2024.2.28日記(岸田戯曲賞候補作を読む②)

第68回岸田國士戯曲賞最終候補作品が期間限定(2024年2月21日12時〜3月2日12時)でWEB公開されているので、読んでいっている。毎年読まなきゃ読まなきゃと思いつつ全然読めないので、今回こそは。日記のネタにもなるというのはモチベーションになる。行きの電車で戯曲を読み、帰りの電車で日記を書く。

池田亮『ハートランド』

(あらすじ)
著名な映画監督を父に持つ岡は、映画館で映画を盗撮していた男を捕まえたことを機に、映画監督を志すようになる。数年後、岡は俳優の相葉とともに、相葉の地元を訪れる。目当ては岡の父親の映画のロケ地であった「ハートランド」という店。昼はブックカフェ、夜はBARであるその店は、様々な背景を抱えた人々が集まる駆け込み寺でもあった。夜、岡は相葉の知り合いである江原と羽瀬川と一緒に鍋をつつきながら、ハートランドに集まる人々の噂を聞く。ハートランドの人間関係を崩壊させた自称アジア系外国人のユアンのこと、さらにかつて自分が映画館で捕まえた須田のことも…。

(感想)
かなり露悪的でいや〜な読後感がある。独特の言語感覚は面白いのだが、たまに狙いすぎているところがある。作品を「盗む」ということがテーマではあるがそこにたどり着く前に閉鎖的なコミュニティの陰湿さ、気持ち悪さに疲れ果ててしまう。日本人コミュニティの嫌な部分を描くことに関してはめちゃくちゃ上手いと思った。俳優的にはかなり言いづらそうな台詞回しも多いのでどのように上演されたのか気になるが、劇場で観ても嫌な気分になっただろうと想像する。