2023.7.18日記(板橋の町歩き)

月日が経つのが早い。もう7月も下旬に差しかかろうとしているじゃないか。最近仕事が少し落ち着いているので、時間がここで止まって欲しい。月日が経つのが早いと、また忙しい時期に入っていくのが怖い。「時間よ、止まれ。お前は美しい」

昨日は所属している演劇団体であるカハタレの制作会議があった。11月の公演に向けての会議。たくさん話した結果、前進したのかはよくわからなかったが、兎にも角にも決めなければならないことだらけだということだけはわかった。

板橋の地域センターでの打ち合わせだったが、終わった後少し街ぶらした。最近東京は灼熱地獄で、昨日も日中の最高気温が37℃とかだった。夕方になっても35℃くらいはあったんじゃないか。それでもめげずに板橋の街を歩いた。

板橋の上より

板橋には「板橋」という橋があった。

相撲の親方がやっているのであろうちゃんこ屋もあった。ビールが冷えているという看板に、危うく誘い込まれそうになったが、理性を保ち前を通り過ぎた。今度はちゃんと予定を立てて食べにいきたい。夏に冷房ガンガンの部屋でビールとちゃんこというのもありかもしれない。

目的地は「縁切り榎」という榎の木。その皮を削って縁を切りたい相手に呑ませると、すっぱり縁が切れるという伝説があるのだとか。先客に中年の男性が一人、そして若い女性の二人組がいて、熱心にお祈りしていた。その人たちの「縁を切りたい何か」とは何なのだろう。聞いてみたい。

ところで、今歩いてきた板橋区役所から縁切り榎までの道は「中山道(なかせんどう)」というらしい。板橋宿(いたばしのしゅく)とも何かの看板にも書いてあった。どこかで聞いたことがあるなと思ってあとで調べると、2週間ほど前に末廣亭で聞いた伯山の講談「阿武松緑之助」に出てきた地名だ。

相撲取りを目指して田舎から出てきた長吉は、大飯食らいを理由に武隈親方から破門され、身投げしようと板橋までやってくる。だが死ぬ前におまんまの食い納めをしようと宿屋に泊まる。その宿屋の亭主に説得され、長吉は死ぬのを思い止まり、別の親方の元で相撲取りを続けることにする…。

好きな話なので、昨日通った道が江戸の大横綱も通ったかもしれないと思うと嬉しい。道沿いにちゃんこ屋があったのも、何かそういう縁があるのかもしれない。

歌川国貞画 「阿武松緑之助」