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【読書日記】うめ もも さくら

「うめ もも さくら」石田香織

あらすじ

三十歳の「ママ」は運送会社で事務員として働く。
実の母親の世話になりたくなくて、高校を卒業すると同時に就職した。
同僚の池ちゃんは十歳上だが、気があって、仕事終わりに二人で飲みに行く。
よく飲みに行くおでん屋さんで、スナフキンみたいな佐々木くんと出会った。
最初「なんやこいつ」と思ったのに、不意に好意をもった。
やがて二人の間に「さくら」が生まれ、結婚。
けれど、佐々木くんはやっぱりスナフキン。
二人は「うめ」が生まれる頃に離婚。
「ママ」は誰にも頼らずに、「さくら」と「うめ」を育てる。
自転車操業の毎日。借金と借金返済の繰り返し。上がらないお給料。

「この生活、いつまで続くんやろう…」

感想

初めて読む作家さんでした。
「ママ」が辛い生活の中を「べっちょない」「よっしゃ」と乗り切っていく姿は清々しく、爽快で、
全く状況が違ったとしても、
その様子一つ一つに勇気づけられる。

「ママ」は初めから終わりまで「ママ」で、
佐々木くんと結婚して佐々木姓を名乗っていることがわかっても、
「ママ」の名前は明かされない。

題名から「もも」だろうか、と推測はされてもそのような記述はなかった。

これは全て、名もなき「ママ」の物語なのだろうな、と。
シングルマザーじゃなくても。
仕事内容が違っても。
娘じゃなくて、息子がいたとしても。
母親との関係が悪くなくても。
みんなそれぞれに、大変なことがあって、
「清濁合わせのむ」ことが日々あって、それを「べっちょない」と乗り切ってやろうや、という物語なのだと感じた。


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