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では高配当株投資なら良いのではないか

株の上昇による利益をキャピタルゲインと呼びます。
わざわざリスクを犯してキャピタルゲインを狙わなくても、日本株には高配当の銘柄がたくさんあります。
これらを集めて集中投資すれば、インデックスファンドより高い利益を生むのではないか。
こう考える人は多いと思います。
これは一見良さそうですが、実は大きな問題が含まれています。
それは配当金課税の問題です。

株式売却による利益と同様に、日本では配当金についても一律20%の課税が存在します。(無論NISAは非課税なので関係ありません)
この売却によるキャピタルゲイン課税と配当金課税を比較すると、どちらが有利か簡単に理解できると思います。

高配当株を1,000万円分所有しているとして、この配当利回りが年5%だと仮定します。このときの配当金と課税は次の通りです。

配当金 10,000,000円 x 5% = 500,000円
配当金課税 500,000円 x 20% = 100,000円
実質利益 500,000円 - 100,000円 = 400,000円

次に1,000万円所有している株式(投資信託)が5%値上がりしたと仮定します。そしてこの値上がり分5%を売却して利益を得た場合はどうなるでしょう。

所有株式時価総額 10,000,000円 x 1.05 = 10,500,000円
値上がり分売却 10,500,000円 - 500,000円 = 10,000,000円
キャピタルゲイン課税 500,000 x 5% x 20% = 5,000円
実質利益 500,000円 - 5,000円 = 495,000円

分かりますか?
つまり、配当金に関してはその全額が課税対象になるのに対し、値上がり分の売却については、あくまで持ち株の一部を売却したに過ぎないため、売却分の値上がり率だけに課税され、残りは所有継続される株の含み益として残っていくのです。含み益は今後の値動きにより増減するため、すべてを売却しない限りキャピタルゲインが確定しないので課税されないのです。
(いずれすべてを売却するので、税金を払うのは一緒と思うかも知れませんが、税金を支払うのはできるだけ先延ばしにしたほうが投資効率がよいです。)

このように、同じ5%売却において配当金と値上がり益では手取りに大きな差が生まれます。このことだけでも高配当株投資が有利であるとは決して言えないと思うのです。

また個別株において高配当が行われた際、「配当落ち」と呼ばれる株価の下落があります。業績好調の株であれば、配当落ち分は即座に埋める値動きになることも多いですが、中には配当分の株価下落を埋めきれずそのまま下落基調をたどる株も結構あります。
こうなると、高配当を得ることになっても資産はそれ以上に減少してしまうこともあるのです。

なので高配当を得るより、確実に値上がりが期待できるインデックスファンドを購入して、値上がり後に必要な額だけを売却していく方が課税を先延ばしする観点からも有利であると考えます。
目の前の利益を現金で受取る事ができるという精神的満足感だけで、高い課税を受けながら高配当株を所有する意味はあまりないでしょう。

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