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『仕事終わりの首都高』

仕事終わりに来ないタクシーを20分待ち、ようやく帰路に着く。日曜23:50
もうすぐ日を跨ごうとしている。

ご飯を食べる時間がなく、立ちながら一本満足を食べたのは4時間前。冷蔵庫の中に何かあったっけ。コンビニに寄って帰ろうかな。

タクシーの運転手さんに話しかけられるのを拒むように、イヤホンで音楽を流す。最近見ているドラマの主題歌だ。

窓からは東京タワーが見える。あの付近の空だけ燃えるように明るい。東京のシンボル。スカイツリーには放てない存在感を横目に見ながらSNSをチェックする。
わたしが仕事をしているうちに、今日も色々なストーリーが生み出された。

ご飯を食べる途中に眠くなる子供
ガンバレーをバンガレーと言い間違える子供
二人分と思われる夕ご飯に少し入り込んでいる男の手

LINEの新着25件。
そのほとんどが公式アカウントであるにも関わらず、一つずつ開いてチェックしていく。来週のわたしの運勢が届いているはずだから。

欲しい人からのLINEが来ていないことを、なんとも思っていないかのように平気なふりをする。慣れたでしょ?そんなにうまく行かないのよ。

お台場、豊洲
沿岸部から見る東京は24時だというのにまだ明るい。所狭しと並んだマンションの一つに色々な想いが詰まっている。いつの間にか東京タワーは消灯した。

『ただいま』
誰もいない空間に声を放つ
開けた冷蔵庫の光だけが私を明るく照らした

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