2024.2.29日記(岸田戯曲賞候補作を読む③)

第68回岸田國士戯曲賞最終候補作品が期間限定(2024年2月21日12時〜3月2日12時)でWEB公開されているので、読んでいっている。毎年読まなきゃ読まなきゃと思いつつ全然読めないので、今回こそは。日記のネタにもなるというのはモチベーションになる。行きの電車で戯曲を読み、帰りの電車で日記を書く。

金子鈴幸「愛について語るときは静かにしてくれ」

(あらすじ)
舞台は下北沢のトキワ荘みたいな安アパート。人気配信ゲーマーの小春は中身空っぽの映画監督志望サブカル男子のスズと付き合っている。隣の部屋には最近引っ越してきた売れない漫画家のカノンが住んでいる。小春には血の繋がっていない弟の大介がいて、死んだサブカルチャーを悼むネットラジオ「サブカルメメントモリ」を配信している。小春の大学時代からの友人のまいは、なぜか小春に定期的に薬を飲ませている。下北沢の若者たちの日常劇は、次第に姿を変えていき、警察、サキュバス、霊媒師などが入り乱れ、災害と戦争によって荒廃したポストアポカリプス的世界が露見していく…。

(感想)
味が濃い。チーズ増量ピザポテトにケチャップとマスタードとバーベキューソースつけて食べてるような。エモさとジャンクさと若さの至りを詰め込んで放出する勢いはすごい。ぶっ飛んだ世界観ながら終わっていく世界と日本の中で生きる若者の不安や怒りを等身大に表現しているという点ではある種切実さがあるとも言えるが、昨今現実世界で起きている悲惨さを考えると、どうしても平和な日本からみた内向きの表現だなと感じてしまう。