【創作小説】僕のミントタブレット
ラムネが食べたかったけど瓶の形の駄菓子がなくて、ミントのタブレットを買った。
学校帰り、あるきながらそいつの包装をぴりりとやぶいて一粒、口に放り込む。鼻に抜ける爽やかな冷たい空気。舌に微かな痺れ。ミントの香。外箱のミントグリーン色そのままのイメェジが口の中に広がる。
そうしたら、頭の中に声が響いたんだ。
『ねえ、あんた、さっさと私を食べ切って。なにもかもなかったことにしてよ』
女の声だった。歳の頃はよくわからなかった。大人のようでいて、僕と同じ10代の少女のようにも聞こえた