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2019年11月の記事一覧

永田カビ「現実逃避してたらボロボロになった話」ふと描きたい、と思った愛しい「この事」とは

永田カビは、はじめてのレズ風俗体験漫画に手首傷だらけで登場してから、ずっと性と自分と漫画と取っ組み合いながら、心の病をさらけ出して生きている漫画家だ。 新作「現実逃避してたらボロボロになった話」は、親に依存した生活やありのまま思ったことを公表して親を泣かせ、罪悪感と創作の苦しみを忘れさせてくれる酒にやられ、ついに膵炎で運ばれたところから始まる。 膵炎の痛みは、体内でチクチクする「ウニ」、吐き気の「胃」、「体温計」のキャラで表現されて明るい。コマが白い。 心の痛みを表現し

「デス・ストランディング」20時間ぶっ続けプレイ中!(ネタバレなし)

他人のことを気にしてストレスに感じやすい体質だ。 オンラインゲームの中でもその傾向がある。オンゲーHSPとでも言うか。 世界の人と戦うことが楽しくないわけじゃないけど、 勝ってしまったら、「世界のどこかで、今、僕にイライラしている人」が生み出される。 知らない人と協力してコミュニケーションするのもいやだ。 これは、現実で電話が異常に嫌いなのと関係ある気がする。あれだけ市民権を得たモンハンに乗れない時点で、ぼくには最新ゲームは向いてないと思っていた。 では、ここに、「デス・

「Return of the Obra Dinn/オブラディン号の帰還」は、現代最先端の廃墟スポット(ネタバレなし)

Return of the Obra Dinn「オブラディン号の帰還」 プレイヤーは保険会社の職員になって、乗員60名全員が消えた貿易船オブラ・ディン号に乗りこむ。死者の思いを感じる懐中時計「メメント・モーテム」を使い、全員の名前と死因を特定するのが目的だ。 甲板に転がるガイコツのわきで「メメント・モーテム」をひらくと、 死の直前に「船長」と呼ばれる人物と口論になり射殺される瞬間を見ることができる。 手帳を開いて「この人物は船長により銃殺」とチェック。 服装とスケッチ、

古い舞台・古いシステム・古いテーマをかけあわせたのに、一周して新しい「トルバーブルック」!

買った記憶もない宝くじで、さびれた町「トルバーブルック」の宿泊券を当てた量子学者、タンハウザー。 夏休みのバカンスにのこのこやってきた彼は、宿で大切な論文を盗まれてしまう。泥棒の足跡は、見たことのない不気味な色に輝いて部屋の外に消えていた。 PS4とニンテンドースイッチで発売された「トルバーブルック」は、ポイント&クリックで、世界のシステムを揺るがす陰謀に巻き込まれた学者の、ひと夏のふしぎな体験を味わうゲームだ。 実際のミニチュアを取り込んだ、リッチなジメッとした映像。