【ドラマ感想】「キム秘書はいったい、なぜ…」
『キム秘書はいったい、なぜ…?』ネットフリックス・韓国ドラマ
超絶ナルシストの財閥の副会長と恋に落ちる、完璧秘書。
漫画のような展開。ラブコメが苦手な人は無理だろうけど、ラブコメ好きとしてはアリな展開。
見始めて数分。
この副会長の顔、どこかで見たな。誰だろう…
ヤフーで調べてみる。
パク・ソジュン。
「梨泰院クラス」の人やん!!!
え、あのイガグリ頭、こんなに男前やったん!?
と、失礼なことを思いながら、徐々にハマっていきました。
「梨泰院クラス」では男!!!ていう感じの見た目を気にしない、我が道を行く人だったあの人が、超絶ナルシストを演じているこのギャップ…
「超」がつく利己的な副会長に振り回され続けた、キム秘書は父親の借金完済をきっかけに秘書を辞職することを決意。
自分のことは後回しで、ずっと副会長のために専念してきた…自分を取り戻したい!と願う主人公。
それを引き留めたい副会長が奮闘する、というストーリー展開で、
コメディ要素たっぷりに描かれている。
最初は利己的に思われていた副会長の言動、行動全てが、相手を思いやった行動ゆえのことであると、明かされていく過程に胸がときめいてしまう。
この通常では絶対にありえないストーリー展開を、
ありえないなりに楽しめる人には、見てもらいたい。
キム秘書役のパク・ミニョンは『キュート』という言葉の当てはまる可愛さ。美人だけれど、人を寄せ付けない美人さとは違い、
愛らしい小動物のような雰囲気がある。
どうなっちゃうの、離れちゃうの、切ないわ、胸が締め付けられる…みたいな展開はなく、
万事王道のストーリー。安心して見ていられる。
周りのわき役たちの恋愛も全てハッピーエンドで
ストレス解消にはよかった。
個人的にはヤン秘書とポン課長の恋愛展開にもときめいてしまった。
全くかっこよくないヤン秘書だけれど、
ポン課長が落とした見られたくないモノを咄嗟に察したヤン秘書が、
自分の上着をさっと脱いで隠す。それによって、ポン課長が「マイヒーロー」と呼んでときめき始める。
なかなか告白してくれないヤン秘書をもどかしく感じているポン課長に、ついにヤン秘書が告白する。ヤン秘書が用意したコーラを飲むと、そこには告白の言葉が…こんな告白の仕方も素敵~。
二人の見つめ合うシーンは他をぼかして二人を際立たせる、え、90年代?と思えるような演出が意外と面白い。
ただのラブコメかなあ、と思っていたら二人の出会いには実は秘密が隠されていて、キム秘書のトラウマと副会長のトラウマに隠されていた真実が明かされていく時、副会長はただの利己的な人間ではなかった、ということが分かる。こういう展開があるところが、韓国ドラマの脚本ってよくできてるなあと感心する。
最初は「はあ?」と思ってしまうナルシストな副会長の言動も、徐々に徐々に丁寧に彼の魅力が描かれていくことで、それはとても魅力的に見えてくる。
ドラマは、確かにその俳優さんの魅力に大きく左右されることがあるけれど、そこに脚本の丁寧さが加わると最強なんだなと思う。
ただ一つ見つめるシーンにしても、その俳優さんの魅力一つ、もしくはその俳優さんを好ましく思うかどうかで、素敵なシーンに変わるでしょう。
けれども、やっぱりそこに愛情表現の仕方や、優しい台詞、エピソード、ひとつひとつ、丁寧に描かれているからこそ、感情移入していく。
すごく、すごく丁寧だと、私は思う。
「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」でも思ったけれど、ドラマの中の韓国の男性は本当に優しい。現実がどうなのかは知らないけれど、「本当の優しさ」というものをドラマで教えてくれる。
本当に優しいってこういうことだよね、と思う。
私は吉田修一さんに出てくる、一見分かりにくい、ていうか相手に届くことのない、届かないようにしている「隠された優しさ」も好きなんだけど、あれは実に日本的かなあと思う。いや…吉田さんのは、恋愛小説じゃないから、届くことを前提とはまずまずしていないわけだけれど。だからこそ切ない、という話だけれど。だから比べるものが、違うっちゃ違うのは承知の上。
優しい上に、容姿端麗、お金持ち…そんな完璧な人間どこにもいない…いないからこそ、ラブコメとして楽しめる、それがドラマです。
※実験的に大幅に感想を書き替えてみました。2020年11月30日
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