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【読書の思い出】幼少期に形作られたもの

「天使なんかじゃない」矢沢あい

小説ではないけれど、幼少期から今に至るまで漫画が好きで、好きで…

りぼんっ子でした。
毎月毎月りぼんの発売が楽しみで、月末になるとソワソワしていた。
1日の発売だけど、早い本屋さんは月末に店頭に並んで、仕事帰りの父親に
本屋をはしごしてもらい、
ちょっとフライング気味で読んでる気分が嬉しかった。

で、その中で一番好きだったのが、矢沢あいさんであり、
私の恋愛に関する価値観みたいなものを植え込んだんではないだろうか、
と思っているのが「天使なんかなじゃない」

須藤晃のぶっきらぼうだけど、本当は優しいところ。
傷ついて、傷ついて、必死で強がる男。
「アルハンブラ宮殿の思い出」でも「スタートアップ」でも私が
傷ついた男の肩を持ってしまうのは
晃あってこそである気がしてやまない…
全ては晃に始まった。私の初恋…​



あらすじ

高校1年生の冴島翠は、明るくて元気でお調子者、そしてクラスの人気者。
彼女には気になる男の子がいた。
それはある雨の日、優しく、そして寂しそうな目で、捨て猫を撫でる
同級生。同じ学校であることは分かっていたが、接点がなかった。
しかし、ある日、生徒会の立候補者に選ばれてしまう。
クラスのみんなに持ち上げられ、仕方なく立候補した翠。
しかし、立候補者の中に、その彼の姿が…
同じ生徒会に入り、ぐんと距離が近くなる。

そして、作られた価値観


いやあ、もうあらすじ書いてたら、お尻がムズムズするような甘い青春もの。
晃はね、一見ぶっきらぼうな口調で、冷たいけど、優しい男なわけですよ。
そっけないから、誤解されがちで翠ちゃんも自信が持てずにスレ違ってしまう。
見るからに優しい、愛情いっぱいに育てられたケンちゃんを選ぶ方が正解なのに、
晃を選んでしまう。
あー…翠ちゃん、あなたから始まっていたのね。
私の不幸な恋愛価値観。

子どもの頃に読んだ漫画、好きな漫画にその後の価値観が影響されるというのは
大いにあり得ることだと思う。
自分の子どもを見ていても、正義感とかを読んだ本からまに受けて発言したりしている。
もちろんその中から自分なりに取捨選択して、自分の経験も加味され、
やがて、オリジナルの価値観が形成されていくんだろう。

で、私の中でのスタート地点はやっぱり「天ない」だと思う。

語り尽くせない好きなところ

まず絵が好き。
矢沢さんがファッションが好きと仰ってることもあり、
出てくるファッションも絵もすごくおしゃれ。
今見ても可愛い。
翠ちゃんのファッションもそのあとのキャラクターのファッションも全部好きだった。


それから、なんというか…当時も今も読んでいて切ない。
明るく前向きだった翠ちゃんが、晃に恋をして、疑心暗鬼に陥り、
好きなのに、自分の気持ちを持て余しすぎて、
晃と別れる選択をする。
晃は何があっても自分を待ってくれると信じていたために、
旅行に行こうとした駅で、「もう待てない。限界」と言われても
置いてきぼりにしてしまう。
その足で、ケンちゃんのところに行ってしまう翠ちゃん。
当時小学生の私にすれば衝撃的だけれど、
大人ってそうなんだな、とか私も誰かを好きになったらこうなってしまうんだろうか、とか想像は膨らむばかりですよ。そりゃあもう。
でも、その切なさこそが自分にとってはリアルで、
今、読んでも当時の気持ちと合間ってなのか、
切なく読めてしまう。
今の女子高生の漫画を読むと、もう共感できないのに、
昔自分が読んでいた少女漫画は繰り返し読めるのは何故だろう。不思議。
どっちがいい、とかの話でもなく、
それが自分を形作ったものだからだろうか。

きっと、みんなそれぞれ幼少期に読んで、
恋愛観に限らず、正義感だとか何かしらの価値観に影響を受けたもの
があると思う。

自分の中で大切に、思い出として残しておきたいもの。
大切な大切な心の拠り所。
ふと、読み返したくなるもの。
その世界に入っていきたくなるところ。
それが私にとっての「天使なんかじゃない」だ。



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