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ちょっと奇妙な癒しの飲み屋「サンガプ屋台」。サンガプが持つ深い意味とは?(ドラマ『サンガプ屋台』について#1)

 ドラマ『サンガプ屋台』について1回目です。まずはタイトルの聞きなれない言葉「サンガプ(쌍갑)」の意味をご紹介します。

『サンガプ屋台』(쌍갑포차)は2017年大韓民国漫画大賞で優秀賞を受賞した同名のウェブトゥーン(スマホなどで読める電子コミック)を原作としたドラマですが、原作とはストーリーや登場人物の設定がかなり違います。

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ドラマ『サンガプ屋台』公式HP(http://tv.jtbc.joins.com/mysticpopupbar)から。

「サンガプ」の「サン 쌍」は二つや双方という意味で、「カプ 갑」は甲乙の甲:強者の意味になります。日本では契約書などで見る「甲乙」ですが、韓国ではパワーハラスメントのことを強者の「甲(갑)」と弱者の「乙(을)」に当てはめることが多いのです。そうした関係ではなく平等であるよう、双方とも「甲」という意味を込めて「サンガプ」になっています。

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ドラマ『サンガプ屋台』公式HP(http://tv.jtbc.joins.com/mysticpopupbar)から。

 韓国では2014年の大韓航空ナッツ・リターン事件をきっかけに「甲:強者」から「乙:弱者」に対するパワーハラスメントが大問題に、つまり社会的なイシューになりました。そのようなパワーハラスメントを「カプジル(갑질・甲質)」と言いますが、とくに1話のエピソードでは「甲:強者」と「乙:弱者」の関係ではなく、お互い甲と甲として対応しようというドラマ全体のメッセージを発信しています。

 また、主人公の1人で重要な役割のガンべ(ユク・ソンジェ)が働いているスーパーの名前は「カブル(甲乙)マート 갑을마트」。この名前からもドラマのメッセージが伝わります。ちなみにカブルマートの撮影場所は「이마트 イマート」という大手チェーンスーパーです。

『サンガプ屋台』は、ある事情を抱えている主人公たちが色々な悩みを持つ人の夢の中の世界「クスン」に行って悩みを解決していく、オリエンタルファンタジーカウンセリングドラマです。

【ナッツ・リターン事件】2014年12月5日、大韓航空のオーナー一家の長女で副社長であるチョ・ヒョナが、乗客として乗っていた旅客機をゲートに引き返させ、運航を遅延させた事件。発端になったのが、機内でナッツをサービスする際の手順へのクレームだったため「ナッツ・リターン」と呼ばれるようになり、これをきっかけにオーナー一家のパワーハラスメント体質が続々と発覚して大問題となった。

*イスン 이승:この世 現世(元々ある言葉)
*チョスン 저승:あの世 死の世界(元々ある言葉)
*クスン 그승:夢の世界(ドラマで作られた言葉)


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