふたつは去年ノミネートされていた。

「50-50」フィフティ・フィフティも、大谷翔平関連ワードは過去に受賞しているし、ドラマや曲名そのまんまのワードを除くと今年よく聞いたのは
「裏金問題」
「新NISA」
のふたつ。金に関するワードだ。清水寺の住職が今年の漢字を「金」と書いたのも、あながち的外れじゃなかったのかもしれない。
暗い話しかない一年だから、オリンピックでちょっと金メダルとったからって、今年のどこが「金」やねんと思ったけど。

うちの親はあの字を見ると毎年「あの字は上手いのか下手なのか」と話し合いながらモチの準備を始めます。
正月のご家庭の流行語大賞は「雑煮におもち何個入れる?」だと思う。お母さんが2個で息子さんが3個。

あとは「コタツ切ってふとんで寝なさい」とか。これはうちの子ども時代だけか?
AIコタツができたら、足の動きや呼吸から、使用者が寝たことを判断して自動的に電源を切ったりできそう。

もうできてる?AIコタツ。

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南ミツヒロ
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。