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外撮り(野外撮影)について 第二回

・「迷惑をかけない」というのはどういうこと?

まず大きな誤解として「外撮りは他人に迷惑をかけなければ、悪いことではない」というものがあります。
この言説は、一見正しいように見えますし、ぼく自身、確かにこの説を支持しています。
では、この意見のどこに誤解があるのでしょうか。

例えばこういう例を挙げてみましょう。

ex.1)飲食店での外撮りの例

飲食店のテーブル席で、注文した飲食物と持ち込んだフィギュアの撮影を行った。
店内には従業員の他は少数の利用者がいた。
周囲に配慮し、撮影後はすぐに片づけを行った。

これは問題のある行動でしょうか。
正確な解答は、yesでもあり、noでもあります。

なぜこれだけ配慮して、問題と言えるのでしょうか?
それは「迷惑」というものをどれだけ高い解像度で把握しているかによります。

確かに、この例では周囲には考えられる限りの配慮をした、としましょう。
また、誰かに直接迷惑と言われたわけではありません。

では、例えば、撮影者を見た他の利用者が「変な客がいるからこの店はもう使わないようにしよう」と思ったらどうでしょう。
例えば、店員がそれを見て「異常な行動をする客が来た」と判断したらどうでしょう。
例えば、周囲にいた利用者が、お店側に「不審な客がいた」というクレームを入れていたらどうでしょう。

それを、撮影者であるあなたは、知ることができるでしょうか。

もう一つ例を加えましょう。
例えば、SNSに投稿した外撮り写真を見て、何の配慮も行わず外撮りを行う人が現れたら、どうでしょう。
「あなたの写真が素敵なので、自分でも撮ってみました」と、配慮のない写真をSNSに投稿することがあったら、どうでしょう。

この例はどれも極端なものですし、撮影者が全ての責任を負う必要があるかは疑問の余地があります。
しかし、迷惑をかけないというのは、ただ「迷惑だと言われなければ良い」ということではありません。
迷惑とは、基本的には表面化しないものです。
他者に迷惑をかけた、と明らかに感じるようなら、それはアウトのラインを大きく踏み越えた証拠であり、いくつもの関知できていない迷惑があったからだと、ぼくは思います。

これが同じフィギュアやドールの愛好者からも、外撮りが嫌われる理由です。
同時に、ぼくが「外撮りは基本的にしてはいけない」と考える理由です。

そうした、「自身の観測できない迷惑」まで、考えが及んでいたでしょうか?
そこまで視野に納めて、はじめて「外撮りは他人に迷惑をかけなければ、悪いことではない」と言えるのだ、とぼくは思います。
それができないのであれば、外撮りをやるべきではないでしょう。


外撮り(野外撮影)について 第一回|深波 月夜|note


外撮り(野外撮影)について 第三回|深波 月夜|note

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